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本書に出てくる機種分類

 

 駆逐機

駆逐機というのは普通、爆撃機駆逐機です。重戦闘機。
侵入してきた爆撃機を迎撃するだけでなく、追跡する。

制空戦闘機(戦場に出かけていって戦闘機をやっつける戦闘機)ほどは軽快でない。
迎撃機(地元に侵入してきた爆撃機をスクランブル発進して落とす戦闘機。局地戦闘機。要撃機)よりは航続距離が長い。

大型、大出力、双発、双胴、重武装、2〜3人乗ってる、なんてことが多いです。
護衛戦闘機(爆撃機の護衛機)として作ったが役に立たないので本土空襲の迎撃に使っている、というくらいの飛行機が、これにあたる。

本書では、ソ連の純粋な戦闘機を駆逐機と言ってるようです。
米軍・英軍のページを見ると、戦闘機のたぐいは全部、戦闘機と書いてあるんです。

つまり、ドイツに攻め込まれて、どんくさい旧式の戦闘機を使って、せいぜい地上攻撃なんかやっておるわガハハ、ということ?
このへんが、なにかの直訳なのか、旧日本軍の感覚なのか、定かでないのですが。

どっちにしても旧日本軍にとっては、一式戦や零戦みたいな軽快なのが戦闘機であって、鍾馗や雷電みたいなデブは異質、ましてや月光なんてちゃんちゃらおかしいぜというのはあったと思われます。
日本ではエンジン出力が頭打ちだから、機体を軽くするよりほかにどうしようもないということです。

 複座戦闘機

複座というのは2人乗りです。
ジェット機だと火器管制やレーダーを担当する人だったり、練習機だと教官が乗るんですが。

レシプロ単発で複戦というのは、操縦する人とは別に、銃手を置くことです。
これは第一次世界大戦ごろの感覚です。英国なんかは、その後も長いことやり続けて笑われましたが。
つまり、将校様が射撃をやるから、下士官はおかかえ運転手として操縦しろやという、馬車の御者みたいな発想。

海軍は海上で目印がないので、自分は今どこを飛んでいるのか?という計算をやる人が乗ってるから、単発でも3人乗りということもよくあるんで、手が余ってるなら後部銃座もつけないでもありませんが、陸軍や空軍だと鈍重になって追い付かれるので、わざわざ自分の身を囮にして、後ろに食い付かせて迎え撃つようなもので。
あんまりうまいやり方ではありません。古い。

後部旋回銃座というのは、当たりにくいんです。
爆撃機の自衛ならしかたありませんが、戦闘機で操縦と射撃が別の人というのはタイミングも難しいし、そんな重いものを背負って飛ぶからますますいい位置を取りそびれる。

しかも、後席の人はすぐ死ぬ。
死体と旋回機銃を積まなければ、その分、パイロットの背中に装甲板をつけても運動性能におつりが来る。

でも、この時代ちょっと流行ったことがあって、各国で複座戦闘機を作りました。
純粋な戦闘機のつもりで作ったが、使い物にならないから空戦ではなく地上攻撃に使う、という感じになりがちです。
海軍の場合、戦闘機と偵察機の中間というか両用と位置付けていることがある。

 

 偵察機

偵察は、こっちから様子を見に行くことで、パッシヴとアクティヴの2種類あります。
前者は斥候などと言うんですが、なるべく敵に気付かれないように、そーっと探ってくること。
後者は威力偵察といって、軽く戦闘です。「暴露」を目的とするもの。敵がたくみに引きこもっていたりして、パッと見にはわからないので、少しつついてやって、どのくらいの戦力が何をしようとしているのか、反応を見るわけです。

航空部隊は、地上部隊や海上部隊と連係するもので、特に砲撃重視の場合(フランス陸軍など)は、弾着を見て、空中指揮や、みずから攻撃もかなりやります。

だから偵察機といっても、そこそこに武装してる場合が多い。機銃や、爆弾爆雷を200キロくらい積んでることがよくある。偵察してて、ここぞと思えば、ただではすませない。

本書でも、ソ連の偵察機というのは襲撃機や軽爆とあんまり違いがありません。

「武装偵察」というのは、これとはまた少し違う概念です。次のページで後述します。

偵察機は、第一次世界大戦中に3ジャンルに分かれました。砲兵協力機(観測機。戦術多用途機。日本で言えば指揮連絡機)、歩兵協力機(近接航空支援機。直接協同機、略して直協)、そして司偵(後述)です。

偵察機が複座というのは、地上をキョロキョロしたり、写真を撮ったり、武装(積んでいるのであれば)を扱う人が、もう1人いるということです。
こればっかりは、2人いたほうがいい。ノモンハンでは、日本の偵察機がいいかげんな誤認情報を報告しつづけたせいで、ずいぶん余計な損害を出しました。

軍用機の始まりは偵察機です。
偵察っていうと地味な感じがするかもしれませんが、ウェリントン公ウェルズリー元帥の言葉『軍人として過ごした歳月の半分は、あの丘の向こうに何があるのだろうと悩む繰り返しであった』なんていうくらいで、まず真っ先にこれをやらないことには、こっちの予定も立たないうえに、むこうから何をされるかもわからない。
レーダーや軍事衛星がなかった時代は、しかも広い土地と長い国境線を守るソ連としては、重要なところ。
どうせ撃墜されるので、今のアメリカなどは小型の無人機でやっていたりします。

 高速遠距離偵察機

戦略偵察機(司令部偵察機、略して司偵)のことです。
航空軍以上の規模の組織の、司令部が、大きな計画を立てるための、
戦争全体を広く見る偵察機
これだけは、全く武装してません(日本の100式は、とうとう武装を積んで、最後は特攻にも使っちゃいましたが)。
その分、通信や写真の能力を強化してある。基本的に隠密行動。戦闘機に食いつかれたら速度で逃げる。航続距離はとても長い。
でも、この時代は高速とか遠距離といってもたかがしれてます。

日本では、軍偵察機(軍偵)というのもあり、司偵ほどではないがやや長距離(敵軍の後方まで入り込む)で、襲撃機に近いもので、もちろん武装してました。

 

 →つづき 

 

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