へんなやり方すると逆効果

体を鍛えるときの注意

 

 やりすぎない

最初から無理しないでください。飛ばすと続かないし故障もする。
俺がお手伝いさせてもらっている団体の小中学生は、その半数くらいが、懸垂も腕立も1回もできません。寅吉の団体はもっとひどい。それは単なる指導者の恥ですが、わりと鍛えてる子でさえコレだから、現代人の生活環境というか、時代の流れというか、ひょっとすると種の生命力みたいなものが、大変なことになっているのではないかと思います。なにかっつうと、すーぐ骨折する。
軍隊の特殊部隊みたいに、故障して脱落するならどんどん脱落しろ、代わりはいくらでもいる、お前じゃなくてもいいんだ、というのならいいんですが、武術の場合、あなたは、あなたしかいない。
精神力を鍛えるために、たまには限界まで、動けなくなるまでやることも絶対必要ですが、それは慣れてからでいい。
普段はかすかに疲れる程度で、そのかわり毎日やって習慣にしましょう。
筋トレは、今ある筋肉をいったん壊すことだから、壊れた物質が抜ける48時間ごと、1日おきでもいいけれど、1日おきというのは、慣れないうちは挫折しやすい。

 

 回数

筋力を向上させることだけに限定すれば、負荷をかけまくって、たとえば、続けて10〜15回くらいしかできないほどのキツい動作を、3〜4セットやるのが理想です。
しかし、慣れてない人が肉離れやギックリ腰になっても困るし、武術のためにやるのであれば、鉄棒を20回振れば竹刀で200本やらなくていいというような単純なものではないです。
プロレスラーがスクワット何千回なんてことは、あれはあれで、自分に自信をつける意味があります。打撃系のセミプロでも、スクワットや腕立を100回できない人ってのは結構います。
慣れて習慣になっても、武術用の筋肉を作る負荷は、最大筋力の6〜7割程度。連続20回しかできないくらいの動作を、1セット15回くらいでやめておくということです。
これ以下なら、やってもやらなくても同じ。これ以上やると、瞬発力はあるけど疲れやすい、スタミナのない筋肉になります。赤身魚・白身魚っていう、筋肉の種類のせいです。一撃必殺ではなく連打の人、1ラウンドが長い人ほど、1セットの回数を少なくする。

 

 やりきる

やりすぎてはいけないが、効く回数までは、やりきること。自分を甘やかさない。
本当は、すでにやったことある人につきっきりで見ていてもらって、どこらへんから危険なのか判断してもらうのが一番いいんだけど、このコンテンツに書いたような話は、あんまり危険がないものを中心にしてるんで、本当に限界なのか、やればできるのに泣き言を言ってるのか、御自分でわかるはず。
自分の心にやましいというのは精神の毒であり、肉体にも悪い。
きんさんぎんさんは、この芸能人を知ってるかとインタビューされて、テレビで見たことあるなどと社交辞令を言ってから、ホントは知らないごめんなさいと、撮影後にこっそり謝ったりしてたそうです。そうやって、まっすぐスッキリ解決していく人は、病気なんか吹き飛ばしてしまうから、めったなことでは早死にしない。
鍛えなくてもいいやと、本当に思ってるならいいんですけど、鍛えなくちゃな〜と思っているにもかかわらず、ヘタレでいいやラクだし、などと「ウソぶいてる」「自分に言い聞かせて言い訳している」というのは、体に悪いし、長時間チクチク苦痛でしょう。さっさと苦しい運動やっちゃったほうが気持ちいい。

 

 集中

むやみに科目を増やすのはよくない
全身まんべんなく、いっぺんにやろうとすると、散漫になって効果がうすく、意識も栄養も分散してしまいます。
熱心な人ほど陥りやすい失敗は、あれこれやってどれも身になってないという、空回りです。
かといって、一部分だけやりすぎると全身のバランスが崩れるし、故障する。
その中間をとります。すでに全身のバランスが崩れている部分、たとえば足が弱ければ足にテーマをしぼって、2か月だけ、他の部分より多めにやる。この、2か月っていうのは極意です。これ以上でも以下でもよくない。
楽器の練習でいつも曲のアタマから通してやると、得意な所はどんどん走り、苦手な所はいつまでたっても相対的に下手なままです。
時には、一部分だけをやるということが、全体のバランスをとることでもある
鍛練法は無数にあり、自分がどんなジャンルをやっているか、どんな体型で、どんな戦法や得意技を売りにしているか、どんな技をかけられやすいか、先生がどういう指導方針で、自分は今は何をやるべき段階にいるか、怪我や老化の種類と程度などなど、いろんなことが関係します。御自分に合ったものを選んでください。

 

 目的

筋肉の量は、筋力をつけていく中で自然についていくのが理想。その人にふさわしい肉が、つくべき所についてきます。
背がなくて足が短い人がむやみに筋肉をつけると、ちんちくりんになる。胸板を厚くしたせいで、肺が小さくなり(レントゲンをとると本当に小さくなっていることがよくある)、すぐ息があがって、小さい人のせっかくの長所である小回りの速さが失われる。
背が高くて痩せ型の人は、骨格が耐えられなくてバランスが崩れます。膝関節なんか特に危ない。
この骨にこのくらいの肉ということは、じつは成長期と遺伝で決まっており、どんなに鍛えても、その枠内でしか肉がつかない。
体型を変えるといっても、限界はあるということです。
俺は20代前半に、コンビニ弁当いっぺんに3個(おかずの多い幕之内風1、満腹感を得るための丼物かピラフかチャーハンかカレーか何か1、味噌汁代わりの湯切り麺か冷凍麺1)、牛乳1日1リットル、水1日2リットル、倉庫の力仕事のバイト1日12時間を週6日、これを3年続けましたが、力は劇的に強くなったけれど体重は3キロくらいしか増えませんでした。中性脂肪は増えましたが。
力士やレスラーは白飯をいっぺんに10杯も食べるようなやり方をしますが、あれは生まれつき体格に恵まれた人が、毎日ものすごい運動しながらつけていった体重だから、筋力もちゃんとあります。それを見た目だけマネしても、動きが鈍くなるだけ。肥満症は病気の一種なので、後述します。
大相撲の力士は、測定してみれば、バスケットやバレーの選手なみの跳躍力があるそうです。重戦車にするなら、全体的に総合的に大型車にしなければならないので、エンジンもサスペンションも小型戦車用のままというわけにいかない。
どんなに体重を増やしても、手先だけで打っていたり、攻撃をただ単に受け止めているなら、たいして意味はありません。今ある体重を効率よく攻撃に乗せたり、受け止めるからにはそれが次の攻撃につながるための動作だったり、受け止めずに未然や不発に処理したり、「体の運用方法」が重要で、まずそれができて初めて、体重があればあるほど有利になる。
鍛える目的は、強くなることです。強そうに見えることではない。まともな武術の場合、強そうに見えることは不必要どころか、かえって邪魔です。ましてや、運動能力を落としては意味がない。運動能力を高めるだけなら、武術でなくてもいいし、筋肉でなくてもいいくらいです。

 

 →つづき 

 

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