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和尚
和尚という言葉は、語源的に、師匠という意味をすでに含んでおり、また、宝蔵院で槍を教えたことから、特に関西では、武道の師匠を（僧侶でなくても、槍以外でも）和尚と呼ぶことがあります。
うちの地元では、和尚さんが訛って、おっしゃんと言うんですが、あんまり敬ってるように聞こえないので、俺は使いたくありません。
お
ダメな時代劇では、白州に引き出されて「お春と申します」なんて言ってますが、自分で「お」はつけないでしょう。
時代劇『助け人走る』『隠し目付参上』では、おきちさん・おこまさんが名前を聞かれて、「きち」「こま」と名乗ってます。
現代でも、自分のことを「美紀は…」とか言うくらいならかわいくても、まさか法廷で「美紀ちゃんは…」とか言うとバカっぽい（笑）
様
様という字は、相手がどのくらい目上か目下かによって、右下の部分を、永、美、水、次、平などと書き分け、さらに、羊と永の縦棒をいっぺんに引く、草書で書く、略しまくった草書で書く、ひらがなで書くなど、使い分けがありますが、最近は楷書の水の様で統一されつつあります。
俺もそうしてます。
人は基本的な部分では平等でも、生き様によって身分が発生するというか、自分の価値を高めるために生きている。
『ドン・キホーテ』に、各人はその所行の子、という諺が出てきます。人の貴賎はその行いによってのみ。
北方謙三さんは、女性に色紙を書く時に、薔薇に代えて、と書き添えている。
あなたに花をさしあげたいが、かわりに私のサインでもどうぞという意味。
しかしプライベートの時にずうずうしいオバサンがサインちょうだいと寄ってきて、例の言葉もちゃんと入れてよねとかほざくような時は、バラはカタカナで書いちゃってるそうです（笑）
戒名にランクづけがなく、すべての信者におしげもなく最高級の戒名だけ発行する宗派や霊園もあります。
郵便の宛先くらいは、目下に対してでも様です。
若くても君ってこたあない。
会社や道場の中では君でもいいが、社会的には人間同士だからです。
氏
氏は、師事してない、同業者でもない、自分と違う学説を唱えていたりしてちょっと距離を置きたい、信奉してるわけではない、などの場合に、しかし呼び捨てにしない程度には敬意をはらっておくか、というくらいのニュアンス。
ミスターの訳語に使われるものだから、かなりよそよそしい関係です。
最近は、オタクの世界では、まったく敬意がこもっていないとみなされ、これを使われると激怒する人が多いので注意。
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御前様、殿様、旦那様、旦那
世間でみんな間違えてますが、大名は殿様じゃありません。
大名または一万石以上は、御前様（ごぜんさま）。
旗本または御目見得以上は、殿様。
御家人または御目見得以下は旦那様。
ものすご〜く下っぱの武士は旦那。
志村さんのアレは、白塗りが室町末期の公家好みのようでもあるけれど、民俗がおおむね化政のようだから、城持ち大名じゃなくて、城代として常駐してるのかもしれません。
あるいはバカに徹して、難しいこと抜きに楽しい番組を作ってるだけか。
大殿様、若殿様、若様
隠居したら、大名でも旗本でも大殿様。
嫡男は、大名では若殿様、旗本だと若様です。
御家人以下は、まちまちらしい。大旦那とか若とか言ってたようだけれども。
というのは、身分の低い役職（町同心など）は基本的に一代限りであり、世襲ではありません。
実際は世襲してても、手続き上は、一名欠員したから新規おかかえ、前任者の推薦と後見あり、というようなことでした。
長男に生まれたからといって、継げるとは限らない。
人件費は一番減らしたい部分だから、定員削減されるかもしれない。
先代様っていうのは、亡くなってる例に多い。
奥様、御新造、御家様、御内儀
大名、旗本、町奉行所与力の、正妻だけが奥様。
御家人の妻は御新造様。
下級武士の妻は御新造さん。
人妻を御家様（おいえさま、おえさま）と呼ぶのは、関西の商人の言い方。
関東では御内儀（ごないぎ）などと言いますが、これもどちらかといえば商人の妻に対して使う。
○代目、○世
世は世代の数え方、代は地位の就任順。
どちらも、血縁とは限らない。
ルパン３世はアルセーヌ・ルパンの孫という意味だから、２世に子が複数いれば、３世も複数いる。
もし、３代目ルパンということであれば、怪盗ルパンを名乗れる３人目ということだから、必ずしも孫とは限らない。
ナポレオン３世は甥です、本当は。
いったん引退した人が別の名前でふたたび地位につくなんてことは、天皇ですらありました。
第１５代石川五右ェ門が家督を譲って隠居した後、１６代目が急死または地位を取り消されたら、１５代目が１７代目になって、１８代目を育てるということも、ないとも限らない。
一世一代ではないからです。
→つづく
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