‘金産’の定義? 『武器と防具 中国編』、この本では96〜97ページに、‘金産’について述べておられます。 『‘金産’(図1)は明(1368〜1644)の頃から使われた農具もしくは工具から発展した武器で、原形となった道具に由来するショベル状の刃と月牙が両端に付いています。』 ‘金産’が、農具か工具か両方か、それがどんな問題を生むかは、とてつもなく深い話なので後述します。 「‘金産’」、「月牙‘金産’」、「禅杖」、この3つが、それぞれどういうものかは、前述しました。 たしかに、総称ということであれば、みんな‘金産’でよいと思うのですが、この本では、そういう意味で言っているのではないらしい。 この本では、スコップ刃と三日月刃が両方ついているものを‘金産’と呼び、それを中心に話が述べられていて、それが‘金産’という題名の一項目になってるわけです。 ところが、スコップ刃だけの‘金産’があるということには、一言もふれられていません。 前述のとおり、中国武術ではスコップ刃だけしかないものも使うし、それも‘金産’です。
省略したのが、「月牙‘金産’」? 「月牙‘金産’」に関しては、こんなことを述べておられます。 『‘金産’のバリエーションに月牙‘金産’(図2)があります。こちらの全長もやはり約3m、しかし道具に由来するシャベル状の刃はなく、月牙を使って敵を突いたり、削るようにして斬ります。』 3mのことは、後述します。 ここでは、「月牙‘金産’」の位置付けについて。 この本が言うには、スコップ刃と三日月刃が両方ついたものが‘金産’であるとして、その‘金産’のヴァリエイションとして、スコップ刃のないものもある、というふうに説明されている。 「ヴァリエイション(変種、派生型)」っていうのは、武器の場合、足し算と引き算があるんです。 まずスコップ刃だけ、三日月刃だけ、という単体の武器が先に存在してて、次に、両方を組み合わせたものを作るっていうのが、普通の順番ではある。 古い武器は、どれが先行した標準で、どれが派生した変動かは、なかなか決めつけにくく、研究が進むと順番が入れ替わったりすることもある。 この本が間違っていると言ってるんじゃないですよ! この本の著者は、どうして「月牙‘金産’」がヴァリエイションだと判断できたのか、その根拠が知りたいんですが、書いてないから困ってるわけでして。
削るように斬るって、どんな斬り方? さっきの一文、『月牙を使って敵を突いたり、削るようにして斬ります。』 浅い角度で表面をすべらせるように斬るということでしょうか? ‘金産’という文字には、削るという意味があるのですが(後述します)、だからといって、この武器で戦う時に本当に削るように使うかどうかは、俺には判断できません。 たとえば果物ナイフは切る道具ですが、これを武器として使う場合(使わないでくださいよ、たとえばの話。たとえばでも言うべきことではないのかもしれないが、現状として多いので困る)、刃筋が立つか、薄刃が耐えられるか、そんなに手首や先を上手に使えるかって言えば、ほとんどの人は突き刺す使い方になると思う、殺す気ならば。 ‘金産’の元になった道具が本当に削る道具だったとすれば(後述します)、削ることに適した刃になってるはずだから、武器としての‘金産’も、使い慣れたやり方で、削るように使うかもしれない。 どうも釈然としません。
次回は、禅杖について。 |
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