種類

 同族勲章
各国の王族や大統領が、お互いをおだて合って贈りあうもの。国際儀礼というか外交的な贈答品、国家元首クラスの晩餐会でのアクセサリーです。
スウェーデンのように、勲章制度を廃止しても、これだけは続けている場合があります。おつきあいだから。
ヨーロッパの王室はあれだけ言語が違ってて長年戦争やってきた歴史があっても、じつは意外に親戚同士だったりします。
また、王を立てていない国でも、あんたが政権やってるとこっちも都合いいからがんばってくれ、という友好のしるしとして贈る。
西洋に限らず、インドネシアの共和国勲章、タイのラジャミトラボーン勲章など、各国に最高勲章というのがあり、あるいは普通の勲章でも1等は別格で、これらは庶民がもらえるようなものではないから、それを贈るか、あるいは英国のように王族貴族専用の勲章というのを設置する。
頚飾か少なくとも大綬、あるいは女性勲章です。
昔、イタリアの最高勲章「アンヌンツィアータ大勲章」というのがあって、これをもらった者はイタリア皇帝のイトコとして扱われる、だから授与の際には抱擁してキスしてもらえるというのがありました。ジェノヴァ公(イタリア皇帝のイトコ)が来日して、これを贈ったところ、まだ西洋のしきたりにあまり慣れてらっしゃらない明治天皇が、堂々とハグハグチュッチュをお受けになったそうです。

 成り上がり勲章
庶民にも同族勲章が与えられることはあります。
王族貴族たちのパーティに参加する時に、格式の都合上、庶民のままではダメだから、同席するにふさわしい肩書や地位をつけてやらなければならない。
こういうのがないと、名家同士で政略結婚ばっかりになってしまう。王子も自由に恋して、民間からもお嫁さんを迎えたいので。
国家同士が「承認」しあうように、クーデターやって王様になった人が他国の王様たちから同族勲章をもらえば、なんとなく既成事実的に王様ということで国際上は通用するようになる。
アジアの王室は中華王朝に貢いで地位を認めてもらっていました。
そもそも王様は勲章を出すほうの人であり、もらって喜ぶほうの人ではない。
だから、王様のくせに普段から勲章をジャラジャラつけてるようなのは、まああんまりたいした王様じゃなくて、素性が怪しくて後ろめたいもんだから飾ろうとする。北の将軍様が作業服みたいなブルゾンで通してるのは意外ですが、でもあれシルクだそうですよ。

 女性勲章
女性専用の勲章です。べつに男女差別してるんじゃなくて、女性が勲章をつけるというと、二の腕を出して手袋してドレスを着るので、それに合うようにデザインするわけで。
専用のジャンルになってる場合と、普通の勲章を綬など一部変更して運用しているものがある。
普通は同族勲章。王妃とか大統領夫人とかが使います。

 

 

 勲位
勲章(オーダー)というのは、もともと地位とセットでした。たいていは騎士団章だったり。
たとえば王室ヴィクトリア勲章というのは、ロイヤル・ヴィクトリアン・オーダー(ヴィクトリア騎士勲位)という地位を与えられた人であるということを示す目印にすぎない。
日本でいえば、勲何等、正従何位というのを朝廷からもらうということと、だいたいセットだったわけです。

 聖人勲章
キリスト教は一神教といっても、宗派によっては殉職者を聖人として敬いもするし、先行宗教の神々がいつまでも人気あって布教しにくいもんだから、架空の聖人をでっちあげて、異教の神々を聖人にすりかえて片っ端から取り込み、神殿も祭日も行事も異教のものを引き継ぐといった具合で、天部や菩薩や仙人みたいなのが腐るほどいます。
そのそれぞれにゴリヤクの担当分野があって、それらにちなんだ勲章です。その国の最高勲章か、かなり高級なもの、軍事勲章などに多い。
どの聖人はどの国の守り神というふうに決まっているから、イングランドならセント・ジョージ勲章、アイルランドならセント・パトリック勲章、ロシアならセント・アンドレイ勲章という具合になる。
ロシアは、セント・アン軍事勲章、セント・ウラジーミル軍事勲章、セント・ゲオルギイ勲章、セント・アレクサンドル・ネフスキイ勲章など、セイントがらみが多い。
フランスのセント・ルイ勲章、スペインのサン・エルメネジルド勲章なども有名です。

 その他、偉い人にちなむ勲章
レーニン勲章、スターリン勲章、カールマルクス勲章、ホーチミン勲章、金日成勲章など。
これらも、ほとんど神様みたいなものなんで、プロパガンダやナショナリズムに都合がいい。
アメリカでさえ、ワシントンの家紋と肖像を入れた勲章があります。

 御当地勲章
神話も含めて建国の由来や、土地や組織の象徴になるものは、勲章のデザインや名前によく取り入れられます。アイデンティティだし、特色があって外人にウケるので。
スコットランドならアザミ、アイルランドならシャムロック、フランスなら百合とマリアンヌ、ナチスなら鉤十字、日本なら菊と太陽、韓国ならスモモと易、アメリカなら鷲と13州、ソ連なら鎚と鎌と赤旗、オーストラリアなら南極、ブラジルなら南十字星、スウェーデンなら北極星、タンザニアならキリマンジャロ、ガボンなら赤道、ケニアなら槍、オマーンなら曲がった剣といった具合。

 

つづき 

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