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当時の航空兵装の大雑把なところ

 

 手投げ

軍用航空機は、まず偵察機とか観測機だったわけですが、飛行機が珍しかった頃は敵味方が飛行中に遭遇しても、敬礼を送りあって、戦わなかったそうです。
それは乗ってるのがだいたい貴族だからおっとりしてて礼儀正しかったり、飛行機乗りがとても少ないから、国は違っても尊敬しあっていたり、下手すると友人知人だったりしたから。

航空兵装の始まりは、たまたま手元にあった工具を投げつけたのが始まりだそうです。それがレンガや石を積んでいくようになり、拳銃を使ってみて効率悪いので機関銃になった。
映画『紅の豚』のラストでやってたあれは、時代を逆行して最後はパンチになるという、見る人が見れば感慨深いシーンです。

 

 機関銃

機関銃(マシンガン)は、もっぱら自動連射で使う銃です。

薬師丸ひろ子さんが撃って面白がってたようなのは短機関銃(機関短銃。サブマシンガン)といって、あれは拳銃用の弾丸です。
塹壕や室内や市街地で使うもので、連射がどんなに速くても数十発しか弾数がなく、短時間の戦闘にしか使わない。片手でも撃てる。
厳密に言えば、こんなのは機関銃のうちに入りません。

なんなら拳銃でも小銃でも自動連射機能をつけたものはあるんですが、歴史の順番としては、機関銃は機関銃だけです。
機関銃が実用化したせいで、いつも塹壕の中にいないと死ぬから、攻めるも守るも塹壕の中でやることになり、狭くて小銃や銃剣が取りまわせない、さらに、塹壕戦の膠着を打開するために戦車を作ったから、戦争が大規模になってしまって、組織や資金が小さい人たちはテロでもやるしかなくなり、要するに、機関銃のせいで接近戦になったから、機関銃のミニチュアが作られたわけで。

本当の機関銃は、何百発と本気で大量連射するので、銃身が摩擦熱で焼け付くから冷却を要する。
昔は雪冷というのもありました。
あるいは銃身を複数にして交代で使ったり。
歩兵は戦闘中に石綿グローブをはめて銃身を交換したりもします。
連装とか4連装と称して、複数の機関銃が銃座にセットで据えてあっても、全部がいっぺんに火を吹くとは限らず、順番に交代で発射してることも多いです。

反動が大きいので、三脚や二脚がほとんど必須だったり。
がっちり握って撃つために、引き金ならぬ押し金だったりすることも多いです。
大口径で旋回するものは特に。

車輌や塹壕に据え付けて使う従来のものが重機関銃、ライフル弾でも1人で持ち歩けるくらい軽量化したものが軽機関銃、その中間で両用しようと思ったら中途半端になっちゃった汎用機関銃というのもあります。

一概には言えませんが、米軍がいろいろ使ってみた限りでは、本体重量10キロではちょっと重くてバテる、7キロくらいでなきゃ持ち歩けない、足りない時はミサイルかなんかでやればいいやということがわかり、一個分隊の援護火力であれば、最近はもう5.56ミリです。

重機関銃というのは、台車につけてゴロゴロ引き回すくらいのやつです。人の手で持ち運ぶのであれば3人がかり。昔は椅子まで備え付けてあった。
重さもですが、どっちみち、双眼鏡で目標を見たり、周囲を警戒して小銃で自衛したり、給弾の御世話をしたりで、機関銃を運用するチームということになる。
最近は、こんな大がかりなことをしなくても、ほかのハイテクな武器でスマートにやって、手間と人数を省いてます。

 

それと、狭義には、機関銃は弾丸のエネルギーで発射の連続動作をやります。
今のガトリングみたいに、電動か何かほかの動力で連続しようというのは、厳密に言えば機関銃に入らないとか、手動でクランクを回していたら、キカンならぬカラクリだという考えもある。

機関銃の発射動作の連続は、火薬が爆発した時の反動かガス圧を動力源にし、銃身の冷却方式には水冷と空冷があります。
この違いは、たいてい、英仏どちらを手本とするか、というか、マキシムとオチキス(という名前の機関銃)のどちらを手本とするかです。

マキシムは飛行機にも挑戦した会社。のちにビッカースの子会社のような感じになる。ドイツで生産した分は、工廠の地名をとってスパンドゥとかシュパンダウとか言う(豚さんの機体に積んでるのが、これ)。
オチキスはステープラーのホチキスとは別会社。ガス作動銃器の世界初。旧日本軍の機関銃の御先祖。空冷ガス作動は、現在の機関銃の主流。

ソ連のようなマイナスなん十度Cという寒冷地の場合、冷却水は凍るので、水冷でも空冷として使ったりもします。

 

 航空機銃

この時代の戦闘機は、機関銃が主兵装です。初めて戦闘機に積んだのはフランス。爆撃機でも自衛のために積みます。
どうして航空機の固定武装の定番が機関銃なのかというと、
命中のチャンスが少ないから数に頼って連射するわけです。

たいてい左右に連装してるのも、同じ理由。

大口径で1発ばかり撃っても、空では、ほとんど当たらない。
確率も低いですが、大口径すぎると横風を受けたり、加速度(飛行機の運動のほうの)とか質量とかの問題で、放物線になっちゃって、まっすぐ飛ばない。

航空機に積む場合、地上で使うよりも問題が多いです。
連射速度も立ち上がり速度も初速も弾丸重量も弾数も必要で、それでいて軽量であることも特に要求される。

普通は冷却装置を撤去して、銃身をむき出しにします。そのほうが上空では冷える。
飛行中は気圧変化とか加速度とかがあるから、作動不良の対策を要する。弾道のゆがみの問題も。
肩当てではなく台座に据え付けて撃つので、銃床はとっぱらう。
航空用の照準器をつけます。

薬莢は、タレ流しで空中投棄している場合もありますが、少しでも重心の変化を防ぎたいとか、機体や乗員に降りかかると熱くて危ないとか、金属がもったいないなどの理由で、籠や袋に受けて回収している場合もあります。
機銃が機内にある場合、機体に、薬莢や火薬ガスを排出するための小さな穴を開けてあります。

 

 →つづき 

 

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