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 源氏名

女性の別名の一種ですが、武家も無関係ではないので申し添えます。

『源氏物語』の54プラス1巻は、各巻に名前がついていて、それが夕霧だの幻だの花散里だの夢浮橋だの、いかにもヤオイの人が好きそうな美しい題名なものだから、香道や投扇興の用語にも流用されたわけです。

武家の場合、規模の大小はともかく大奥みたいな女性社会があって、そこで働く女性のうち身分の高い人が、仕事上の名前として使いました。
これを源氏名といい、売春婦の偽名にも使われたわけです。

現在では、水商売の女性が、その時その時の流行の芸能人の名前をパクるなどして名乗りますが、厳密には、あおいちゃん、ほたるちゃん、みのりちゃん、わかなちゃん、みゆきちゃん、おとめちゃんなんてのが本当の源氏名です。

 

 二つ名、〜と恐れられる

これも称号ですが、猿の三次、鬼の平蔵など、どちらかというと畏怖や軽蔑を込めたアダ名です。
俺がパンダになっちまったのはコレです。

自分で名乗ると恥ずかしいので、「誰が呼んだか銭形平次」「人呼んでスケ番刑事」「堅気の方に名乗るほどの名は持ち合わせちゃおりませんが木枯し紋次郎と申しやす」「弁天小僧たぁ俺のことよ」などと言います。
「世間様はそうおっしゃるようで」と逃げておく。

『アリオン』という映画で、名前を聞かれた人が、「黒の獅子王…そう呼ぶがいい…」などと大真面目に言っていて、イタすぎて気の毒、しかも爆笑でした。
物語の舞台は小アジアのようでしたが、つまり誤訳であり、正しくは「よくぞ聞いてくれた、じつは黒の獅子王って呼ばれたい、獅子王だけじゃダメなのだ、黒の、とつけてくれよ、でも、そうお願いして回ってるということは内緒にしてくれ、みんなが勝手にそう呼んで一目おいているということにしておきたいんだァ」ってことだろ(笑)

こういう時は堂々と「俺様こそ、黒の獅子王だっ!」と断言しちゃったほうがかわいげがあるし、じつは主人公の父親だったりして正体を隠しているなら「とりあえず黒獅子とでも言っておく」とか、恥をかかないように工夫してください、聞くほうも恥ずかしいから。

そして、こういう鼻持ちならない格好つけ野郎が気取っていたら、「じゃあ略して黒ちゃんね、黒ちゃん、あのさァ」など斬り捨てちゃってください(笑)

 

 

 

 虎之助を葬り去る

格好つけてばかりで自滅する奴のことをトラノスケと言うんですが、故事からきてます。後述します。

学校の行事で、全員参加のマラソン大会なんかで、「なんぴとたりとも俺の前は走らせねえ、箱根の風と呼んでくれ」なんてTシャツの背中にマジックで書いて走ってる奴がいたら、あなたは笑いすぎて横っパラ痛めてる場合じゃなくて、なんとしてもそいつを追い抜かなければならない。

格好つけてるくせに弱っちい奴は、絶好のカモです。

へんな自称やホラふいてる奴は、もっとありがたい。
それを倒すことによって、あなたが、「暴走族のヘッドとタイマンして勝った男」とか「20世紀最後の天才を、いとも簡単に破った男」とか、金星コレクションを得ることになる。
俺もへんな戦歴持ってますよ〜、いくらでも(笑)

逆に言えば、あなたが大天使なんて名乗ってて一回戦敗退したら、大天使ってのは弱いんだなあと言われる。
そういう意味でも、飾りはほどほどがいいんです。

 

 渾名

ハゲ頭とか太っちょとか独眼とか、身体的な特徴(しばしば欠陥)を、あだ名というより、ほとんどみょう字として使うことがあります。

みょう字が4つくらいしかないトルコ、あだ名の好きなロシア、あまり本名を名乗らないアウトローの世界などに多い。

男には、こういうことがよくある。
こんな失礼な呼び方されて腹を立てずに笑っていられる器量、それでいて戦闘においては味方をも震え上がらせる勇猛さも兼ね、こういうのが本当にかっこいいことです。

オ〜レ〜はジャイア〜ン、た〜だのデブ〜と揶揄されるあの少年も、映画版ではやたら義侠心あふれる豪傑だったりしますよね。

ましてや、自分でつける号というのは、基本的に、自己陶酔をしません。
大拙とか、愚鈍とか、自分を卑下した名前をつけるという、奥ゆかしい人も多い。
かっこいい名前は、世間様が勝手に呼んでくださるならいいが、自分から、「黒の獅子王って呼んでネ」というのは、みっともないわけです。

アイデンティティについては後述します。

 

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