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アムトーグGST(ГСТ)
コンソリデ−テッドP.B.Y─1
五-七座哨戒爆撃艇
9人乗れるはずだが、ソ連のエンジンではこの程度かも。
諸元及性能
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識別上ノ特徴
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最大速度
三〇〇時粁
一説には329。
米軍機では1200馬力のやつでも280キロくらい。
航續距離
約四、五〇〇粁
一説には2600。
米軍機でも3700〜4100くらい。
武 裝
機關銃 二
爆弾 約一、〇〇〇瓩
米軍機では7.62ミリか7.7ミリを3丁、12.7ミリを2丁、爆弾は1800キロ。
翼 長 約三二米 31.72。 |
一、上翼、單葉ニシテ中央翼ハ支柱及面ニ依リ胴體ニ接續ス
二、双發型ニシテ主翼前方ニ配置ス
三、翼端補助浮舟ハ飛行中引上ゲラレ■■ヲ形成スレドモ特異ノ形状ヲ呈ス
ここ、どうしても薄くて読めない。
おそらく「翼端」だと思います。
フロートを引き上げる航空機はないとか言ってる人が多いですが、じつはコンソリの飛行艇は補助フロートを上げて飛ぶんですよね。
使う時は内側に引き下げる。 |
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コンソリデーテッドPBY、いわゆる「カタリナ」を、ソ連でライセンス生産したもの。
コンソリデーテッド・エアクラフトは、アメリカの航空機メーカーです。
米陸軍のパイロットで少佐だった人が設立した。
練習機とか、倒産した会社が作りかけた試作機の開発を引き継いだりとか、あんまりパッとしないことをやっていたんですが、ボーイングB-17の生産工場をやれと軍部に言われたのを断ってB-24を開発してみせたことと、このPBYで成功します。
でも本書が発行された年に株を売却、ヴァルティ社と合併している。
PBYは傑作中の傑作です。
もともとの設計が良かったので、腹部左右張出銃座をつけたり、垂直尾翼を大型化したり、引込車輪をつけて水陸両用機にしたり、ちょこちょこ改良しながら、戦時中ずーっと作ってた。
宿敵ボーイング社の工場も、これを生産されられる始末(笑)
もっと優秀な後継機の量産がマーチン社で始まっても、そのあと5年間くらい作ってた。
総生産数は米軍の公式なものだけで3000機以上、いろいろ含むと一説には4000機を超えるという。
太平洋戦争の最初の餌食になった飛行機も、こいつです。
じつは旧日本軍は真珠湾攻撃の前に、マレー半島に奇襲上陸をやってるんですが、この時に九七式戦で不意討ちにしてやった。
30年代なかばの設計にもかかわらず、戦後になっても愛用されました。
米海軍、米沿岸警備隊、米陸軍などで使われたほか、英国に大量供与され、カナダ軍やオーストラリア軍でも使われ、じつは海自も50年代後半に2機使ってました。
カタリナというのは、英国むけ輸出仕様のことをそう呼んでいたのが、のちにPBYシリーズ全体をさす愛称になったもの。
米軍ではもともと、PBYのことをダンボと呼んでいたらしい。ずんぐりしてるので。
世界中に払い下げられて、消防(消火、救助)や、民間航空会社にも使われました。
軍隊でも、救難に使うことが多かったという。
軍隊で飛行艇の使い道は、たいてい「トンボ釣り」なんです。
つまり、撃墜された飛行兵や、うっかり落ちた水兵を、海から拾い上げる仕事。
このくらいの機体が、一番、使い勝手がいいんじゃないでしょうか。
いくら世界一の性能でも、弐式大艇なんて取り回しにくいでしょう。
ソ連としても、当機を大いに気に入って、初期のタイプをライセンス生産もしており、GSTと呼んでたわけです。
ソ連は、海もですが湖や大河があって、飛行艇の需要は大きい。国土も広い。
それでいて、大型や長距離の飛行艇の開発が苦手で、まともなのを国産した時には、第二次世界大戦の勝敗はもうだいたい決まっていた。
戦時中は、かなりGSTに頼っていたということです。
アムトーグというのはソ連の設計室か何かの名前らしいですが、設計もなにもライセンス生産なので。
GSTの初飛行は39年。実戦では、夜間爆撃もやったことがあるという。
もともと積んでたのは「ツインワスプ」で、型番いろいろですが、この飛行艇に使われたのはだいたい1200馬力のやつ。
ソ連で生産されたものは「M-62」だか「M-87系」だか国産を載せて、少し性能が落ちていたらしい。
GSTの民間向けというのもあって、MP-7と呼ばれていて、エンジンは「Ash-62IR」。
ライセンス生産は、GSTとMP-7あわせて150〜200機、一説には1500機以上だともいうがそれは戦後の分も含めて?
ほかに、レンドリース法で回してもらった分が、100機以上あった。
一説には、PBY-6A(水陸両用仕様のひとつ。垂直尾翼を大型化)が48機、PBN-1(米海軍航空工廠NAFで設計を変更した発展型)が138機だとか、PBYとPBNあわせて185機だとかいう。
さらに、このあとソ連が後継機として開発したKM-2という飛行艇も、国産とは名ばかりで、じつはPBNの発展型でした。
本書の三面図では、エンジンを実際よりも上向きに描いてるようです。
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