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 写真だからといって信用できない(当たり前だが)

日本人は金があるから、初心者でもいろいろな武器を持っていたり、ひどい場合だと、まったく武術やったことがない人が武器だけコレクションして喜んでいたりしますが、中国人の武術家は、実技はみっちりやっていても、マイナーな武器まであんまりいろいろは持っていなかったりするんです。
いや、今の中国はものすごく景気がいいから、何でも持ってるかもしれませんが、20年くらい前は質素なものだった。

それは政治的な統制というか、民衆があんまり実戦的な武器を持っていては都合悪いという背景もある。
台湾だったらともかく、少林寺は共産圏にあるので(台湾も国会の乱闘なんかはすごいが)。

それに、サッカーなんかもそうですが、貧しくて娯楽が少ないくらいのほうが、かえって、それしかやることがないので、達人を多く輩出したり、達人とまではいかなくても誰でもやればそこそこにやりこなすという、盛んな土地になることがある。

だから、技術がすばらしくても道具がなくて、何か別の道具で代用するということがありました。
写真を見ただけでは、琉球武術の武器(形状で日本製だとわかる)を振り回している…と思ったら、解説文を読めば、中国武術の偉い人が、中国武術の技法をやっていた、なんてことがありました。
逆に、日本人の中国武術家が、中国刀ではなくて日本刀の木刀を使って、中国刀に対する技法を実演してるなんてこともあった。

だから、輪がついている武器の技法をやっている写真があったとしても、そこに写っている道具は輪がついていないタイプ(あるいはその逆)というようなことがあるんじゃないかと思うので、慎重に考えていこうと思っているわけです。

明や清は、古い時代をありがたがる傾向が強く、最近作ったものを大昔の有名人が作ったと仮託することがはなはだ多いので、もし悟浄の宝杖とまったく同じ構造の武器が実在したとしても、物語が先にあって、それになぞらえて後から作られた武器という可能性も高いです。

 

 答えは各自で見つける

その20年くらい前っていうのが、俺が一番まじめにやってた時期なので、俺の手持ちの情報はそのへんで止まっちゃっているんです。
今ではもう雑誌もほとんど読んでいないし、周囲には‘金産’系統の武器を使える人もいないので。

俺の中国武術の直接の師は3人いて、うち1人は人種から技法までネイティヴですが、俺が知る限りでは全員、‘金産’は使えない人です。
本部のお偉方は、使えば使えるのかもしれませんが、習ったことがあるとか道具を持ってるとかいう話はまったく聞かない。
中国人の知り合いも子どもの頃から何人かいますが、棍・刀・剣・槍とか、こう言っちゃアレですが平凡なことばっかしコツコツやっていて(それこそが非凡なのだが、あるいは技法が珍しかったりすることはあるが)、‘金産’なんて見たこともないという人ばかりなんで。

それでも、‘金産’という兵器が中武にあるってことは、誰でも知ってる。
それで質問すると、明解な答えが返ってこなかったり、あるいは、妙にハッキリ言う人がいたとしても、人によって言うことがバラバラ。

そもそも武術では、質問というのがあんまり許されないし、あんまり断言する人はダメだということになっているんです。
俺もよく注意されるんですけど(笑)
こういう説を聞いたことがあるが本当かどうかはわからない、僕の場合こういうやり方をしろと言われたからしている、などと言って自分の考えは言わなかったり(言わないということが自分の考えなのだが)、僕はこう思っているが違う意見の人もいるかもしれないし、いてもかまわない、とかなんとか、偉い人ほどのらりくらりしている。
もちろん、意図的に隠すこともある。

暗器や薬功くらいにマニアックなものなら、かえって話題にものぼるんです。
俺は何でも警察に言いつける人間だから、銃刀法や薬事法にひっかかりそうなものは、あくまでも法律の範囲ですが、仕掛物や豆類なら、みんなが知りたがるから、情報も実物も出回ることがある。

‘金産’っていうのは、知ってるようで知られていない、中途半端な存在だと思うんですよね。
だからこそ、研究する意義があると思って、せっせと書いてる次第です。

もしかしたら最近は、権威ある老師が解説した明解な本が世の中に出ているのかもしれません。
それを読んでいる若い初心者さんたちが、このコンテンツを見て、「まだこんなこともわかってない奴がいるぜガハハ」「こんな方向違いな妄想を長々と書き並べて、何をやってんだコイツは」と言ってるかもしれない(笑)

いや、笑えない。全然シャレにならぬ。

 

次回は、材質について。

 続く→ 

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