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おとなの鳴き声は合計一一種類あり、オス、メスとも鳴き声のレパートリーはほとんど同じである(略)。

そのうち〈ハーッ〉あるいは〈フーッ〉と〈グッ〉、〈クパッ〉の三種類は、基本的には声というより音で、残りの八種類が声である。

そのほとんどが、主要周波数は一キロヘルツ以下である。

体の大きさが同じくらいの肉食動物のそれにくらべ、パンダの鳴き声は、とくに〈ンエーッ〉あるいは〈ンエーエ〉と「チャープ」は、主要周波数がかなり高い(略)。

 私たちが知ることができたパンダの鳴き声のレパートリーはまだ不確かなもので、〈クパッ〉や〈ングーッ〉や「チャープ」などは、さらにその機能を調べる必要がある。

したがってここではパンダの音声レパートリーを、予想される機能あるいはすでに確認された機能にもとづいて便宜的につぎの五種類に分ける。

ただし、鳴くときの状況に応じて二種類の鳴き声を組み合わせる場合があるため、分類の境界は明確ではない。

(一)個体間の友好的関係を促進する純粋に社会的な鳴き声……
〈ンエーッ〉あるいは〈ンエーエ〉だけ。

 

(二)不安を表現する鳴き声……
〈ハーッ〉あるいは〈フーッ〉と〈グッ〉、〈クパッ〉の三つのタイプの鳴き声。

それぞれの鳴き声が発せられた状況から判断して、前二者は不安に誘発され攻撃的に威嚇する場合に、後者は防衛的に威嚇する場合に聞かれる。
三種類とも低い鳴き声である。
威嚇の要素のない、たんなる不安や恐怖、苦痛を表現する〈ングーッ〉は、つぎのグループにはいるが、これら三種類と組み合わさって発せられることもしばしばである。
たとえばそれぞれが単独で発せられる場合もあるが、〈グッ・ングーッ・グッ・ングーッ〉とか、〈グッ・クパッ・ングーッ〉あるいは〈ハーッ・グッ・クパッ・ングーッ〉のように、二種類以上の鳴き声がつづけさまに発せられたりもする。

(三)攻撃的意志のないことと不安を表現する鳴き声……
〈ングーッ〉と〈キーッ〉。

声の高さはさまざまに異なる。

(四)明らかに威嚇をともなった攻撃的な鳴き声……
〈ンググググ〉と〈ウオーン〉

(五)その他の鳴き声……
情緒の状態に応じて少しずつ異なり、声の高い順にいうと、「チャープ」、〈キキキキ〉、〈ウアン〉、〈ンーン〉。
これらの鳴き声をだすとき特定の順序はない。
ひとつの鳴き声から別の鳴き声に流れるようにつながり、区別できないほど中間的な鳴き声が発せられたりする。
これら四種類の鳴き声の機能は、状況に応じてさまざまに異なる。

 

 →つづき 

 

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