|
|
「最高」
朝のロードワークのとき、気功の理由から、下着も靴も全身白一色で揃えること。
または、ラジオ体操の人たちのこと、特に公園を占領されることに批判的な言い方。
かつて白い服装で、最高ですかァと連呼する宗教団体があったことが語源。足裏で占う団体だと聞いたが、俺が見た限りでは、渋谷駅前で通行人を呼び止めて、般若心経を一人一字ずつ書いてもらっていたようだった。
「サウナスーツ」
道着の下に着るTシャツが、新品で糊が抜けておらず、汗を吸ってくれなくて、ペタペタとはりつくこと。
「里見浩太朗が通り過ぎた」「レイプ後」「中田ダラケ」
稽古や試合のあと、壁ぎわや通路に座り込んで手足を投げ出し、襟元や帯をゆるめて、放心状態で涼んでいたり休んでいたりすること。特に、全員がそうしている光景。
剣道などでは、こういうことをひどく嫌うので、負けてもバテても立居振舞がキチンとしているのが精神力であると考えるが、それがわかっていても誰もが半死半生で倒れているくらいに力を出し切るべきだ(特に合宿では)ともいう。
「サマナ服」
シルク風の拳法着、特に白銀。テロ団体のせいで着にくくなった。
「サラ」
一度も洗っていない稽古着。
体になじまない、色が落ちる、汗を吸わないなどの理由で、いったん洗わないと使いにくい。
転じて、全くの初心者をさす。
ダウンタウン浜田さんが、女性に処女かどうかをたずねる時、「おまえはサラか?」と言い、相手は意味がわからずキョトンとしていたので、「新品か?」と言いなおしたのをテレビで見たことがある。
「シノぐ」
アイロンをかけまくって、不必要な折り癖をことさらに立てること。特に空手着やTシャツの袖。
力士も化粧回しの上の中央を折る人がいる。
格好ばかりとりつくろって陰でコソコソしている兆候であるとして、大変嫌う場合があるが、強剛選手である場合が多い。
「下穿」
稽古着のズボン、主に柔道での言い方。
打撃系では下だけを呼びわける意識が薄く、上をさす用語にたいてい下も含まれる。
「しっぽ」
袴紐の余りの処理がだらしないこと。上級者にも多い。
「死に装束」「中山式」
男性が白道着白袴を着ること。
皇宮警察のステイタスであり、一般人は演武でさえ遠慮するが、常用する人もいる。夏に多い。
「ジャージ系」
スウェットにジーンズという私服。
武術の席にふさわしくないのだが、強い選手や美人の選手が好んで着るため、この服装がステイタスのようになっている。
暴力団や暴走族が高級なジャージ上下を普段着にしていることが、背景にあると思われる。
「襦袢」
居合用の白い肌襦袢だが、いろいろな理由で、これを剣道着の下に着る人もいる。
「醸造が始まる」
ろくに洗ってない柔道着が、そのままだったらそれほどでもないかもしれないが、それを着て、体温で暖められて、すっぱい臭いを放ち始めること。気絶するくらいに臭い。一般に柔道着は剣道着よりも垢がしみついていて臭い。
「勝負服」
試合、演武、審査などの時にしか使わない一張羅。ほぼ新品。
「白帯に帰る」
黒帯の表面がボロボロになり、下地が出てくること。かっこいいこととされる。空手用語。
|
|
「清朝方式」
稽古着を、道場内に吊して帰宅すること、また、それがどうしていけないのかわかっていないこと。
「ロッカールームと体育館」ではなく、「道場のみ」という団体では、ごく普通におこなわれていることがある。
清の海軍が最新の軍艦を見せびらかしに来た時、艦内は乱雑を極め、あろうことか砲身に洗濯物を干していたため、見学した日本の軍人たちが、これなら絶対勝てる!と確信して日清戦争にふみきったという話が語源。
「雑巾」
柔道着、または刺子の目立つ剣道着。
柔道着は武士の下着姿であり、とても人前に出る姿ではないとか、あるいは、柔道着を着ている相手にしか投げや締めがかからないのは、武士の伝統文化としても現代の護身術としても欠陥だ、などという。
武士道では、人前で肌をさらすのは下賤の人足か芸人か野盗の風習であるとして、着崩れさえ恥と考えるが、異種総合では上半身裸がかっこいいとされ、柔道着でリングに上がるのは失礼だという。
「蛸足袋」
足袋の底に凧糸を縫い付けたもの。
足の指で地面をつかむような立ち方を鶏足または蛸足と言い、そのニュアンスを含む。摺足しやすく滑らない縫い方に口伝がある。
「立ち枯れ」
生成りの白道着。
「達磨結び」
袴の紐を前で合わせるとき、股間くらいに低く締めること。足が短く見えるが、太った人は貫禄が出る。
袴は腹ではなく腰ではくものであるから、これが正式なのだが、現代武術ではあまり低くしないことが多い。
内藤先生のあだな「ヒゲ達磨」が語源ではないかという人がいるが、内藤先生の写真を見るかぎり、あまり低くしばっていない。古画に見る達磨像の衣服のシワが、胸元に集中してるのが語源ではあるまいか。
「地下足袋」
ゴム底の黒足袋。
地下は当字、ヂカと読み、「ぢかに(直接に)地面を踏む」の意。
忍術流派で使われているような、長靴に近い厚手のものはチカと読むらしく、土木業界でもチカと発音している。
「チョゴリ」「バカなが」
達磨結びに対する言葉で、弓道の女子などが、長い袴を高い位置で結ぶこと。バカながは本来、釣り用語。
和服は正しく着れば決して窮屈なものではない。腰で結ぶ紐は骨盤の上でしめるもので、内臓をしめつけるのは医学的にもよくないうえに、呼吸のたびに着崩れ、技もゆがむ。
「適当に(刺繍を)入れる」
袴に名前を刺繍する場合、尻に入れること。
背板に刺繍するのは仕立段階からオーダーメイドだが、尻に入れるのは出来合の物に付け足しなので、少し劣る。
「テンちゃん」
ツンツルテン(寸法短かめ)の意。または袴のヒダの折りがとれていること。そうなっている人。弱い人が多い。
「天麩羅」
学生ではないのにコロモ(制服)を着ている、の意。コスプレのはしり?
本来は、退学しても学割を利用するなどの手口のことだったらしいが、転じて、「学生選手がじつは企業やプロ団体から資金援助を受けている状態」をさすらしい。柔道界や球界で、ニセのアマチュアという意味で言う。
戦時中に秘密作戦の予行練習をおこなうため、その部隊が国内を移動するにあたって、かき集めた制服を着て、学生に化けて一般電車で移動したところ、本物の学生たちに見抜かれ乱闘騒ぎになった事件があった。このとき、うちの父もニセ学生の一人だったが、天麩羅という言葉は当時聞いたことがなかったと言っている。
「道着」
武術用のユニフォームの総称だが、合気道以外では、じつはあまり正式な言い方でない。
剣道やなぎなたでは稽古着、柔道では柔道衣、銃剣道は運動服、打撃系は諸団体まちまちだが、空手は空手衣など、中国武術は拳法着など、少林寺拳法は拳法衣(僧侶風のアレは法衣)など、一応の公式な言い方がある。
「トラックスーツ」
空手着などの横にラインが入っているもの。袴にもある。みっともないと言う人が多い。
→続き
|
|