団体 

「網」「笊」
アミとザル。新人勧誘の方針。
網は、簡単そうに見せかけて多くの新人をとにかく入れて、それから鍛え上げること。
笊は、厳しい稽古の実態を見せて、軟弱者を最初からふるい落とすこと。

「居合十年」
居合で一人前になるには最短10年かかる、なぜなら、居合の流派の優劣を知るのに10年かかるから、という説。
「居合だけは流派に優劣がある」と言われており、それはやってるうちにわかるが、わかった時に自分の流派がダメな流派だった場合、また一からやりなおしだとかいう。

「エフ・エー」
道場や連盟を去ったが、大会には無所属で出てくる人。あまりいい印象を持たれない。

「お気持ち方式」
月謝が300円くらいのこと。気がとがめるので、盆暮に付け届けしないわけにいかなくなる。
これは最低ラインであり、社会的地位に合わせてそれぞれが払えるだけ払え、という暗黙の了解だったりもする。

「押さえ込み」「押し込め」
強制的に勧誘すること。特に部活で言う。
見学に来た人の靴を隠したりする。

 

「会費はにせーんろっ・ぴゃく・円」
神武天皇御即位を元年と数える、皇紀という元号が明治時代に制定され、現在でも使う人は使う。
その2600年を記念した『紀元二千六百年』という歌があった。戦前の方なら誰でも歌える。これがたびたび替え歌にされる(煙草のページを御覧ください)。
何千何百円という金額を提示したり支払ったりする時に、何せーん何ひゃくえん!と節をつけて言う。現在では古すぎて、わかる人にしかわからないオヤジギャグである。

「顔パス」
月謝を払わなくてよくなること。
大学生くらいになって、もう準指導員、教える側になったということ。
実際は、優秀な選手を引き抜かれないため、小さい子の面倒を見てくれているからとかなんとか理由をつけて、中高生でもこっそり免除していることがあり、バレると、その子は一生嫌われ、「影でコソコソしてた先生」などと、次の世代になっても父兄たちの間で影口をたたかれる。

「隔世遺伝」
女性は成人すると武術をやめてしまうことが多いが、自分の子にも同じ武術をやらせて、自分も再開したり、後援会として雑用をやってくれることが多いから、去る者は追うなという意味。
男性は、自分がやめた武術の悪口を言って子どもさんにやらせなかったり、やらせても道場には来ないことが多い。

「格闘技」
最も狭い意味では、キック寄り総合の打撃系をさす言葉。伝統空手の先生が、「うちは格闘技じゃないんで」などと言う。
もう少し広い意味では、素手で戦うもの全般をさし、これが一般的。
ごく広い意味では、現代剣道の先生が「剣道は居合と違って格闘技だから体当たりで殺す気迫」…というような言い方をすることがよくある。

「空手」
テレホンパンチ。
空手は技の鍛練がそのまま心身の鍛練でもあるから、動作にキメを作って、ゴツンゴツンぶつけるような硬い動作をするが、これを否定して、途切れず居着かず柔らかい打ち方サバキ方を優先する人たちは、空手をやっているにもかかわらず、「そんなんじゃ空手だよ」「おまえ空手になってるぞ」などと言う。
前田さんがプロレスを否定して、じゃあアンタは何?と言われたのに似ている。

「空手道沖縄支部」「国際柔道連盟本部スイス」
本部を別の所に置いたため、発祥地のほうが支部になってしまうこと。「釈迦に説法」とほぼ同義。
ギリシャでは「アテネにフクロウを持っていく」、イタリアでは「サモアに壷を持っていく」、英国では「ニューキャッスルに石炭を持っていく」、ロシアでは「トゥーラに湯沸かし器を持っていく」、ドイツでは「女房を連れてパリに行く」、というような慣用句がある。

「キャッチャー」
防具を使う打撃系団体。
防具なしの団体から見てバカにした言い方。

「月給」
月謝が、すべて指導者の懐に入ること。バカにした言い方。
場所や行事の費用は、月謝とは別に払う。
しかし、これは正しいと思う。うちのピアノ教室でも(師の御自宅だったが)暖房費と称して冬は灯油代を徴収していた。
感謝の形と必要経費は別のはずである。かかった金は、あんたの取り分を減らして、かわりに払っておいてくれというのは、ずうずうしい。

「ケツの皮が厚い」
座り続けても疲れない、の意。
道場にお茶や菓子や漬物を持ち込み、いつまでもしゃべっていて帰ろうとしないこと。
体育館を時間で借りている場合、すぐ明け渡さなければならないが、次の団体が来ても立ち去らず、えんえん続けることがある。

「ケツを持つ」
本来は暴走族用語で、殿(しんがり)のこと。転じて、代表して責任を負うことを言う。
部室から酒・煙草が見つかったような時に、自分がひとりでやったと申し出て、ウソとわかっているが学校側もそれ以上は追求しない(お互いのため)。これを「首を出す」「人身御供になる」などともいう。
武術では、記念品を作って余った時に、自腹で2つ3つ買い取るようなことをさす。中ぐらいの身分の人が、なかば強制される。

「剣道部」
剣道に限らず、指導者が竹刀を使う団体。学習塾で指示棒に使っている例があるという。体罰禁止の国策を進める馳議員もかつては竹刀片手に指導していた。
思想的にも危険だが、たいてい杖のように体重をかけるので、先革が傷んでいて大変危険である。

「合同」
複数の道場が行事を合同でおこなうこと。
特に、所属選手が少ないという理由でおこなう場合に、いろいろな意味を含む言葉として使われる。

「コウモリ」「人徳」「人望」
あらゆる派閥に平均的に交際する人。
賛否両論ある。コウモリは批判的、人徳や人望は否定肯定両方に使う。

 

 

「功労賞」
技が上達したとか試合に強いとかではなく、その団体に利益をもたらしたために昇段昇級すること。
軍人の昇進や勲章にも、戦場で実績をあげるものとは別に、『多年重職にあって発展に寄与』『業務における発明』というような評価がある。
柔道の『七段及び八段候補者の評定』に、『7. 柔道の普及発展に尽くした功績』というのがあり、振興に貢献することも判断材料に計上されるのである。

「呉式八極拳」
かつて流行した武術団体と、それにまつわる事件。または、それに似た話。今でも無数にある

 

「実用」
軍隊で軍刀でおこなう「実用居合」、路上での喧嘩を想定する「実用空手」などがあり、形式より実戦を重んじるとして実用をうたうのだが、武道の精神から遠いという批判があり、実用という言い方は蔑称にもなっている。
実用という言葉自体に、別の意味があるらしい。
本屋のレジ係が新人で、まごついて行列になってしまい、ベテラン店員に大声で、「機械のどのボタンを押せばいいんですかぁ?」「品物は、なに?」「小柳ルミ子写真集」「『芸術』よ」「えっ『芸術』なんですかコレ?」「当たり前でしょ!」「もうひとつ」「なに?」「安達祐実写真集なんですけど」「それは『実用』」というコントがあったという。
実際には、小柳さんは写真集を出したことがなく、ドラマで安達さんをいじめる役だっただけだという。
また、山本リンダさんの写真集がラジオで侮辱され、山本さんが抗議して謝罪を勝ち取った話と、混同しているのではあるまいか。

「宗教広告」
新人募集のポスターや公式サイトのキャッチコピーが、「私達と一緒に楽しく柔道やりませんか」、「あなたも今日から剣道仲間」というような言い方をしていること。
主体は私達のほうにあり、人数少なくて困っている私達を喜ばせてくれという視点であるから、こういうこと言ってるのはだいたい三流団体である。

「小学生」
女子だけが赤胴、という風習になっている団体。ランドセルの男女分けの意。

「少林寺」
少林寺に限らず、僧侶が代表者になっている団体。
場所を提供していたり、茶、禅、書、華などの教室を併設していたり、PTAや子ども会の中心的人物だったりする。
毛筆やスピーチや大会幹事がうまいので、代表者でなくても僧侶が1人いると大変助かる。

「除籍」
強制退会。組織の一員でなくなっただけであり、その後もフリー選手としてはつきあいがあったりする。

「除名」
その団体から存在を抹消されること。
過去に在籍していたという事実も抹消される。破門よりも厳しい処置。

「進退伺」
武術の弟子は、会費を払っている御客様ではなく、職業選択の自由とも次元が違うので、やめたいから退会しますという辞表や届け出が存在しない。
退会させていただけるかどうか、お伺いを立てるのである。決めるのは師の側。
もちろん、やる気のない者を引き止めるわけがないので、退会はできるが、その手続きの形式の話。

「スライド制」
昇段すると月謝が値上がりしていくシステム。逆のほうがいいとみんな言う。
昇段に失敗しても毎年値上がりする団体もある。

「説教広告」
新人募集のポスターや公式サイトのキャッチコピーが、「あなたも合気道を始めませんか」、「君も空手で人生を変えてみないか?」というような言い方をしていること。
うちの道場の儲けはどうでもいい、なんなら、入門するのがほかの道場でもいい、とにかく、あなたの人生は今のままでいいのか、あなたは御自分をどう思っているのか、という視点であり、こういう言い方をしている道場はいい道場であるという。

「節税」
入会金や月謝や寄付金の、領収書を要求すること。絶対にいけないとされる。対価ではないから。

「卒業」
芸能人や番組が、脱退、降板、打ち切り、活動休止、解散になることを、やわらかく表現する言い方だったのが、一般に普及して、退社や退会などにも使われている。
ボキャブラリーのない学生さんが、まだ初段も取っていないのに、「空手を卒業することになりました」などと言い、言われた指導者は「僕も卒業しちゃおうかなあ」と言う。修めていないうちに挫折するのは中退である。

「それはサイババの勝手なんですよ」
ライフスペースという宗教団体の代表者が、サイババの直弟子を称したところ、サイババ本人は否定している、と記者団につっこまれ、しばらくじっと無言の後、こう答えたという。
俺の周囲で古流武術史の調査をしている人達の間では、べつに流行語にもならなかったようだ。それより「定説です」という言葉のほうが流行った。

 

「大丈夫です」
見学者に、なにか都合の悪いツッコミをもらった時の常套句。なにが大丈夫なのかよくわからないが、具体的な反論や弁解をせずに、ただただ、こう返事する。中国武術用語。

「チョービキ」
入門すること。柔道用語。

「超ボランティア」
入会金や月謝が無料であること。
普及させたい、自宅を道場にしている、自治体や企業から援助があるなど、よほどの名門に限る。
なまじの三流団体がやると、たいしたことない指導者だなと世間にあなどられる。

「チョッパー」
手を握らない打撃系、また、そういう芸風の人。
手刀だけで戦うのは優雅だとか、掌打のほうが衝撃が内臓に浸透するとか、いろいろな理由で好まれているが、親指の問題があるので、合気道など新しい団体以外は、手刀を非実戦的と考えるのが日本の武術の基本的な方向。
この言葉自体に抵抗感を持っているために嫌う人もいる。
朝鮮人をチョン公、被差別部落民をチョーリッポ、「被差別部落に住んでいる朝鮮人」をチョッパーと言い、警察内部でも使われていたのをうちの父が確認している。
転じて、二重にダメな奴を叱責する言い方として、稽古中に言う指導者がいる。 

「独立」
組織を出て、自分たちの組織を構えること。
円満なものと、喧嘩別れがあるが、武術の場合は円満なように見えても表面だけの場合も多い。

「飛び地」
引っ越した先に同じ武術をやる道場があっても、前の道場にかよい続けること。
御世話になった団体への愛着や恩返しでとどまるのだが、新入りでは威張れない、しがみついている、と悪く言われることが多い。

「トロイカ」
代表者が複数並立の合議制のこと。うまくいかないことが多い。

 

「ニワトリ小屋」
女子部(の、カン高い声)を、男子部から見てバカにする言い方。
気合はケモノの奇声ではダメで、下腹部から出た重い声でなければならないとされる。

 

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