帰休兵、羽根つき

帰休兵は、1か月くらい早めに現役を仮に終了させてもらって、自宅待機している現役。
まさに仮釈放と同じで、「自宅にいるけど服役中」です。

兵科や勤務地にもよりますが、だいたい秋に大規模な演習があり、最後の年のそれが終わったら、11月いっぱいくらいで帰らせてもらえる。

なんでこういうことをするかというと、父は、羽根つきをさせるのだ、と言ってます。
羽根つきというのは、自宅で家族と正月を迎えたりして、気持ちがうかれることを言うんだとか。

現代の日本のように何十年も戦争がないほうが珍しいことで、昔は「現役満期終了。即日、予備役召集」という、軍隊に入ったら入りっぱなしで実質的に任期が終わらないということがあり、まあ1か月くらいは休ませて、立派になった姿を家族にも見せて、双方満足して、決意も新たにすぐ戻ってこいやということらしいです。

 

 予備役、常備兵役

予備役は、現役が満了して民間に戻るが、数年間は、第一線の予備として待機しているもの。
兵科によって違うけれども、だいたい5年間くらい。

これは戦時編成の定員分だから、レギュラー枠が増えるということなので、補欠ではなく、スターティングメンバーです。開戦すれば、軍隊に戻る。

現役、予備役、ここまでを常備兵役といいます。

自衛隊には予備と即応予備というのがあわせて5万人くらいいて、退職者の中から志願者が採用され、有事でなくてもたまに呼び出されて訓練を受けます。
ただし、自衛隊には有事はあっても戦時はなく、防衛だけしかやらないタテマエなので、これは定員外です。

 

 奉公袋

待機の人たちは、軍隊に関する書類なんかを全部ひとまとめにしておいて、何かあれば、この袋ひとつを持って軍隊に駆け付けることになっていました。
戦国時代の一領具足みたいなもの。

 

 後備役

後備役は、予備役がすんだ人を、さらに10年間くらい待機させておくもの。

ここからは補欠です。
若いほうから呼び戻して現役・予備役の欠員に当てますが、後方の治安維持とか、あまり実戦的でない仕事を担当します。

この人たちが次々に前線にかり出されて戦死するようでは、上層部がよほどヘタクソだということと、たぶん敗戦だろうなということが、国民にはちゃーんとバレている。

旧日本軍は、緒戦の上海戦から、後備役ばかりの部隊を投入するなんていうムダ使いをやりました。
簡単に片付くと思ったら苦戦したので、じゃあ精鋭をつぎこむかっていうと、弱っちいのを投入して、ダラダラとムダ死にさせてしまった。

 

 退役、退役軍人

退役は、将校や准士官が、後備役を満了したか、戦傷を負ったりして任務に耐えなくて軍隊をしりぞくことですが、軍人をやめたわけではない。
退役軍人という身分で扱われ、制服も着続けるし、拳銃も軍刀も私物だからそのまま持っていて、退役大佐とか退役大尉とか、階級に退役とつけて名乗ります。

将官クラスは、経験や人脈やカリスマ性が重宝されるし、革命でも起きれば隠居してる場合ではないから、呼ばれなくても戻ったりします。

戦闘機や戦車や軍艦も擬人化されて、使わなくなることを退役と言いますが、軍艦くらいだったら、係留して見せ物になっていたのが改装されて、ふたたび実戦にひっぱり出されることがある。
戦時にはバタバタ沈んで足りなくなるから、一隻でも多くほしいので、それほど第一線の仕事でなければ、まだまだ使える。

ただ、父たち下士官の仲間内では、在郷軍人も退役軍人と呼ばれていた、本当の退役軍人だけをさす場合は、二度と軍隊には戻らない「廃業」というニュアンスだった、とのことです。

なんにしても、兵隊さんというのは、このへんまでを言います。次ページに書くようなのは、いないよりマシというくらいでしかない。

 

つづき 

 

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