推薦
日本では最近、推薦制度がゆるくなりました。推薦人と賛同人を用意し、書式に従って書類を作って送りつけると、検討してもらえる。ほとんど、自分で申請するようなもんだ。

 審査
社会的地位、功績の多少、素性(特に前科、破産宣告、反体制的言動。交通違反など、かなり些細なことまで)を徹底的に調べます。
今後は、受信料・年金・給食費の未納なんてことも、失格理由にひっかかる時代になるかもしれないですねえ。

 内示
天皇が差し出したのに受け取ってもらえないとバツが悪いので、もらう気があるかどうか、内々に確認を取ります。
うちの城で発行してるやつは、内示せずにいきなりですけど。
日本の場合、ある日突然お役所から電話がかかってくるそうですが、えーそんな、とんでもないです、まいったなー、とかグズグズ謙遜していると拒否とみなされ、あっそう、と言ってガチャンと切られてしまうそうです。

 辞退
君主制、人間に等級をつけること、おカミに決めつけられること、権力にシッポを振ること、…などに批判的な人たちは、叙勲の話が来ても断ってしまいます。
日本共産党や旧社会党、気骨があって欲がない芸術家、手柄も立てたが失敗もあって恐縮してる軍人、これといって命がけの活躍をしていない平和な時代の軍人など。
特に芸術家は、勲章を蹴ったということが、もっと大きな名誉になる場合がある。
カミュ、サルトル、ラヴェル、モネ、ドーミエ、クールベなどは拒否してます。
文学賞とか映画祭とか、作品を評価してくれる賞ならば、国家からでももらうが、人間に等級をつけるものは納得できないなどと言って、勲章だけは断ることがある。大江健三郎さんなど。
キュリー夫人も、ノーベル賞は受けたが、レジオンドヌール勲章は拒否した。

 序列による拒否
杉村春子さんが文化勲章を断ったのは、戦時中の偉大な先輩俳優たちがもらってないから、自分がもらうわけにいかないという理由だそうです。
こういう比較による辞退も世界的に多く、先輩や先祖がもらっていれば、私はとてもとてもあの人たちと同格ではないなどと、それはそれで断る場合がある。
これは、目上の人、おのれの分際ということは認めてるわけです、勲章を認めないわけではない断わり方。

 前例づくり
日本のウィスキーの創始者、竹鶴政孝さんは、勲4等を打診された時に、創始者がこれでは、これを受け取ってしまうと今後ウィスキー職人はどんなに活躍しても4等以下しかもらえなくなる、一個人の名誉欲のせいでジャパニーズウィスキーの社会的価値をそんな低いとこへ固定されちゃっては今まで何のためにがんばってきたんだか、という理由で固辞していたら、3等が出たという。日本の場合、3等と4等はとても格差が大きいんです。

 

 勲章のせいで笑い者になる場合
あれだけ左の村山首相や岡本監督や宇野重吉さんが勲章をもらうと、この人の価値はその程度だったのか、懐柔されちゃったか、とガッカリする。
階級闘争のない楽園「新しき村」の広告塔だった武者小路実篤さんが、従三位貴族議員ってどうよとか。
逆に、日頃は皇室におべっかを言ってた人が勲章を拒否すると、言ってることとやってることが違うじゃん! 天皇より自分の売名行為を優先かよ!と思う。
どんな思想信条でも、その人の自由であり、また、世の中にはいろんな意見の人が必要だから、そうしててもらっていいんですが、それを貫いていないということが気に入らないばかりか、その原因が名誉欲というのがまたみっともない。
突然、目の前に勲章がぶらさがると、もらってももらわなくても、この判断は一生取り返しがつかない!と思って、ふらふらっとしちゃうらしいんです。それ自体が、人間として小さいということなんだけど。
逆に、遠藤周作さんが文化勲章をもらうと、キリスト教徒でも日本を愛する日本人だったか、苦悩なさったんだなあ、とか思ったり。

 政府の見栄
たとえば日本人の芸術作品が外国で高く評価されて、外国から賞をもらったというと、「日本政府はバカばっかりで芸術がわからないから、偉大な芸術家を表彰せずにほったらかしている」ということになってしまうので、あわてて日本の勲章を出す。
2国間の親善や交流に貢献したとか、外国人の命を救ったというような人が、外国から勲章をもらった場合、そのままにしておくと、「日本政府は俺たちの国を軽く考えている」ということになってしまうので、とってつけたように日本の勲章を出したりする。

 叙勲者同盟
勲章はもともと騎士団章や十字軍従軍章だったわけですが、平民も、勲章をもらったら高級な人間なので、もらった人たちだけでつるみます。
日本にも、こうした団体がいくつかある。社交界とかセレブみたいなもの。

 なんちゃって勲章
誰でも勲章はほしいが、もらえない人のほうが大多数、あるいは、もらってから過ごす人生はごく短いので、レプリカで自己満足することも多い。
日本だと、自治体などが、なんとなく国家勲章に似たものを作って配ってます。
また、骨董屋とか軍隊放出品の店で買ってきたり、ヒマがある人は自分で作ったりする。
昔、グループサウンズがブームの時、軍服姿でバンドをやるのが流行ったことがあって、米軍の中古の勲章を買ってきて山ほど付けて演奏しているバカがたくさんいました。これが、権威とか体制に対する風刺でやってるならかっこいいんですが、たいていの人は、ただ単にチャラチャラ飾るのがかっこいいと思って、ベルばら風のつもりで、女性ファンをひっかけるためにやっていた。
上村愛子選手は、オリンピックでメダルがもらえないので、紙製の金メダルをぶらさげていたら、紫綬褒章が出た。

 

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