旋回機銃

飛行機の進行方向に関係なく人間が角度を取り回して撃つという形式。

まあ、あんまり当たりません。
敵機に後ろを取らせたくない、簡単には照準させない、近寄らせない、という抵抗力としてつけます。

子ども番組では、レーザー砲でも人の手で旋回機銃にしちゃってますが、あれはフォースだかニュータイプだか、なんかキチガ○な超能力でやってるんでしょう。
本当の軍事でやる場合は、固定機銃と違って、自速修正器という照準補正を要します。速度計と連動させて自動のもあります。

爆撃機の胴体横から撃ってるようなのは、なおさら当たりにくく、狙って撃つというより弾幕を張って、弾幕の中を敵機が通過するように、敵機が通りそうな未来予想位置に撃ってるわけです。

最初は、カメラの三脚みたいにしていたのが、スカーフリングという円形レールの中に人が入って撃つようになり、のちにキャノピーがつきました。

さらに、座席とキャノピーごと回る、それも人力ではなく「動力銃座」になったんですが、それだけ飛行機が重くなってしまうので、エンジンがよほど強力な場合、米軍機くらいです。

最終的には人がいなくてもリモコンや、コンピュータで自動になったりしました。
銃座の出っぱりも小さくてすむから空気抵抗が減る。

ジェット時代になると、もう追い付かないので、ほとんどは廃止になりました。今では攻撃ヘリのアゴ下につける程度です。

 旋回機銃の設置場所

この時代の複座だと、たいてい後席に回転機銃がつきます。後ろ上空から狙われるからです。
ここで撃つためには、尾翼の位置や形状を、邪魔にならないよう工夫することも多い。

双発以上になると、機首でも旋回銃座ができるうえに、胴体後部の上・下にも機銃をつけることが多くなる。

双発以上の機首をガラス張りの銃座にするのは、今では古いですが、本書の時代にはよくありました。
爆撃照準をやるとすれば、この席。
昔は機首の上で吹きさらしで撃つものがあり、時代が下ると、機首の下にリモコン操作のを付けたりするようになりました。

胴体後部の上は、ここにだけ小さなキャノピーをつけて、水平360°をカバーすることがよくあります。

胴体後部の下は、死角です。
ここに機銃をつけたとしても、銃手は戦死しやすい。
だからこそ、つけるんですが。

4発クラスだと重武装で、胴体後部の横、最後尾、主翼の上・下などに機銃をつけることがあります。

胴体後部の横は、攻撃時にだけドアを開けたり、少しくらい空気抵抗を損しても張り出しにすることもあります。
小さな窓から撃っても、ほとんど当たらないからです。

尾部銃座は、銃手が寝転がって撃つスタイルや、乗りっぱなし(操縦席のほうへ行けない)もあります。
あるいは無人にしてワイヤーで方向を変える場合もありますが、レーダーがなかった時代は、この位置は重要な見張りでもあるので、あんまり無人にしたくない。

 

主翼の上に銃座っていうのは、大昔の巨人機の話です。
主翼の中を人が移動できたくらい主翼が厚いとか、あるいはエンジンが信用ならなくてナセルに機上整備士がつきっきりで張り付いていて、そこを銃座にしていたりとかです。

昔は、タライやドラム缶のようなものに人を入れて下げる垂下砲塔、通称「つるし棺桶」というのもありました。
これは主翼や胴体の下にあります。
爆撃機というのは、出撃すれば半数くらいは撃墜され、帰還できても半数くらいは乗員が死んでいたりするんですが、この吊り下げ銃座は最も被害の大きい所です。

この、軍用機のどこにどのくらいの威力の銃があるということは、少なくとも日本では機密だったようで、写真の検閲では機銃部分を消せ消せと指示したものが多い。

 火器管制装置

弾道やタイミングを、機械やコンピュータで自動計算&補正してもらうということです。人間の生理的限界を超える。
レーダーと連動したり、気圧や風力や各種温度などのセンサー、自動追尾、未来位置予想など、どんどんハイテク化していきます。

B-29は、すべての銃座が動力化され、火器管制装置で遠隔操作でした。搭乗員は余圧&暖房の効いた機内にいて、銃座は無人。
勝てるわけないよ、そんなの量産しやがって。

 トリガー類

固定機銃の発射スイッチは普通、操縦桿かスロットルレバーの、どちらかについてます。

スロットルレバーに引金があるのは、日本においては海軍風のやり方です。着陸や暖機の時、つい引っ掛けて作動させて味方を殺す事故が多い。
急降下などで舵が重い場合、操縦桿を両手で握ったりするので、射撃できなくなる欠点もあります。だから、爆弾投下スイッチだけは操縦桿に付けたりする。

火器選択スイッチもあります。
機関銃を全部使うのではなく、7.62ミリだけ使って20ミリは使わないとかが選択できるということです。

 眼鏡式、光像式

操縦席の計器類の上に、固定機銃の照準がつきます。

ライフル銃のスコープのような筒型のものが風防を突き抜けているタイプと、斜めに立てたガラス板に投影する装置を風防の手前内側に設置するタイプがあります。

前者は、暗くて狭くて前かがみ、疲れるうえに当たりにくく、空気抵抗になる。

後者のほうが新しいやり方です。反射式ともいう。
ただし、不時着する時は左手で押さえないと、ここに自分の頭をぶつけて大怪我することになる。

ソ連では、I-16の生産途中から光像式に変えたようです。
これが発達すると、照準以外にも必要な情報をすべてここに表示する
ヘッドアップディスプレイというやつになって、下を向いて計器を見なくてもよくなりました。
ガラス板の上のほうに進行方向、中央に機体の傾きと照準関係、その左が速度、右が高度、下には兵器の種類と残弾数などが表示されます。

MiG-29、Su-27からは、簡単な照準だけヘルメット内に付けられるようになりました。
F-35ともなると、専用ヘルメット内にディスプレイがあるので、ヘッドアップディスプレイも廃止したらしいです。

 

 →つづき 

 

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