昭和六年乃至九年事変従軍記章 支那事変の従軍章。 青銅章、菊紋、盾、翼を広げた鵄。裏にヘルメットと桜花、「昭和六年乃至九年事変」。鈕は青銅の日蔭蔓。綬は青やベージュや赤の各グラデーション。飾版に「従軍記章」。 銀文字入り黒箱で支給された。 ほかに「支那事変記念章」というのもあって、それは次のページに書きます。 支那事変は中国との戦争。今回もひとひねりでやっつけられると思ったら、ところが中国は大国であり、ダラダラ長期化して、結局これがそのまま太平洋戦争につながっていって、御存知の結果になっちまったわけです。 これのきっかけになった蘆溝橋事件が七夕の夜におきたり、昭和天皇のおしるしが竹だったりして、俺が笹とかパンダとかにこだわるのは、こういうことも含めて言ってるんですけどね。 なお、ここらへん以降の記章は、廃止して無効にするということが法律で決まってます。 支那事変は、今は「日中戦争」と呼ばないと怒られる。支那という文字自体に属国という意味があるから、カタカナで書けとか、シナじゃなくてチャイナと呼べとか、うるさくて大変です。 で、最近は日本海という言い方をやめろとか言ってる。 言葉ばかりとりつくろってごまかしたって、従軍徽章を廃止したって、歴史は、なかったことになりませんよ。事実どういう言葉や徽章があったのか、それを使っていた時代はどんな雰囲気だったのか、きちんと後世に伝え、そこから何を学んで、今後どうするかでしょう。臭い物に蓋して逃げるなよ。 　国境事変従軍記章 これ、実物は見かけるんですが、ようわからぬ。 父が言うには、ノモンハンか張鼓峰のときに記章が出たことがあったようななかったような、とのことです。 章は支那事変従軍記章と似たようなデザイン。綬は黄色に紺縁。飾版に「従軍記章」。金字で「国境事変従軍記章」とある赤箱で支給された。 ノモンハン事件は日ソが川岸でやった国境争い。ソ連の物量に圧倒されて惨敗した。これこそが旧日本軍初の本格的な近代戦だと父が言ってます。きちんと負けて勉強すればよかったものを、後半ちょっと挽回したものだから、負けてはいない、最終的には日本の勝ちだ、気合でいける、航空機でいける、と思っちゃったらしい。 張鼓峰事件は、満ソ朝の国境がミクニ峠みたいになってる所で、やはり日本がソ連を相手に戦った。これまた惨敗だったけれども、日本は中国をやっつけるのに忙しくて、こっちには手が回らなかったから、本気だせばこんなもんじゃない、新型の９７式がある、戦車がなくても速射砲がある、という言い訳体質ばかりが増長したみたいで。 このあと、太平洋戦争の従軍章も予定されていたんですが…（よく新聞広告で売ってる）。 自称「神話の時代から絶対無敗」の神軍が、初めて負けを認める時はもう、とんでもない大負け、軍隊も大日本帝国も消滅して、神が人間になっちゃった。 それは結果的にそれでよかったんですけど、どうせ改善するのであれば、こんなに人が死ぬ前に、もっと早くバカに気付けばよかった。		歴史にイフはないし、ひどい敗戦を経験したからこそ今の日本があるとか結果論はどうとでも言えるし、失敗も勉強材料にしていかないと死んだ人が浮かばれませんが、旧日本軍の話なんて辛気くさかったり、学校の先生も面倒くさがってきちんと教えないから、今の日本人はろくに知らなかったり。 たまに詳しい人がいても、ガチガチな右翼ばかりで、なんにも知らないよりもタチが悪かったり。 でもまあ、誰がどう見ても自衛隊は日本軍なので、うちのサイトでは戦前のやつは「旧日本軍」という表記で一貫してるんですけど。 『有色人種を下等なサルとしか思ってなくて、東アジアを植民地にしていた差別主義欧米列強の白人どもに、目にもの見せてくれた日本軍には拍手なのである』 『欧米白人帝国主義者どもとはいっぺんアジアのどこかの国が戦ってみせなきゃいけなかった。日本がそれをやったのである』 『大東亜戦争という政策には欧米人の人種差別意識を痛打し、アジアの独立をうながし、強国が力ずくで弱い国を植民地にする帝国主義時代の幕を引いたという功績があるではないか』 『それにしてもスケールのデカい戦争をやってくれたものだ』 これ全部、小林よしのりさんのマンガに書いてあった発言。 あれほどの有識者が、こんな幼稚なこと言うからには、もしかしたら、日本人がいつまでも中国韓国にヘコヘコ萎縮してるのを皮肉った逆説表現かもしれませんが、本気で言ってるのだとしたら、小林よしのりさんが下等なサルに見えてきますよ。 俺も旧日本軍が大好きだけれども、それは愛国とか滅私奉公とか精神論とか、最悪な時代の中でがんばって命を燃やして輝いてた生きざまに敬服してるだけです。戦争のスケールがデカくてよかったなんて思わねえなあ。 小林よしのりさんが言うところの「東アジアを植民地にしていた」「差別主義」「人種差別意識」「帝国主義」「強国が力ずくで弱い国を植民地にする」、これみんな日本がやったことでしょ。 子どもじみた言い訳ならべて正統化したら、英霊がみじめになるだけだ。 まさか、こういうヘンテコな感覚で従軍記章をコレクションしてる人、いないでしょうね？ アジア人にも優秀なのがいるぞと、白人をびっくりさせるのは、浮世絵でも柔道でも日本車でも、違う方向がいくらでもあるんだし、戦争でびっくりさせるにしても日露までで充分。日本はアジアを侵略した、それはそれとしてちゃんと認めて、そこから出発しないと先へ進まないじゃないか。 石油を止められて、大陸から手を引けと言われて、ヒトラーが快進撃やってて、戦争しないわけにいかなかった、しょうがなかった、と言うためには、まず、侵略したという事実を認めないことには、話にならんじゃないか。 きちんと終戦しようや。 　 →もどる