←もどる 占星術における矮惑星問題

 

 17世紀までに完成してた

ざっと5千年前、シュメール人やアッカド人が、チグリス・ユーフラテス流域で農耕をやっていた。洪水が引いたあとの肥沃な土壌にタネをまいとけば、米や麦が勝手に育ってくれるというやり方だから、当然、暦が生まれました。
このあと灌漑が工夫されて、種籾の80倍の収穫量なんていう高度な農業をやるのですが、それはそれで、効率を徹底するなら、なおさら季節も研究される。
それがカルデア人へと受け継がれ、発展していく。カルデア人は遊牧民族なんですけど、遊牧民っていうのはダダッ広い所を往来するから、空ばっかし見上げるものらしいんですよね。それにカルデア人は、やたら数学が得意だった。
ここで西洋占星術がだいたい完成します。紀元前7世紀ごろ。
その後、ギリシャの頭いい人たちがいろいろな宇宙観を提唱したけれども、2世紀、アレキサンドリアのプトレマイオスの理論が決定版とされ、これが現在のすべての西洋占星術のベースになってます。いわゆるアルマゲスト、テトラ・ビブロス、ここまででも充分に完成してた。
これは東へ伝わって、東洋占星術にも影響を与えることになる。白羊宮とか金牛宮とかも、じつは東洋占星術が訳して取り入れた用語を、今ふたたび西洋占星術に使ってるんです。
中世は悪名高いキリスト教からの弾圧があって、一時衰退するけれども、その間はイスラム世界でますます発展を続ける。
軍事もそうですが、我々は西側から見た歴史ばっかり聞かされているので、アラビアとかペルシャがどれだけ緻密で精巧な先進国だったか認識が薄い。バトアルガウザー(ベテルギウス)とか、今でもイスラム系の天文用語はたくさんあります。
これが十字軍なんかのおかげで、ヨーロッパにもだんだん持ち込まれてくる。13世紀になるとスコラ哲学が聖書と占星術の折り合いをつけてしまい、占星術をやってもそれほど教会が文句を言わなくなる。そもそも三博士だって星を見てイエス様生誕に駆けつけたわけだし。
14世紀、ルネッサンス期のヨーロッパで占星術が爆発的に流行する。ディーとか、もうちょっと後になるとノストラダムスとか、有名な人たちもだんだん出てくる。伝統を守りつつ近代化するということの、さまざまな問題は、この時にもう思いつくようなことは全部やってる。
そして17世紀、リリーという天才が出て、占星術を完成させつくした。この人の理論は難解すぎて俺にはできませんが、Mは「星占いのトドメ」とまで言ってます。そのくらい、完成しまくった。ここまでが、古典派です。ここで、やめときゃあよかったものを。

 10星にしやがった

18世紀に天王星、19世紀に海王星、20世紀に冥王星が見つかったため、これらも意味が付けられて、占星術に使われるようになった。
たしかに2千年前と現在とでは、夜空も違っているし、ヴァーナルエクイノクスとかサマータイムとか、現代は現代に合わせて微調整しなければ当たらないのですが、だからといって占星術の基本まで変えはしない。
理論というのは、全体のバランスを考えて作ってあるからです。部分的にいじると、その反動というか、対応する部分があちこちおかしくなってしまう。
13星座でやったり、蝕の虚星を取り入れて東洋占星術と折衷したり、易や心理学や霊感を取り入れたり、コンピュータで倍数をかけて変形星図を作ったり、いろいろとヘンテコな西洋占星術が生み出され、オタクを面白がらせたり、真剣に恋してる人を不安にさせたり、インチキ宗教の資金源になったりしながら、流行したりしなかったりですが、しかし、ヘンテコなことやるにしても、まず基本をやってからにしたい。
この3星を取り入れたせいで、
占いの結果が悪く出る人たちが増えた。占いのせいで不幸な人が増えるなんて、まったくバカなことです。
その最たるものが支配星ですが、それは後述するとして、まず、天王星以降の星が、なぜそういう名前なのかが、オカルト的に根拠が明解でないということについて。

 責任者でてこい

話が本題に入ります。
ウラヌス、ネプチューン、プルート、それは天文学のほうでやってる分には、好きに名付けりゃいいんだけど、それがそのまま、占星術でもそういうイメージや意味でただちに取り入れられるっていうのは、納得できん。
じゃあ、別の名前がつけられていたら、別の意味になってたワケ? 神話上のまだ使っていない大神の名前なら、
何でもよかったんじゃないの?
こういう後先考えないデタラメなもので、未来が占えるのかっていう…、いや、デタラメでもいいから偉大な先人たちが大まじめに何千年もやってきた蓄積が完結してて事実当たる占いだったところへ、今ごろになって持ち込んだり、科学が「やっぱ惑星じゃない」と言い出したら右往左往したりということが、みっともないと言ってるんです。

 

 天王星は金星なのか?

ウラヌス(ウラノス)は、アフロディーテのたくさんある別名のひとつ、天の神様としてのアフロディーテ、またはアフロディーテと同一視されている古い神、いずれにせよ女神ウラニア(ウーラニアー・アフロディーテ)です。アフロディーテってのはヴィーナス、金星ですよ。
ウラヌスは、時代がくだると男性神として扱われるようになるんですが、それではツジツマが合わないので、チンポコを切り取られてしまう物語になっている。セーラームーンではオナベの人がやってたみたいですが。
たしかに、主神マルドックに負かされた先祖の天空神ティアマートという図式は、カルデア神話にもあるんですけど、この惑星がティアマートになる理由が薄い。
天王星、正しくはテンオウセイですが、もともと、発見者の名前をとってハーシェルと呼ばれたり、発見者自身は英国王ジョージ3世の星「ゲオルギウムシドゥス」と名付けちゃったりしている。
今まで金星でやってた部分を、いくつか、天王星に差し換えるっていうなら、まだわかりますよ。しかし天王星は、どっちかっていうと土星のかわりに使われることが多いんです。

 海王星は海の王ではない

ネプチューン(ネプトゥヌス)は、もともと何を担当する神様だったのか、よくわかっていない。
のちにギリシャ神話のポセイドンと同体とみなされてから、海の支配者というイメージが、後から付け加えられただけ。その前は何だったのか、ハッキリしない。
海神ポセイドンと同体とみなされるからには、やっぱり海に関係あったのかというと、これがまた微妙。
そもそもポセイドンは、海を支配する女神アムピトリテにこき使われる従属神にすぎなかった。時代がくだってから、アムピトリテの夫と考えられるようになり、その後、アムピトリテはただの妖精ということになってしまって、ポセイドンが海王ということになった。
天王星も海王星もメタンで青く見える星だから、空とか海とか言うのはわかる。しかし、構造も大きさもだいたい同じです。天王星が海王星と名付けられていたら、海王星が天王星になったかもしれなかったわけでしょ。

 冥王星だらけ

プルートは、クレタ島の女神レアの娘プルートン(プルトン)のことであり、冥界の王様でもなんでもない。
正しい占星術では、火星が、冥王なんです。カルデア人の神話に出てくる冥府の支配者ネルガルが、死をつかさどる神で、それが火星。

そもそも、ただ単に、「太陽から遠いから、暗くて冷たい冥界のイメージの星」っていうなら、海王星と冥王星は、どっちがどっちでもよかったんじゃないの?
 天王星だって海王星だって氷点下、表面温度はマイナス二百なん十度くらいは余裕の、氷だらけですよ。
海王星が海王星と名付けられた理由も、かつては地球が平面で、海の端のほうは滝のようになってるから、西回り航路でインドへ行こうとすれば大西洋のはしっこで船がおっこちてしまう、海の果てに世界の果てがあるという考えがあったので、太陽系の一番外側には海王がふさわしいだろうということで海王星になったといいます。
海王星はもちろん、冥王星すら、太陽系の一番外側ってわけじゃない。今度の冥王星騒ぎで、やっと世間に少し知られるようになりましたが、冥王星と同じくらいの天体は、いくつも発見されているんです。
クワオアーは、アメリカ先住民の神話に出てくる創造神の名前をつけられましたが、天地創造は木星の性格だから、キャラがかぶってる。
セドナは、カナダのイヌイットの神話に出てくる女神ですが、太陽から遠くて寒い場所ということで北極圏の神様の名前をとってつけられました。
2003UB313なんてのは符号で、まだ名前が決まっていない。これも名前がついたら、占いのほうでも、そのとおりの意味になるんでしょ?(※追記。06年に、エリスという名前に決まりました。惑星の定義に関して天文学にゴタゴタがおきたから、言い争いとか仲たがいの神様にしたのだという。笑)
あるいは、天文学者がみ〜んな、フリーメイソンやゴールデンドーンやローゼンクロイツの人で、バチカンやダライラマの手先も天文学の学会に入り込んでいて、オカルト的にうまい具合になるように調整してくれているんでしょうか。
すでに、天文学と占星術は分かれたのだから、天文学でやってることを占星術に反影しなくてもいいと思うんですけど。

 

 →つづく 

 

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