爆撃機、雷撃機、海軍の攻撃機

爆弾を投下するのが爆撃機です。イタリアが始めた。
水平飛行しながら普通に爆弾を落とすのは、水平爆撃です。

今では爆弾にホーミング機能がついていて、つまりミサイルなので、爆弾が自分で敵に向かっていってくれますが、この時代は爆弾を自由落下させている。
対空砲火ももらうし、風もあり、爆煙や雲などもあって、普通に爆弾を落としたのではあんまり当たらない。
だから急降下して、なるべく目標に肉迫してから爆弾を落とすというのが、
急降下爆撃機です。シュトゥーカ。

ドイツでは、ほとんどの爆撃機が、急降下爆撃機でした。
アメリカでは、大型爆撃機の大編隊と、精密な爆撃照準器があるから、水平爆撃も大いにやりました。

急降下すると正確に狙えるし、このくらい運動性能があると戦闘機としても使えたりしますが、急降下は負担がかかるので、機体を丈夫に作らなければならず、これ専用の飛行機が必要でした。
飛行機の構造だけで重いから、爆弾はあまり積めない。

魚雷を積むなら、雷撃機です。
魚雷というのは数本いっぺんに撃たないと回避されてしまうもので、巡洋艦以上になると1発ばかり直撃したくらいでは沈むものでもなく(区画がひとつ海水タンクと化すだけ)、しかし普通は1機に1発しか積めず、しかも、この時代には追尾機能がほとんどなく、敵も回避運動をするので、かなり近付いてから発射しなければならず、さらにレーダーが実用化されてしまって、魚雷が当たっても当たらなくても反撃されてすぐ撃墜されるという、当たれば効果もあるけど効率よくない。
たいてい死ぬから、特攻とたいして変わりません。

魚雷は重いうえに、これを空中投下するというと長距離運用になるので、レシプロ単発でも3人乗りでなければならないことがよくあり、あんまり頑丈な飛行機にはできなかった。急降下できない。
急降下爆撃機よりも少し大きな飛行機であることが多いです。

つまり、急降下爆撃機と雷撃機は、昔は兼用できませんでした。
旧日本海軍では、急降下爆撃機のことを爆撃機、急降下せずに爆撃や雷撃をするものを
攻撃機と呼んでました。

海軍風に言うと、空母で運用するなら艦上爆撃機、艦上攻撃機、海軍所属でも陸の飛行場で運用するなら陸上爆撃機、陸上攻撃機ということになる。
艦爆、艦攻、陸爆、陸攻などと略します。
陸上攻撃機といっても、陸上を攻撃するという意味ではありませんので御注意ください。

米海軍では、日本海軍の攻撃機にあたるものを魚雷爆撃機(雷撃爆撃機)などと呼んでましたが、よっぽど小型でない限り、普通の爆撃機でも魚雷は積めます。
ソ連の雷撃は、フロートをつけた爆撃機か、飛行艇で兼用のようです。

しかし、あんまり大型機だと空母で運用できない。
ソ連は空母なかったから、関係ありませんが。

感覚的に言うと、艦攻こそが狭義の雷撃機です。海軍航空隊の真の花形。爆弾ではなく魚雷で、戦艦を撃沈するのが役目。
戦艦の保有数は国際的に制限されていたりするし、軍艦の数で勝てない日本やソ連は、雷撃でやることになる。戦艦対戦艦でやるより安上がり。

急降下爆撃は、命中精度はいいけれども、爆弾の滞空時間が短いので、爆弾に加速度がついておらず、軍艦の装甲を貫通する勢いがないから、表面で爆発してしまって、内部まで到達しにくい。

戦前の日本では、爆撃機と雷撃機を兼用できると思っていたようです。
海軍造兵中将有坂博士の本など読むと、昭和12年時点で、『而して、此の爆撃機も雷撃機も別個に専用されるのではなく、現在に於いては両者を共用するのである。則ち、同一機を用ひて、所要の場合爆撃機とし又雷撃機とするのである。』、そして、急降下爆撃機のことを軽爆撃機と呼んでいる。

ところが、爆弾と魚雷では、取り付け作業の運搬車も吊上装置も別、取付金具(投下器)も別、そのネジの大きさも位置も別というようなことがあり、状況によって爆弾と魚雷をつけ替えていると、ここぞというチャンスを逃がす。日本はこれで大敗北をやらかしたことがある。
雷撃機は、雷撃専用機がいいんです。爆弾と魚雷では、落とし方も違うから、飛行訓練も別になる。

 

しかし、空母に積める飛行機の数は限られているから、英軍なんかは戦闘機と雷撃機を兼用した戦闘雷撃機なんてのも作りました。

その後、エンジンも機体も向上していって、急降下爆撃機は搭載量を増やし、雷撃機は運動性や耐弾性を高めていくと、両者はほとんど区別がなくなり、兼用できるようになったというか、ジャンルが統一されました。
これは
攻撃機と呼ばれました。
現在、この役目は戦闘機が兼ねてます。

陸軍の飛行機が魚雷を積むことも珍しくはなかったですが、魚雷は開発も生産も海軍の管轄なので、陸軍では反跳爆撃(陸軍風に言えば跳飛爆撃)でやったりしました。
円筒形の爆弾に逆回転をかけて落とし、水面で跳ねて水切りさせながらくらわすもの。
これなら、あんまり近付かなくていいので、撃墜されにくい。

航空魚雷ということは、ほとんどやらなくなりました。レーダーだけでなくミサイルも発達したので、近付く前に撃墜されてしまうからです。
朝鮮戦争の時、米軍がダムを破壊するのに爆弾では効果がほとんどなかったので、使われなくなって久しい航空魚雷を倉庫の奥から引っぱり出してきて使ったのが最後。
今は使うとしても哨戒機や哨戒ヘリから短魚雷を落とす対潜がほとんどで、それで撃沈した例もあんまり聞かない。

今では、急降下とか雷撃なんて危ないことをしなくても、対艦ミサイルでやります。ソ連(ロシア)のミサイルは、やたら大きいのが特徴です。

 襲撃機、陸軍の攻撃機

襲撃機は、主に戦車をやっつける飛行機。
陸軍の攻撃機か、陸上で運用する急降下爆撃機か、やや小型の爆撃機です。
今、攻撃機(アタッカー)という機種を置いているのは米軍くらいですが、攻撃機というのは今ではほとんど地上を攻撃する攻撃機のことです。

戦車は、全部がっちり作ると重くて動けないから、前だけ頑丈にして、横はほどほど、上や後ろはそんなに厚い鉄板にしてない。
つまり上空から叩かれると弱い。
ドイツでは、急降下爆撃機で、ソ連の戦車を1人で519台やっつけた人もいます。
ドイツの急降下爆撃機にはサイレンを積んだものがあって、心理的に威嚇しながら爆弾を落とすという、えげつないことをやってました。

地上兵力同士の戦いだと、敵と接している所しか戦えないけれども、航空機なら、敵の支配地の奥に侵入できるので、「これから前線に行こうとしている車輌」もやっつけられる。

襲撃機は、爆弾よりも、大口径の機関砲でやることも多いです。
ソ連のシュトゥルモビーク(
近接航空支援機)が、これにあたる。というかIl-2のことです。
シュトゥルモビークは急降下爆撃しないものや、戦闘機に近いものもあるため、直訳して近接航空支援機とか襲撃機とでも訳すしかない。

この分野は、戦闘機から見れば絶好のカモです。
あんまり大きな砲は連射が遅いので、戦闘機に対しては使いにくいし、重いから、飛ぶのも遅くなる。
こんなものを飛ばしていると、ますます戦闘機が必要になり、自分のとこの飛行機を守るために別の飛行機を出さねばならない。
現在は、地上攻撃をする飛行機にも、ある程度の空戦能力をつけて、戦闘機としても使えるようにしておくのが一般的です。
戦闘爆撃機

本書では、軽爆撃機か偵察機に機銃をたくさん積んで地上を掃射するようなものを、襲撃機と書いてるようです。

どっちみち戦闘機に食い付かれた時に後部銃座があるんだったら撃つし、地上に敵がボサッとしてたら純粋な戦闘機でも地上を機銃掃射することになる。

 

 →つづき 

 

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