「ナカゴ入り」
柄の中に重りを入れ、剣先だけ軽くした改造竹刀。
割れる危険も含めて、軽すぎる竹刀は禁じられているが、太刀行の速さだけで勝とうとするバカが、こういう姑息な手段を使う。しかし、いちいち計量しない試合が多い。
実際は、あまり先が軽いと伸びのある打ちにならないばかりか、簡単に中心を外されてしまう。

「永野式」
小がたなや笄が拵と同作でないため、いちじるしく櫃と寸法が合わないこと。または、半太刀拵に小がたな笄がついていたり、太刀銘が佩裏にあること。
エルガイムの作者が描く漫画に多いという。

「泣き面」
スポチャン用の面。口が、あうーとか、えぐーとか言っているように見えることから。

「南無妙法蓮華経」
竹刀を構成する竹の、裏側に、座右の銘などを書き入れること。みっともないとされる。

「鳴り物」
パンチングミットなどの、特に大きな音が出る商品、または中身を改造してわざとそうしたもの。
打撃オープン試合などで、会場の隅でウォーミングアップに使い、他の選手を威嚇する。

「軟弱な坊や」
ブルワーカー。シリンダーにワイヤーがついたもので、押し引きができ、工夫次第であらゆる鍛え方ができる。一時期は誰もがベッド横に置いていた。
その宣伝文句が、「軟弱な坊やじゃモテないぜ」とかなんとかいうものだったので、商品自体の代名詞のようになっていた。

「煮え」
電蝕。汗の塩分が微量の電気を通すことにより、薄いメッキが浮いて剥がれてしまう現象。武道具ではサイに多い。吹奏楽では「泡になる」などという。

「猫殺し」
綴鍔。「蝋」とも言う。3枚の牛革をとじて1枚にした竹刀鍔で、一枚ムクよりも頑丈。
これを綴じている細い帯は猫の皮だが、そうと知らずに愛用していた人が、猫が大好きだったりすると、どうりで勝てなかったはずだ、などと言う。

「粘土(になる)」
柄糸や柄革に、手の垢が埋め込まれて、ヌルヌルひたひた、冷たい感じになること。

「念流」
剣道の面につけるオプションの衝撃吸収パッド。こうした道具は軟弱とみなされ、若いうちはつねに頭がコブでデコボコなのがかっこいいとされる。
念流が独特の防具を使うことが語源だが、ただし念流は決して軟弱ではなく、恐ろしく気迫に満ちてますので念のため。

「ノシ」
もともと割れやすく作ってある瓦。
試割がうまくいきやすいようにセッティングすることを、ノシをつける、ノシつけてあるなどと言う。試割の成否は、ほとんどセッティングで決まる。

 

「バイザー付」
普通の剣道面の内側に透明なシールドをオプションでつけた状態。
面金を透明プラスチック板にしたものがクリア面だが、照明で光ってしまい、目で読んだり殺したりするかけひきが上達しないなどと言われ、あまり使われていない。しかし安全性が高いので、バイザー付で妥協している人もいる。

「鼻の油をチョイとつけて」
とっておきの品物を自慢げに取り出して披露する時、「ジャーン」というような意味で言う。ハ調ならばド・ファッファ・ファッファ・ファッファ・ラッソ・ファッド・レッというような、独特の節をつけて言う。
一説には、物を大切にして普段からよく手入れしておくというのが原義で、骨董品を磨く様子からきているというが、戦前の軍隊内でも言われていたらしく、ある流派では隠し武器のことを鼻の油と言っており、なにか元ネタがあるのではないかと思う。

「バスタオル、またはケツ叩きで」
合宿の持ち物リストに、こう書かれる。
ケツ叩きとは、品物自体は日本てぬぐいのことで、これを風呂に持ち込んで体を洗うのに使い、湯あがりには立ち話をしながら、その手ぬぐいで体をパシパシ叩いて水分を飛ばし、そのまま浴室を出て浴衣を着てしまうということを意味する。
バスタオルを持参しなくてすむので荷物がコンパクトになり、ふらっと銭湯に寄るのも便利、肌も鍛えられるという。しかし音が卑しいので、俺はあんまりしません。現代剣道の人たちは、面下に使う手ぬぐいで洗濯がてらやっている。

 

 

「ババア水」
ばばあみず。貧乏水ともいう。スポーツドリンクを水で薄めたもの。水筒の中身を聞かれたり、人に分ける時に、「不本意ながら母がそうしてしまった」というニュアンスで言う。
科学的には、せっかく最善のバランスに調整してある成分が変わってしまい、オカルト的には、金運と健康運を失う不吉な行為なので、まるっきり意味がなくなるばかりか逆効果、それなら水だけ飲んでたほうがマシなのだが、ケチ、または甘すぎるという理由で、よくおこなわれている。
ますますノドが乾いてタンがからむなどと言って、寅吉もいつも薄めまくっている。

「万歳」
立て掛けてある道具などを大量に倒すあやまち。
この手の失敗の後にどうするかは、古来作法がある。

「番長につかまった」
鉄道警察隊に職務質問を受けること。
番長という言葉は、新宿駅の7および8番線ホームに、いつも不良学生がいたことから来ている。ところが現在、駅で番を張っているのは交番つまりお巡りさんである。
新宿区は、マニアックな古流や中武の団体、武道具や護身用具の珍品を売る店などが集中しており、新宿駅で呼び止められたという話は多い。たいていは連絡通路を出た所で取り囲まれ、武道具を調べられる。
しかし現代では、「番長」ということの最も正統な後継者は、鉄道オタクだと思う。ブルートレイン「富士」「はやぶさ」が廃止のとき、東京駅では、報道関係者だけがホームの端から最終列車の先頭部分を撮影できた。これに腹を立てた鉄道オタク3千人が、「報道、死ーね、死ーね!」と大合唱した。

「秘伝書」「アンチョコ」「カンペ」
学科試験の模範回答。どちらかといえば、先輩のレポートのコピーを秘伝書といい、部室に代々伝わっていることがある。市販本はアンチョコ。
高い段位だと筆記試験は会場で書く場合があり、筆箱の中などに、だいたい予想される内容を箇条書きにしていく程度のことは黙認されている。これをカンペ(カンニングペイパー、しかも缶ペンケースの意)と言っている。

「ひと皮むける」
居合では、抜ききっていないうちにひねって、鞘を割るおそれがあるので、初心者のうちは鞘に胴金をハメておくことがある。これを、使わなくなること。
または初心者が、剣なら足の裏、柔なら肘や膝の皮が剥けること。

「ピンク」「桃レンジャー」
剣道で手ぬぐいや鍔が蛍光ピンクだと、年配の先生が激怒してこう呼ぶことがある。

「武器屋」
武道具店。
または、普段から竹刀を6本くらい持ち歩く人。

「筆おろしの達人」
剣道の防具は新品のままでは体になじまず、初心者にとって、ゆがんだ技の原因になる。
合わない靴を代わりに履いて、きつい部分を広げたり、硬い部分を柔らかくしたりする、シューフィッターという職業がある。剣道の防具も、胴の幅や、篭手の癖を調整してくれる先輩というのがときどきいる。ただ単に、新品を使いたいからしばらく貸せというだけの場合もある。
それが女性指導者の場合、達人というのは別の意味が加わる。筆をおろすという言葉には、男性の性的な清純さを捨てるという意味がある。
新品の筆は穂先を糊で固めてあるが、江戸時代に、美人の看板娘を置く有名な筆屋があり、口に含んで、なめてほぐしてくれるというサービスがあって、見た目にエロいので、ろくに字も書けない男性客が殺到した。という話が語源だという。

「太っ腹」
いちじるしく幅が広い練習用の胴。
試合に使う防具は、動きやすく、敵の技が入らないように、篭手は短かめ、胴も狭い幅にすることがあるが、子どもさんに稽古をつけるには、のびのび打たせたほうがいいし、自分の練習もどんどん打たれて勉強したほうがいいので、わざと大きなものを使う。

「ブラ」
剣道の胴の腰紐、特に、それがほどけていること。ブラブラしている、またはブラジャーの意か。
昔は、垂れ下がるように結ぶと教わったが、最近はピンと張るように結ぶ人が多い。

「プラモデル」
アブマシンという名前の腹筋鍛錬具。裏側の造りが簡略なため、こう呼ばれていた。武術界ではあまり流行らなかったようだ。

「ブロンズクロス」
世界空手道連合系の面。

 

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