宝冠章

オーダーズ・オヴ・ザ・プレシャス・クラウン。
女性勲章です。
日本の勲章はたいてい、鈕か副章の裏に「勲功旌章」という文字があるんですが、宝冠章はなんにも書いてないという。
それに、これだけは地金が銀じゃなくて純金?らしい。

正章は、金色の古代の女帝冠を青い楕円におさめ、赤い楕円と竹と桜で囲った、四方トゲトゲのデザイン。カメオ風です。
カメオは本来、男の装身具なんですけど、ヴィクトリア女王が好んで以降、なんとなく女物になってます。

6等以上には鈕があって、古代の宮廷女官の紋様からとった風流で優しい意匠が用いられており、これで等級をあらわす。
綬は黄色の地に紅の双線。

副章は楕円ではなく円で、青地に金の鳳を、赤丸で囲い、トゲトゲではなく真珠がびっしり5方向へ放射状に並ぶ。
真珠が、大量に使われているので原価がバカにならないから、人工で代用しちゃおうかという話が出たけれども、いまだに本真珠でがんばってます。

格式で言えば、等級が同クラスなら、瑞宝章より上、旭日章より下という位置付けでした。
制度改正して、旭日章を女性にも出すことにしたので、宝冠章は王族貴族などへの儀礼的な発行だけになり、価値は高まったのかもしれないが、もう日本の庶民はもらえないことになってしまった。

しっかし、男女同権もいいんですけど、こういう女性ならではの優しい華やかさが絶えるのは、バカですね。せっかく女性は美しいのに、男も女もみんな男の格好になっちまったら、女も損だが、男から見てもつまらんぜ。美輪明宏さんみたいな人も含めて、希望者にはこっちのほうを選択させてあげればいいのに。やっぱり材料費か。

これも改正後は、それぞれに個別の名前がついた。今まで英訳してたとおりの名前になりました。

宝冠章は、俺が出入りしてる骨董屋では見かけたことがないです。セレブ感が喜ばれて、死後も娘さんが手放さないものらしい。どのくらいなら買いかという基準が俺にはわかりません。今後は値上がりする一方だと思います。

 

 勲八等宝冠章
ジ・オーダー・オヴ・ザ・プレシャス・クラウン、シルバー・メダル。
章が全体的に銀色。廃止されました。
いわゆる「ひめゆり部隊」がこれだった。
もともと宝冠章は庶民がもらうようなものではなくて、プリンセスとかファーストレディのパーティドレスを飾るものだから、最初は5等までしかありませんでした。庶民用である6等以下は、金鵄勲章よりも遅れて制定された。
8等と7等は、外側のトゲトゲがあまり尖っていなくて、省略気味です。

 勲七等宝冠章
ジ・オーダー・オヴ・ザ・プレシャス・クラウン、ゴールド・メダル。
章が全体的に金色。これまた廃止された。
従軍看護婦(特に、日赤のほう)、保育園長など。
うちの母は僻地の学校で自主的な活動があって、退職後は私塾や文筆での活動があり、コレもらえそうだったんですが、子どもさんの笑顔以上の勲章があるかとかなんとか言って、教育委員会などの表彰しか受けてません。

 勲六等宝冠章(現在は宝冠波光章)
ジ・オーダー・オヴ・ザ・プレシャス・クラウン、リプル。
小波。ここからは、章がカラフルになり、名前のとおりの鈕が付く。
戦前は、女学校の創立者でさえ、このへんでした。戦後は、県立病院くらいの看護部長など。
あと、デザイナー! 文化勲章なんかもそうですが、デザイン業界ってのは、やたら低く扱われる。これをなんとかしてくれる人がいたら、俺が勲章くれてやりたいくらい。
美術が一律みんな低いならまだしも、日本画や油絵や陶芸は偉くて、彫刻はちょっと下、ここらへんまでが御芸術家で、その下が木金ガラス漆染織などの工芸、つまり職人だから低くなる。その下が写真とか図案で、建築や服飾や華道ならともかく、広告や出版なんて下賤のヤクザ稼業とされている(笑) もちろん、どこの業界にも別格の大御所がいるけれども、国家から見れば歴然と格付がある。
もっとも、その下にまだ下があり、アニメやマンガなんかは、もはや美術の範疇にさえ入らず、絵ではなくて記号とみなされている。髪型や服装や口調がつねに同じで、汗をたらしたら困惑してるとか、安易な約束記号とパクリの集積なのは事実だけれど、しかしサザエさんだけが偉いってのがよくわからない。

 



この画像は俺の師の御母様の。

 勲五等宝冠章(宝冠杏葉章)
ジ・オーダー・オヴ・ザ・プレシャス・クラウン、アプリコット。
杏。武術を知ってる人はギョウヨウと読んでしまいがちですが、政府がフリガナふったものを見ると、キョウヨウと読ませている。
国立病院の婦長くらい。
芸術家はだいたい4等ですが、大衆芸能は少し低く扱われる。笑点の前座に出てきて三味線を持って歌いながら笑わせる芸人は、このへんどまり。漫談が線入りナースと同格っていうのは、それでも評価されてるほうなのかもしれないですが、あるいはナースさんが安すぎ? 王族貴族から見れば、医者でさえ使用人であり、看護師なんぞは医者のそのまた家来、助手くらいにしか思っていないらしい。

 勲四等宝冠章(宝冠藤花章)
ジ・オーダー・オヴ・ザ・プレシャス・クラウン、ウィスタリア。
藤。戦後は、女子校チェーンを経営していれば、このへんか、政治家とコネがある人なら、もうひとつ上くらいをもらっていた。
戦後は、このへんがよく出ました。女優、歌手、画家、小説家など。
黒柳徹子さんだけは、ペリー来航のとき通訳をつとめた功績があるので(タモリさんが言いふらしているネタ。本当は国連関係の活動が評価されて)、瑞宝章の3等が生前授与になりました。あのくらいの人になると各国VIPと会うから、勲章がないわけにもいかないんでしょう。

 勲三等宝冠章(宝冠白蝶章)
ジ・オーダー・オヴ・ザ・プレシャス・クラウン、バタフライ。
蝶。他の勲章と違って、このクラスでも中綬でない。女性用だから、一等以外はみんなチョウチョ型リボンで、左胸につけます。せっかく肩をはだけたドレス着て、首にはネックレスくらいつけるだろうから、そこへ中綬でもねえだろうということで。
白蝶、これも政府はシロチョウとフリガナをふっている。ようわからぬ。
学長、専門学校長、大学教授、家裁判事など。

 勲二等宝冠章(宝冠牡丹章)
ジ・オーダー・オヴ・ザ・プレシャス・クラウン、ピオニー。
牡丹。国会議員、宮家の娘さんなど。
これをもらった皇族が国費で留学中に、ネット上に書いた発言、
『やば・・・。Weblog / 2006-04-04 21:15:13 バカみたい。ちょー後悔。病気うつされてたらどぉしよう・・・。マジで神様に祈るしかないです。』そして落第して、卒業できないまま帰国した。

 勲一等宝冠章(宝冠大綬章)
グランド・コードン・オヴ・ジ・オーダー・オヴ・ザ・プレシャス・クラウン。
民間から嫁いで皇太子妃や親王妃になったとか、内親王が成人すれば、自動的にもらえます。
あとは外国の王族への御贈答。ヨーロッパの王女などにだいぶ配っている。
サッチャーさんにもこれを贈ったけれども、あの人はブルーガーター勲章も受けてるし、騎士になっちゃってるので。
女帝なら、もっと上、菊花章が与えられます。

 

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