軍事勲章
軍事に関することで将兵がもらう。
正規軍人でなくても、戦時に徴用された関係者は、軍人扱いで叙勲する場合もある。
インドネシアのサクティ勲章のように、軍事に協力してくれた非軍人に出すものもある。
さすがというか、アメリカは20種類以上ある勲章のほとんどが軍事用です。
現代はあんまりあからさまには戦争しないから、軍事勲章という名前になっていても、戦争とか軍人に限らず授与していることも多いです。
ポルトガルに、古代軍事勲章、忠誠刀剣塔軍事勲章、クリスト軍事勲章、アヴィス軍事勲章、サンチアゴ刀剣軍事勲章などがあるけれども、政治家でももらってます。
普通の勲章でも、軍人と文民で分けて、軍人に対しては軍事勲章として運用していることもある。

 騎士勲章
騎士団の団員に迎えられるか、騎士団から表彰されるか、騎士団なんてもう現存してなくてもそれにちなんだもの。
このタイプの勲章をもらうということは、騎士の称号も同時にもらえることがあります。
だから、定員があったりして、欠員が出ないともらえない場合もある。女性に出しちゃいけないという決まりはなくても、あんまり女性には出さない国もある。
バチカンに、マルタソプラノ騎士団章、マルタソプラノ騎士団功労十字章、聖シルベストロ教皇騎士団章、黄金拍車騎士章などがあります。
オーダーというのは本来、これのことです。騎士としての名誉。
騎士と関係ないものは、デコレイションとかメダルといって、ただ功績を誉めるごほうびであって、身分がもらえるわけではない。
アメリカは建国以来、王族貴族や騎士というのがないので、オーダーではありません。

 十字勲章
なんで勲章と騎士団が関係あるかというと、十字軍から来てるわけです。
イスラム教を撲滅し、聖地を奪い返し、植民地を増やし、強姦と略奪をやるため、騎士は東方へ行くわけですが、このとき十字マークをつけて目印にしなさいと、ローマ教皇が決めた。
それで帰国すると、イスラム教徒をたくさんぶっ殺した人は、地位や名誉をもらいました。
だから勲章は(特に戦功章は)、十字のデザインになってることがよくある。
マルタ十字といって、十字架の4つの先端が2つずつに分かれているものも勲章には多いですが、これは特に十字軍に関係の深い十字マークです。
十字架に、剣をバッテンにして重ねたものも多い。こんなのイエス様が喜ぶのかどうか…。
ただ、キリスト教にも派閥があって、英国は国教会の大主教様がいるから、バチカン側の勲章は英国人には出さなかったりする。
英国は、王様が離婚したいというだけの理由でカトリックを捨てた国なので、英国騎士が婦人に奉仕するっていうのは大傑作の冗談に見えるらしくて。
イスラエルは勲章が2種類しかありません。

 戦功勲章
戦争で活躍した将兵がもらう。戦争で活躍というのはだいたい、例の「一人殺せば犯罪者、百人殺せば英雄」というやつです。
プロイセンのプール・ル・メリット、英国のヴィクトリアクロスなどが有名です。
手柄がなくても、戦死すれば出ることもある。
ヴィクトリアクロスは、負け戦の時にも出す。
英国の場合、手柄ではなく「敵前での勇気」を誉めるのがタテマエなので、直接は敵と対峙していない状況での手柄(戦後の不発弾やテロの爆弾の処理、後方支援、演習での事故を食い止めたなど)という分野の勲章を新設して、別にしてあります。

 

 将校勲章
戦功勲章は、たいてい将校と下っぱで分けていることが多く、等級はもちろん種類も分けて、将校専用を設置してる国も多い。
近代社会において王族貴族が存続している根拠のひとつに、選択の余地もなく生まれながらにして職業軍人であり、国民を守ってくれているから、平時に贅沢してるのはしょうがない、という言い訳になっている。
2年間ばかり徴兵されたシモジモの人たちとは、もともと身分も家柄も差があるということです。
ソ連の勝利勲章は、将官専用というか、最高司令官クラスでないともらえない。
そこまであからさまでなくても、高い勲章は「卓越した指導」「リーダーシップ」なんてのを叙勲基準にしていて、事実上は将校しかもらえない仕組になっていたりする。
ヒトラーは、いくらでも身分にものを言わせて派手な高級勲章をもらえたのに、全然興味なかったばかりか、使いっぱしりの伝令兵をやってた頃に、下っぱの人はほとんどもらえない鉄十字章を実力でもらっており、国家元首になってからもそれだけを誇らしくつけていたので、そういう所が兵士たちから人気がありました。

 下っぱ勲章
イスラエルがすごいのは、「優秀な兵及び下士官に対する大統領章」というのがあって、下っぱにばかり出す。
ヴィクトリアクロスは、准尉くらいのあまり身分の高くない人にもよく出すし、英軍では93年の改正で、兵や下士官専用の安い勲章を廃止し、下っぱの人ももう少しマシなやつがもらえるようになりました。

 陸軍勲章、海軍勲章、空軍勲章
陸海空で分けて、名前またはデザインを変えていることもよくあります。
海兵隊、沿岸警備隊、武装警察、統合軍など、さらに各種ある場合もある。
海軍の人でも陸戦したとか、空軍の人でも撃沈したとか、陸軍の人でも軍港のピンチを救ったとかいうことであれば、違うジャンルをもらうこともあります。

 戦功褒章
これも戦功章ですが、国が出すんじゃなくて、国防大臣とか幕僚本部とか陸海空の各長官が出す。あるいは褒章よりも格下の徽章、または、ただの表彰状や感謝状だったりすることもあるけれども、そのかわり文官や一般市民ももらうことがある。
米軍の殊勲章のうち、メダルのやつは省庁が出します。軍隊放出品の店に行けば、低い等級のやつだったら2500円くらいで実物が買えます。
自衛隊も自衛隊内部に隊員の表彰制度があります。後述します。

 軍事功労勲章
国家ではなく軍隊への貢献をほめるもの。多年重職にあって発展に寄与したとかなんとか。
これも勲章とまでいかずに、軍隊内で軽く表彰していることが多いけれども、国によっては勲章にしてます。インドネシアにダルマ勲章というのがある。
日本では、自衛隊で幹部をやったというだけで、普通の勲章が出ます。

 

つづき 

 

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