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ものすごく大ざっぱなエンジン史

 

 蒸気機関まで

最初のエンジンは一種のロケットだったようです。
なにかを勢いよく後ろに吹き出せば、反作用で前に進む!というのは、2千年くらい前には感覚的にわかってました。
唐朝の時、中国では火薬があった。ロケット花火を使えば矢くらいは飛ぶということも、すぐに気付く。
もちろん構想や実験装置程度。
まだ実用ではないし、それで人間が飛べたわけでもない。

 電気モーター

飛行機の前に、気球や飛行船の時代がありました。フランスが始めた。
気球は、もともと自分自身が軽いから、何もしなくても浮かんでいられる、絶対に失速がないという、安全と言えば最も安全な航空機と言える。
飛行船は、じつはギリギリ空気よりも重く作ってあります。飛行船は飛行機のように、機首を上げて速度を出すことによって浮かび上がる。方向の調整ではなく、浮かぶためだけでも、飛行船には推進力が必要です。

飛行船の動力
は、蒸気のほか、1884年からは電気モーターも使われました。
しかし、やっぱり電池が重くて、航空向きではなかった。

 蒸気機関

蒸気機関は、大昔からあったんですが、本格的な実用はワットが改善して以降です。

英国は石炭が豊富、しかも良質(日露戦争の時の日本の海軍は、わざわざ英国の石炭を使ったくらい)。
これで産業革命になる。
量産された機械ということは、だいたいこのへんからです。そもそも工業生産的な製鉄も、石炭やコークスのおかげ。
そもそも、石炭を掘り出すのも、消費地へ運ぶのも、石炭を動力源にすれば、てめえんとこの商売もんだから使い放題。

蒸気で飛行機をやろうと考えた人たちもいました。英国ではヘンソン、マキシム、フランスではデュ・タンプル、アデール、アメリカではラングレイ、ロシアではモジャイスキイなど。
フランスやロシアでは、このへんの人たちを、飛行機の発明者(動力飛行の世界初)だと言い張ってることがありますが、「飛行」ではありません、ちょっと勢いでジャンプしただけ。この程度でよければ、バイクやボートがちょっと浮かび上がるとか、走り幅跳びの選手だって、飛んでいることになる。

石炭と水と圧力釜を持ち歩くなんてことは、大きすぎ、重すぎて、飛行機にはむかなかったわけです。
飛行船の「移動」には使われましたが。
このころの飛行船は水素なので、引火しないように12メートルも下にエンジンをぶら下げて搭載していた。

石炭だろうが重油だろうが、ボイラー自体にも欠点があります。すぐに始動できない、釜が暖まらないと動けないことです。火力発電や原子力のように、ずっと稼動しっぱなしならいいのですが、最近は軍艦もあまりボイラーを使わなくなりつつあります。

 スターリングエンジン

スターリングは発明した人の名前ですが、とても熱効率のいいエンジン。
温度による空気の膨張と収縮を、すきまをとったゆるいピストンの移動によって短時間で増幅するもの。
爆発をやらないので静かで安全で排ガスもキレイ、一応は外燃機関なので、熱源は何でもいい、燃料でなくても太陽熱でもゴミ焼却炉でもそこに温度差さえあればいい、逆に運動エネルギーを熱エネルギーに変換することも可能という、画期的なものだったんですが。

これを実用化するには、巨大で重くて高温になってしまうので、当時の技術では実力を発揮できないまま、蒸気機関に駆逐されてしまった。
子ども用のオモチャまがいの科学模型に使われた程度。
最近また見直されて、スウェーデンなどが熱心に潜水艦に導入してます。

 

 内燃機関

内燃機関も、古くから構想だけはありました。1678年、オランダのホイヘンスが火薬によるものを完成させている。
そのあと蒸気機関が主流になって、しばらく出番がなかった。
英国のケイリー卿(これも火薬式)など、やってた人もぼちぼちいたんですが。

フランスでは革命をやったために、王様にかわいがられて金を出してもらっていた優秀な技術者たちが、連座を恐れて国外に逃げ出してしまい、国内に技術がなくなったので、育成に熱心になり、かえって栄えました。
軍艦も戦車もひところは
フランスが世界一だった。
カルノーの熱理論、ルボンの内燃機関など。

石炭による蒸気機関は、軍艦でさえ限界に達しました。重装甲と高速が限界ということです。
つまり、石炭を満載まで積み込むのに丸一日かかり、それを4〜5日で消費してしまうから、遠くへ行けない、行けたとしても補給ばかりやってて戦闘ができない。
フランスなどが、練炭にすればかさばらないんじゃないかとか、いろいろ検討したんですが、練炭にしたって、航行中にず〜〜〜っと倉庫から運んできてはスコップで炉に投げ込み続けるのが、もうイヤだ!とかで、石油になっていくわけです。

ところが、石油をただ焚いたのでは臭くて臭くて、悪臭が遠くまで風に乗るので、レーダーなんかなくても暗夜でも存在がバレバレだったそうです。
石油精製の技術が発達するまではダメ。

ひとまずルノアールが、石炭ガス(コークスを作る時の副産物。ガス灯の燃料)に電気着火ということをやって、内燃機関が一応は実用化します。これは2ストでした。
しかし、蒸気機関と同程度の出力しか出ない。

そこでロシャ(ロシャスと表記されることもあるが、フランス人だからスは読まないのではないか)が、混合気の圧縮と4ストで、効率を高める。これは水素でした。

 ガソリンエンジン

ドイツではオットーが、ロシャと同じようなことをやる。
最初は石炭ガスだったものが、(おそらくオットーの会社にいたダイムラーの発明で)ガソリンを使うようになる。これが現在に至るまで主流になります。オットーサイクル。

ガソリンなら、石炭の倍の熱が得られて、かさばらず、ボイラーを持ち歩かなくていいし、灰も出ない、極端な煙も出ない。

このへんから、ドイツがエンジン大国になります。
ダイムラー、マイバッハ、ベンツなど、錚々たる大物が登場する。
御存知のとおり、これはひとまず自動車に使われました。

飛行船は、流体力学を知らなくてもとりあえず浮かぶし、これでさしあたり不足もなかった。
グライダーで翼の研究を大いに進めたリリエンタールは、本国ドイツでもまったく評価が低く、しかも墜落死したものだから、ヨーロッパでは飛行船が主流になってしまう。

飛行機はアメリカで実現しました。有名なライト兄弟。ヨーロッパ最初の飛行機は、ブラジル人によるものでした。

ガソリンエンジンはどんどん強力になり、ほんのちょっとの間に300倍くらいの出力になります。

 

 →つづき 

 

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