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 首領、首魁、親分、頭目、ヘッド

首領や首魁や親分は、どちらかといえば下賤の無法者の頭目で、盗賊とか海上強盗や愚連隊でヘッドを張っているということです。
代表ではなく、この人だけが別格に偉くて、あとはザコの寄せ集め、御山の大将気取りというニュアンスがある。

ただし、チーフテンの訳語として言っているなら、指揮官閣下という意味である場合もあります。

 

 Don

洗礼名やファーストネームの前につける敬称で、卿に近い。
自称もするし、これだけで通称にも使われます。
ドンキホーテとかのドン。女性ならドニャ。

サーと同じで、時代がくだると御世辞や僭称で安く使われるようになりました。
ヤクザの親分さんでも使う。

 

 首長

首長は専任とか独任といって、合議ではなく定員1名のリーダーが、以下を掌握している状態。
シェフ、チーフ、ヘッド、ヘッドマンともいう。

局長が2人いるようなのは首長とは言いません。
首相は昔は大臣のひとつだったのが、今は大臣の長になったので、首長です。
内閣と区別するため、地方の首長はクビチョウと読みます。

ほかに、イスラームの称号「アミール」の訳語として言っている場合があります。
首長国連邦なんて言うのはコレ。

 

 族長、氏族長、支族長、酋長、部族長

族長は一族の長です。
クランとトライブは違い、イスラエルの12支族、スコットランドの諸候、日本の豪族、封建制の氏族、ネイティブアメリカンの部族など、感覚がいろいろ違うんですが、だいたい族長と呼んでおけば当たりさわりがないという程度。

今どき裸族の土王とか言うとぶっとばされるし、アイヌのみなさんの苦しみが全然世間に知られていない。

 

 代表

代表は首長ではなく、ヒラのひとりがやっているにすぎない。

伝統武術では、何代目とおっしゃらずに、流派代表などと名乗る方もおられます。
しかも、代表は2人も3人も並立だったりする。

先代から全部は習っていないとか、歴代宗家が偉大すぎて肩を並べるのは悪いとかで、年寄りがほかにいないから仮にお預かりしているだけだ、ということです。
こういう欲のない謙虚な先生は、信じられる。

これは、本人が死んでから弟子たちに認められて何代目にカウントされるということでしょうから、自分を磨くだけでなく、優秀な弟子をたくさん育てなければならないわけで、めちゃくちゃすごいことです。

それに、人は死ぬまで何があるかわからないので、もし不名誉な事があっても、まだ「何代目」に就任していなければ脱退すればいいだけなので、団体には傷がつきにくい。

武術の宗家は必ずしも家元制度ではないので、宗家という言葉を避ける人もいます。

 

 「社長!社長!」

武士は大学殿とか中将殿とか呼び合ってましたが、現代では役職はあんまり言わないほうがいい場合がある。
作戦上で「隊長」なんて呼ぶと真っ先に狙われたり。

ビジネス界でも、厳密に言えば、役職は敬称になりません。
「○○部長」くらいなら敬称かもしれませんが、定年近いのに係長では、係長と呼んでも恥をかかせるだけだったりするから、飲み屋などでは「○○さん」であるべき。

○○三段とかも事務的な言い方であり、たいして敬ってない。「○○範士」くらいならともかく。
同じ理由で、手紙は「○○先生」ではなく「○○様」と書くべきですが、いい歳してスネる先生もいて、指導員は「○○先生」と書かざるをえない場合が多い。

 

 筆頭

同じ身分の人が複数いる場合、先任の人や、優秀な人を、別格にすることがよくあります。
いわゆる赤レンジャーです。

 

 格、並、代理、補佐

出世させたいけど欠員がないとか、上がつまっている場合に、専務待遇とか課長心得とか、わけのわからない肩書を作ります(笑)

江戸時代の武士の役職は3交代制も多かったそうです。
仕事は3日に1度とか、2日働いて1日休みとか。

「権(ごんの)」というのは、定員外という意味です。

補佐は、暴力団や暴走族の世界では、それほど低いイメージがありません。
本当ならその役職ができるほどの人だが、権力争いで共倒れになるのを避けて一歩ひいてくれている大人な態度、それどころか、正規のその職の人の至らぬ部分を忠告する後見役、というニュアンス。

 

 陛下、殿下、卿、公

国王と、その妻・父母・祖父母は陛下、その他の王族は殿下、貴族は卿、特に身分の高い貴族を公(日本だと三位以上)、封建制の地方領主は侯と呼びます。

最近はどこの王室も解放的なので、改まった場合以外は名前に様でいいと思います。

というのは、陛下と殿下は大変に厳密な区別であり(特に外国語から訳す場合)、しかも、「王族」の範囲も法的に定めてあったり、殿下や閣下の人が王国や亡命政権を宣言したり、カンボジアのように国王でも殿下の場合もあるので、これを使い分けるのはかなり大変です。

「陛下」は厳密には敬称ではありません。
律令制では、国民から天皇になにか申し上げる時には、陛下とお呼びするようにという規定になってました。

俺は戦国武将は公、武芸者は先生で、だいたい統一させてもらってます。

 

 帝

ミカドは御門です。
厳密にはすでに死んだ皇帝をさす言葉ですが、日本の天皇家は即位の際に形式的な仮死状態のマネをして、つまりいったん死んで、先代の霊というか神様が乗り移る儀式をやってるので、今上陛下もミカドで間違いじゃありません。

 

 聖職者

特に身分の高い聖職者は、猊下(げいか)と呼びます。

禰宜とか祝とかの区別は、専門家でないのなら、わからなくても許されると思います。
俺も神主さんとか宮司さんと総称してます。
本当は巫女さんにも階級がある。

司教とか司祭とか主教とかは、なじみがないけれども、こだわってやってらっしゃるから、カトリックは神父、プロテスタントは牧師というくらいは、間違えないほうがいいです。

仏教の場合、僧侶には階級がないのが本来の教義ですが、坊主というのは坊(建物)の主人だから本当は住職だけ。御住職、という言い方もあります。
現在は坊主と言うと蔑称、失礼です。
御坊(ごぼう)という言い方なら大丈夫。

庵主(あんじゅ)も本当は自分の庵(いおり。質素で小規模な建物)をかまえている尼僧だけですが、尼僧全般に使われちゃってることが多い。
俺はキリスト教の尼さんも庵主様と呼んでます。

中国では尼僧を師父と呼んでいることがある。

西洋魔術師は、偉い人はG.H.、普通の人はV.H.と、名前の前につけます。

 

 →つづく 

 

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