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〈ンーン〉など呻くような鳴き声
（moan）
☆強い調子の〈ッンーン〉や柔らかな調子の繰り返し〈ン・ン・ン〉から、低いピッチの唸るような声や鼻にかかった低い呻き声、なめらかに、あるいは急速にピッチが上下する長く引っぱった呻き声など、じつに多様性に富む。
頭を低くし、立ったまま、あるいはすわって、ふつうは相手と顔をつきあわせて鳴く。
口を開いたままの場合も閉じたままの場合も、開いたり閉じたりしながらだす場合もある。鳴き声が変化に富む原因のひとつはここにある。
鳴き声を一回だす場合と一気に何回かを繰り返す場合があるため、長さも○・二-二・五秒という幅がある。
主要周波数は一キロヘルツ以下である（略）。
こうした鳴き声はチェンチェンが求愛関係にあるとき、ごくふつうに聞かれた。
ウェイウェイや若い個体は他の個体と出会ったとき、〈ウオーン〉や〈キーッ〉、あるいは〈キキキキッ〉のような鳴き声を発したが、〈ンーン〉という鳴き声で鳴くことが多かった。
あるときトウヒの樹上に追いあげられた若い個体がそのてっぺんでこの〈ンーン〉を発したが、木の下ではオスが待ちかまえていた。
ある晩は二頭が出会ったらしく、夜中一時から三時半まで〈ウアン〉や〈キキキキッ〉の鳴き声で騒々しく鳴きあっているのが聞こえた。うち一頭は柔らかい調子の〈ンーン〉をしばしば発した。
英雄溝の飼育下では、見知らぬ個体どうしが同じ囲いに入れられるとこの鳴き声を発した。
ワシントン動物公園のメスも手で性器をいじりながら〈ンーン〉や〈ンエーン〉、あるいは音の高低がある鳥のような鳴き声（chirp）で鳴いた（略）。
一般に〈ンーン〉は弱い防御的威嚇、つまり中程度の警告であると思われている。
ところが一九八一年四月一二日、体の大きな個体が単独で〈ンーン〉や〈キキキッ〉や〈ウアン〉の鳴き声で騒ぎたて、その鳴き声は半径一キロメートル以上もの広い範囲で聞こえた。
別の個体（性別不明）も、一九八三年五月八日、九寨溝保護区で〈ンーン〉や〈ウアン〉〈キーッ〉の鳴き声を発しているのが観察され、交尾期と関係があるように思われた。
この意味でこの〈ンーン〉は自分の存在を遠くにまで知らせる機能をもつといえるかもしれない。
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「ンーン」
↓ 試訳
「う〜っ！」「あ〜、もう」「ええい、クソ」「だああ〜」「なんだバカヤロー」「べらぼうめ畜生め」「やんなっちゃう」「めんどくせえ」「うぜえ」「やってらんねえぜ」「なんだかなあ」「やれやれ」
モウンは悲痛なうめき、「うう…」という感じですが、ここではもうちょっと能動的、イライラした時か、特に理由はなくてもむなしくて精神的に満たされない時の、口癖くらいでしょう。
だからこそ、多様性と変化に富んで、さまざまな場合があると思われる。
みんなが静かにしてる美術館や図書館や劇場だと、わざわざ大きな声で「ふわぁ〜あっ！」などと、アクビか背伸びのようなことを言うオヤジがいたりする。
場の緊張感、張り詰めた空気に耐えられなくて、感情を放出しているものと思われる。
これが一番、近いと思いますね。
かなり低い音だから、それほど感情的でない訳が合う。
あきれ果てた、疲れた、というニュアンス。
また、酔っぱらったホームレスが、ひとりで、大声で、なにかをずっとわめいてることがありますね。いや、うちの近所ではあるんです。静かな夜に、ビルの谷間でやられると、鳴子谷現象をおこして声が響くから、１キロ四方くらいは余裕で聞こえる。やはり、意味をなす発言ではないことが多い。
理沙吉とスーパーに行ったら、子連れの主婦がいて、その人は、スーパーの壁が鏡になってるところで自分の顔を見て、「はーあっ、ひどい顔！」と、かなり強い口調で独り言を言った。大変ですね主婦は（笑）
そしたら、よせばいいのに理沙が、「奥様、そんなことないですよっ！ がんばってくださ〜い」とか、知らない人なのに話しかけちゃって、むこうはびっくりして苦笑して、ありがとうとか言ってたようだったけど、俺は他人のふりをして（他人だが）その場を離れた。
千鳥姫は、トランプや花札で負けてくると「フーッ！」「ン〜！」などと、独り言のように強く息を吐き出します。
また、俺が何かバカをやった後の片づけをやってくれる時は、「ああ！、ああ！、ああ！ ま〜た、こんなにして！」などと言う。
いずれも、発言することによって、精神のバランスをとっていると思われます。
声を出すというのは、単純にまず深めの呼吸だったりするし、体が振動もしますから（ヨーガでは、特定の音声による振動が、霊的中枢への刺激になるとして重視する）、カラオケとか、海や川に向かってバカヤロー！とか、愚痴をまくしたてるとか、声を出せばスッキリするというのはありますね。
つまり、意思疎通に限らないわけです。
パンダも独り言を言うかもしれない、ということを視野に入れなければなりません。
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