陸軍二等兵 プライヴェート
 海軍二等水兵 スィーマン・アプレンティス

 空軍二等兵 エアマン・ベイスィック

単にプライヴェートと言えばコレです。
軍隊に入って1年未満は、初年兵ともいいます。以降、勤務年数によって、二年兵、三年兵などと呼ぶ。
自衛隊の場合、学校卒業と同時にやる気満々で入隊した3月隊員、受験や就活に失敗してボンヤリしてる人をかき集めた4月隊員、それでも足りなくて補充した5月隊員、なんて具合にも分かれてる。

どこの業界でも同じように、新人は使い物にならず、しかも経験させないと育たないから、危なっかしくても現場に出すしかない。
失敗しながらベテランになっていくわけですが、軍隊の場合、失敗というのは本人または仲間や国民の死だったりする。

二等兵なんぞは、ものの役に立つ頭数には入っておりません。足手まといでしかない。
しかし、一等兵や上等兵は、ほっといてわいて出てくるわけじゃないから、二等兵たちを育てていかなきゃならない。

旧日本軍は、中国人が経営してる店では銃剣をちらつかせてディスカウントを強要したらしいんですが、二等兵だとバカにされてオマケしてくれなかった、ということを父が言ってます。

自衛隊では配属までに半年、さらに一人前になるのに1年くらいかけてます。
この段階までに適性が判断されて、伝令とか経理とか整備とか測量とか、何か特殊な役職に回されるかどうかが決まる。
戦闘訓練では役立たずな奴が、みんなの足を引っぱるばかりで、気まずかったりイジメられたりして居心地が悪いから転向する場合と、工業科の学生だったのが召集されたとか実家が工務店だとかで、得意だからやる場合、それに、本人が希望する場合としない場合がある。
歩兵だと炊事兵はコワモテの人がやっていて、いわゆる「いいとこ取って残飯食わす」になるんですが、父の部隊では、炊事兵は全員おちこぼれだったとのことです。

なお私立探偵も、公的機関(警察や検事など)ではないという意味でプライヴェートといいますが、プライヴェットに近く発音するそうです。
探偵をワンマンアーミーというのは、そのへんのニュアンスもあるらしい。
軍隊で言うプライヴェートは、役付でない、役人でないという意味です。

 

 陸軍一等兵 プライヴェート・セカンドクラス
 海軍一等水兵 エイブル・スィーマン
 空軍一等兵 エアマン・セカンドクラス

昇進は選抜が定期的にあるので、優秀な人から先に上がります。
旧日本軍だと、早い人は半年で一等兵になれたそうです。

武道と同じで、昇進には年齢も条件になる階級もあります。若僧のくせに身分ばかり偉いと、優秀なら優秀で嫉妬があってつぶされたり。

しかし、さしたる手柄も取柄もなくても、長くやっていれば、一等兵までは必ず自動的に上がります。
実力は二等兵とたいしてかわらない。

しかし専任の役割を受け持つので、少し責任が増える。重火器もだんだん使うようになる。
また、キビキビしてるというか、敬礼ひとつでもサマになってるので、見る人が見れば二等兵と見分けられるものなんだとか。

分隊長から見ると、上等兵は自分の仕事を手伝ってくれる人であり、実際の業務の主力となるのは一等兵です。

「万年一等兵」といって、大ベテランであるにもかかわらず、素行か何かに問題があって、上等兵になれない、あるいは、わざとならないという人もいます。

 

 陸軍上等兵 プライヴェート・ファーストクラス
 海軍上等水兵 リーディング・スィーマン・セカンドクラス
 空軍上等兵 エアマン・ファーストクラス

上等兵は、優秀な人なら入隊1年後には昇進してしまうのですが、普通は、前の戦争に参加したか、兵役をすませたのがふたたび戻ったか、一等兵を2年くらいやったというような、軍隊生活に慣れていて本当にベテランと呼べる兵。
「星みっつ」と呼ばれます(階級章がそうなってるので)。

軍隊というのは、我々のイメージよりもダラダラしているもので、がんばってもがんばらなくても給料は同じなんだから、死んだら損というか、そんなにバカみたいにまじめにやらなくても言われたことだけやっていれば、とりあえず頭数がいるから作業が片付いてしまうのですが、率先してがんばるような、やる気マンマンな人は、選抜されて上等兵になります。

二等兵一等兵のこまごました面倒を見るのは、この人たちです。班にひとり、教育係の上等兵がいます。人事を決めるのは下士官ですが、いつもつきっきりで指導しているのは上等兵。

上等兵は、分隊長の補佐でもある。
分隊長がアホまたは故障で役に立たないので、古参の上等兵が一等兵二等兵をまとめているという場合がよくあります。

おまえは優秀だから下士官候補になれという話も、ぼちぼち出る。
自衛隊では、こいつは使えると見たら、かなりしつこく勧誘するという。旧日本軍では、中隊から1人とか推薦枠があって、叩き上げでは下士官に出世しにくかったという。

職業軍人になる気がなければ、このへんで終わる人が多い。
徴兵で平時の場合、なかなか上等兵になれないという。ずっと一等兵で、引退時にやっと上等兵という感じです。
というか、徴兵で引っ張られた人が任期を終えて地元に帰った時、上等兵になっていると、ものすごく社会的に自慢になりました。

また、このへん以上になると、現場を離れて本部や司令部にいて、何かの係をやる人もいる。
炊事係だと一等兵もいますが。憲兵や衛生兵をやるのは、上等兵くらいから。
これらは、同じ内務班に所属していても、仕事が別なので、寝る時以外はほとんど一緒にいないわけです。

旧日本軍だと、スペリオル・プライヴェートと訳されたり、これを伍長と呼んでいた時期もありました。

米空軍では、下から、プライヴェート、プライヴェートファーストクラス、コーポラルなどとやっていたのを、「エアマンの何」に改めました。

 

 陸軍兵長 スタッフ・ランス・コーポラル
 海軍水兵長 リーディング・スィーマン・ファーストクラス
 空軍兵長 シニア・エアマン

兵長は、日本では太平洋戦争の少し前に新設されたもので、それ以前は伍長勤務上等兵(略して伍勤)と呼ばれていました。

この階級の軍人さんの写真は、左側から撮らせていることが多い。左腕に伍長代理をあらわす徽章があり、これを見せびらかさないと、ただの上等兵だからです。

この場合のランスは、ペノンやバナーをつけた隊長槍のことで、隊長ではないが隊長代理ができる人として槍をまかされている、ということです。
兵長で班長になる場合もあります。

分隊長や班長はすぐ戦死するので、いざという時に代われる人もいないと困る、しかし普段から親分が2人いるのも困るので、兵だけど下士官の仕事ができる人を用意しておくわけです。
それに、兵の中にせっかく優秀なのがいるなら、使わない手はない。

これは叩き上げの出世頭であり、この階級をもらえるほどの人なら、いずれ下士官になることが多い。
しかし、兵と下士官はやっぱり明確に違うので、兵から下士官になるには、一応の研修とか試験とかがあります。自衛隊もそうです。

すでに歳をくっていて、今さら自分の息子より若い生徒と一緒に学校で勉強するのは恥ずかしいという理由で、下士官にならない古参兵長というのもいます。兵のベテランの究極です。温和な人が多いという。

 

つづき 

 

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