「月牙‘金産’」は両端が使える 「月牙‘金産’」を使うその敵は、悟空が三十余合も打ち合ったが勝負がつかないため、八戒が挟み討ちで助太刀したが、9つの首があって360度が見える怪物だったわけです。 訳文では 石突というのは、柄の末端。刃の反対側です。 話が横道ですが、八戒の武器は、御存知のとおり「上宝沁金のまぐわ」、九歯の熊手です。 背後にも目のある敵が、ただでさえ正面の悟空と戦いながら、背後からの八戒の打ち込みを石突で受け止めた…。
「月牙‘金産’」の石突は槍? その敵が使う「月牙‘金産’」というのは、どんな構造か。 □□ 訳者の注として、こう書いてある。 ここで注意しなければいけないのは、訳者は石突側が槍だとまでは言ってないということです。 日本の武術に詳しい人は、常山流(石突側が槍になっている薙刀)をなまじ知っているものだから、鋭い石突と聞いて、刃が付いてるものと早急に判断してしまう。
槍には見えない そして、訳者が用意した「月牙‘金産’」の図も添えられているのですが、こんな感じ。 籐だか糸だか、ずいぶん巻いてある様子 これの石突部分を大きく描きます。 ■ この形なら、刃とは思えません。 というのは、長兵(中国の長柄武器)には、しばしば、こういう石突がついているからです。 中国では、槍は、茎(なかご。柄の中に刃を差し込むタイプ)のやつもないこともないですが、普通は、袋槍つまりキャップ状というかソケット状の、刃の中に柄を差し込んだやつです。 日本で言えば石突程度のものでも、とにかく尖った金属が棒にハメてあれば、棍ではなく槍と呼んでいる。 例の文化大革命以降、中国(大陸本土、共産中国)では、近代化と称して、武術から殺伐とした雰囲気を消す方向にあり、兵器は器械と呼び、新体操の道具くらいにしか思っていないので、刀や剣もペラッペラの薄いやつ、棍や槍もすぐ折れるような軽いやつを使い、力強く速く美しい動作でポイントをかせぐ競技、まったく体育になってしまっている。 だから結局、石突がどのくらい鋭いかは、実物(骨董としての)を見ないことにはわからない。
石突のない「月牙‘金産’」もある? 『少林十八般兵器』の図では、「月牙‘金産’」の石突側には、なんの金具もついていない! 武術書なんだから、技法に使う重要な部品なら、描かないわけはないでしょう。 日本では槍や薙刀にも必ず鞘をつけるので、石突の金具が要るんです。 とりあえず、刃が三日月(月牙)だから「月牙‘金産’」と名付けられた、と言うからには、石突がなくても、三日月刃がついた棒なら「月牙‘金産’」かもしれないという可能性は残しておきます。
中国は広大な国土に多民族がひしめいて、さまざまな武器があるので、一概に定義は難しいと思いま…それを言うと話が終わりですが。
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