固定機銃

機体に据え付けて向きを固定しておいて、飛行機の舵取りがそのまま照準になるという形式。

最初は、胴体上の操縦席前や、上翼の上などにくくりつけていたのが、のちに機体に収納することも多くなりました。
銃身さえも内蔵していて、機体には発射口の穴だけあいているとか、あるいは、星形シリンダーの隙間から撃っているから銃口も見えないなんてのもありました。

本書の時代だと、機首か、主翼内(着陸脚の上)に積みます。いずれも、もともと重くて構造的に頑丈な所。

機首につけると、命中率は高くなります。機体の中心に近い所から撃つから。
ただし、単発なら同調を要する場合がほとんどだから、連射速度は落ちる。

米英は、どちらかといえば機首よりも主翼に機銃を積みたがります。
主翼に積む場合、片側だけ故障すると反動で進路が(つまり照準が)ブレます。これは舵では補正できないので、短時間ずつ小間切れに撃つことでしか対応できません。

 ペラ同調

発射抑制装置のことです。
どうして機首に機銃をつけて自分のプロペラを撃たないかというと、機銃とプロペラが連動していて、
銃口の前にプロペラがある時は発射を止めているわけです。

プロペラ軸にカムというか出っ張りをつけて、羽根がある所が回ってきた時は出っ張りがレバーを押し上げ、これをワイヤーで機銃に伝達してあるから、プロペラごしに撃っても、撃っちゃいけないタイミングの時は弾は出ない。

連射速度は少し遅くなります。待ちがあるから。

第一次世界大戦中に発明されました。フォッカーがたった48時間で開発し、ピアノ工場で生産して、この発明だけでフォッカーは巨大飛行機会社になる。

それ以前の時代は、プロペラをよけて撃つか(単座なら撃つ時は椅子から立ち上がっていたこともあった)、あるいは、プロペラに山形の金具をつけたり真鍮でおおったりして、当たってもはじき飛ばすようにしてました。

なお、同調は絶対ではありません。
精度が悪いと誤差が出て、特に回転数が高い場合など、プロペラを撃つことはたまーにあります。

 

 集中、直進、直進集中、その他

前方固定機銃が連装の場合、照準をクロスするかしないかというのもあります。

主翼左右に積んだ機銃の照準を、少し内側に傾け、ある程度の前方で1点に集中するようにするものと、まったく前にまっすぐ撃つものがあるということです。

いずれも一長一短ありますが、普通は集中です。
日本ではだいたい200メートル、米軍だと300メートルくらい先で収束してました。

機首につけている機銃は、直進集中といって、まん前に撃っている集中です。
この意味でも、同調してでも設置場所を機首にするメリットはあります。

左右非対称に積むということもあります。
片方が7.7、もう片方が12.7とか、片側にしか積んでないということが、ときどきありました。
もちろん、それ相応にバランスは調整してある。

 モーターカノン

プロペラの中心から弾を発射する方法の代表的なもの。
V型エンジンの谷間に機関砲を置き、中空にしたプロペラ軸の中を通して撃つことです。
同調がいらない。同調よりも、もっと大口径で命中率が高いです。20ミリ以上でやることが多い。

そのかわり、技術的にとても難しくて、なかなか実用化できない。
過給器の邪魔になるので高高度戦闘機にはむかない。
始めたのはフランスですが、主にドイツとソ連でおこなわれました。

モーターカノン以外のやり方としては、エンジンを機関砲の後ろ(操縦席よりも後ろ)に置くことによっても、中空プロペラ軸から発射することは可能です。
これはアメリカ陸軍が、というかベル社がやってた。

 斜め銃

固定機銃を、斜め上方に向けたもの
どちらかといえば双発、迎撃機、夜間戦闘機、高高度、大口径でやることです。

第一次大戦中に英国が、彎曲したレール上に機銃をつけて、普段は機銃を複葉機の上翼に上げておき、飛行中に手動給弾や弾づまり処理をやるなら手元に引き降ろす、というのをやってみたら、斜め上方にも撃てることと、意外に命中することに気付いた。

その後、日本とドイツが、それぞれ独自に、同じようなことを考えつきました。爆撃機の後下方にもぐり込んで撃つのに便利。
こんなの当たるわけがないと思いきや、ものすごく当たるので、旧日本軍は大いに使いました。

 

 →つづき 

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送