「賽の河原」
武術でも仏教でも、なぜ?は愚問の最たるものとされており、答えようと思えば答えはあるが、「ひとつには何のため、ひとつには何のため…」と理由が多く、ひとつひとつが重要で、しかも有機的に関連しているので、ひとつ例をあげるとか主なところをかいつまんでということができないから、列記して長い話になる。それが面倒なので、途中で「ひとつ積んで〜は父のっため〜」と茶化して、以下省略することをいう。
あの世で石を積み重ねて供養をしようとすると、鬼が崩して邪魔するのだという。

「3禁」
酒、煙草、男女交際を禁止すること。女子プロレスなどで古くから言われている。
恋愛を禁止するのは現代的ではないが、練習の質と量が落ちる、気持ちがうわのそらになる、挫折や悔しさを克服しないまま彼氏に寄りかかることで気持ちがすんでしまう、いいところを見せようとして試合で緊張する、女性ホルモン分泌がさかんになって減量に失敗する、夜更かしして気力体力が落ちる、性行為後にダラダラ眠るので風邪をひきやすい、選手としてのいい時期に出産や結婚をしてしまう、というような理由が一応ある。
理沙一味も基本的に禁じている様子だが、実際は止められるものでもない。

「直心是道場」
やる気があれば稽古はいつでもどこでもできるというような意味。歩々是道場ともいう。いずれも仏教用語。
ただし剣術では、「うちは直心影流じゃないけどね」というようなことを必ず言い添える。

「自主性尊重指導」
なにか問題になった時に、「生徒たち自身が、それを望んだのです」と言い訳できるやり方。
俺が実際に見た例では「殴ってもいいか?」と確認してから体罰を加えるのがあった。
試合に向けて稽古時間を大幅に増やすような場合、「みんなでがんばって勝ちたいと思わない者、手を挙げろ」などと、実際は拒否できない仕組の多数決になっていることも多い。

「下から目線」
上から目線のこと。
21世紀に入った頃から、「上から目線」という言葉が流行っていて、相手を見下して偉そうな言動をさす。
子どもさんは経験が浅くて耐性がなく、とかく我慢に慣れてないので、カチンと来るのである。
人から言われてムカつくことこそが、今の自分に最も必要な忠告だ、というような話が『葉隠』にある。
自分が高ければ気にならないが、コンプレックスになっている部分をつつかれたので腹が立つのであり、せっかく目の前にヒントがあるのに、ここで逃げてしまうのは幼稚であり、いつまでたっても自分を高めることができない。
高めることを放棄して、オレのとこまで降りてこいと言い、低い位置から不平不満を言い続けるのは、下から目線ということなのだ、という意味で、わざと下から目線と言うのだという。
このようなことは武術の世界では(特に伝統武術では)以前からあった話だが、近年は事情が違うらしい。
平成生まれの子どもさん達などは、「気をつけてね」は「お互いに気をつけよう」、「〜君に引き離されないようにがんばる」は「〜君に追いつけるようにがんばる」などと置き換えている。
これは彼らなりに、新しい敬語なのではあるまいか。
なんにしても、言われた相手の気持ちを考えて発言しているのは良いことだと思う。

「死亡確認」「上がる」「行く」「終わる」「腰砕け」
バテて動けなくなること。締め技で落ちることや嘔吐や早退をさすこともある。

「締める」
子どもさんの私語をやめさせること。
高学年の学生などが、「締め役」に任命される。これができないと、あとで自分が首を絞められる。

 

 

「ジャンボ」
2人1組の練習で1人あぶれること、またその人。
ジャンボ鶴田さんがリング上で花束をくれた人と握手しようとしたが相手が気付かず去ってしまい、自分の左手と握手して場をおさめたことが、ラジオで笑い話にされて広まったのが語源らしいが、それは史実ではないともいう。
ジャンボには、ウスノロ、ウドの大木という意味が含まれるため、航空業界では嫌うという。

「重役出勤」
膝行や腹這や素振が終わった頃に来て、地稽古だけやって帰るズルい出席のしかた。学生高学年に多い。

「少数精鋭」
参加者が少ない日に、稽古の順番が早く回ってきてしまうこと。

「シルクハット仮説」
生涯に使用できる精液の量は、シルクハットの容積とだいたい同じという説。これは概算してみると医学的に事実だという。
転じて、弓道家が一生のうちに射る矢数は決まっているという説。
何万射という猛稽古をしたために、胸を悪くして死ぬ弓道家がときどきいる。弓を極めるというのは、そこまでやらなければダメだし、それで本望なのだという。そうでなくても、いずれは老いて死ぬのだから、死に向かって一発一発まじめに、ただの一発もおろそかにせず、いいかげんな気持ちではしないという教え…のはずだが、どっちの話をしているのやら、ようわからぬ。
こういうことを言う人は、面と向かって正論を振りかざすと嫌味になることを知っているから、とかく照れ隠しで冗談まじりに言う。女の股に力を入れろ(「努」の意)などと、ニヤニヤしながら言ったりする。

「酔拳」
酒気帯びで稽古に出ること。
汗をかくので酔いはすぐ抜けるが、息でバレる。前夜、その先生に遅くまでつきあわされたせいだったりする。練習後に必ず飲む団体もある。

「スケカク(に付く)」「介添」
師が他道場へ行く時に、同行して身のまわりの御世話をすること、特に袴をたたむこと。名誉な役目であり、師が休めば指導も代行する。
あるいは子どもさんの着付を手伝うこと。たいてい、父兄は最初から全部手伝ってしまう。審査では、呼出がこっそりなおしている。

「スター千夜一夜」
二重三重の間違いのこと。
かつてアニメ番組に、初見先生の「忍術千一夜」というコーナーがあったが、これを別の番組と勘違いしたうえに、千一夜を千夜一夜、マサアキをヨシアキ、戸隠を甲賀と間違え、忍術が実際にはどういうものかという認識も間違っていたりする。
こうした間違いを見つけた場合、どれから説明していいのか面倒なので、それはスター千夜一夜ですね、とだけ言うことがある。

「染之助、染太郎」
手本を実演する人と、やり方を解説する人。必ず別にすることになっている。冴えたジャグリングと愉快なトークに分業していた兄弟芸人の名が語源。
脳は、言語や図形を司る部分が決まっている。マンガは絵ではなく約束記号である、マンガは絵描き歌を歌いながらでも描けるがデッサンやクロッキーは会話と同時にできない、できたとすれば極端に下手か交互に切り替えてやっている、などという。
武術の技も、実演しながら解説すると、息が上がったり、つい熱くなりすぎて知らないうちに間違ったことを言っていて、「わたし今、なんて言った?」などと言い出す。
 

「そんなことはツネ識だ」
難字難読を説明する時などに、御年配の先生がよく言う言い回し。オヤジギャグに近い。

 

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