グローエンジン

昔、焼玉エンジンというのもありました。
鋳造の金属球を灼熱化させて(最初だけバーナーで焼く。あとは順ぐり順ぐりに勝手に熱を持つので、火ダネになる)、ここへ重油など入れれば点火するというもの。
ディーゼルエンジンの先祖みたいなものです。
漁船や鉄道などに使われました。いわゆるポンポン船がこれでした。
粗悪な燃料でも使えるものの、燃費が悪く、出力が低く、重くてかさばるから、飛行機には無理。

一説には、これをジェット化できれば、ナウシカのガンシップが作れるらしいんですけど、そこまで技術があったら、もっとうまいエンジンが作れそうなもんだ。

 ディーゼルエンジン

ディーゼルも作った人の名前です。
御存知のとおり、圧縮して高温になってる空気に、軽油を吹き付けて自動着火するやつ。直噴の元祖。

飛行船の「移動」になら使われました。ツェッペリン飛行船が500馬力くらいのを5発くらい付けていた。
飛行機用は、各国40社くらいが挑戦したけれども、ごく一部の例外を除いて、
ほとんど全部が挫折
高圧なので頑丈に作るから重い(じつは燃料も重い)、天地幅がかさばりすぎて機首に設置できそうにない、というような根本的欠点があって、ついでに音がうるさくて臭いので、航空向きではなかった。

燃費がいいから、航続距離はガソリンの1.5〜2倍くらいあるんですが、そこまで飛ぶ前に故障で引き返したりした。
最近ふたたび、小型レシプロ機に使えないかという動きもあるようです。

ディーゼルのことなら、鈴木孝博士の『20世紀のエンジン史 スリーブバルブと航空ディーゼルの興亡』を強くおすすめします。話の中身はもちろん、随所に技術者の誇りが満ちあふれ、著者の直筆イラストになんともいえない味がある。

 

 ヴァンケルエンジン

ヴァンケルも作った人の名前。
日本ではロータリーエンジンと呼ばれているもので、まゆ型の空間の中で三角おにぎり型のローターを回して、最初から回転運動を作るやつ。

やってることが不完全燃焼の同時進行なので、燃費ははなはだ悪いけれども強引な高出力、構造が単純で部品が少ないから小型かつ軽量で、振動も少なく、低圧縮だからオクタン価がどうでもノッキングが少ない。

プロペラの駆動力としてはあまり一般的ではないです。モーターグライダーや軽飛行機などの、特に自作ハンドメイドや実験機などに、小型軽量であることが好まれて、ちょっと使われる程度。
補助動力としてなら大型ジェット機に積むこともあるようですが。

市販車で実用化したのはマツダさんが世界唯一なんてのはウソ八百で、これこそソ連の得意分野であり、ソ連ではいろいろな自動車に普通に使われてました。

 ディーゼルエレクトリック
 ガスエレクトリック
 ターボエレクトリック

これはエンジンのことではなくて、動力の使い方です。
エンジンの回転力を、推進力に使わないで、発電機を回すことに使う。
その電気を推進力に使うか、いったん蓄電池にためて推進力に使う。
完全には電気化できないので、化学燃料のエンジンと折衷でやってるわけです。

エンジンも、駆動軸も、最も実力が発揮できる回転域で回していられる。
そのほか、電化していない地域でディーゼル列車を電車のように運用できるとか、潜水艦など空気に制限があって燃料を燃やせない時があるとか、重い変速ギアを積みたくないとか、エンジンと駆動軸を好き勝手に配置できるとか、2種類のエンジンを積んでいて回転数がいちじるしく違うとか、音響機雷の撤去や潜水艦探知など静かにやりたいとか、砕氷船などじわじわトルクがほしいとかです。

飛行機では、使用例を聞いたことはありませんが、どっちみちガソリンエンジンは発電もやってます。

 

 →つづき 

 

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