使用

 佩用規定
勲章は、どんな儀式の時にどんな服のどこらへんの位置にどんな順に並べてつけるかということが決まってます。
軍服の場合、勲章のほかに、階級、所属、姓名、役職、技能などを示すものがあちこちにつくんですが、すべて位置が決まっていて、将校と下士官以下、式典と野外、温暖地と熱帯地(開襟になる)では少し違うこともあり、これらとのかねあいもあります。
陛下の御手をわずらわせて儀式をやっていただくというと、喪服では略式すぎる。喪服につけてもいい勲章は、せいぜい勲4等以下の安いやつだけです。
タキシードはどっちかっていうと省略したアメリカ風の格好なので、エンターテイメントならいいけれども、王家の儀式には略式すぎる。
勲3〜2等は、男性はモーニングかフロックコート、せめて紋付袴でなければならない。紋付袴なんてめちゃくちゃ下っぱの格好で、町人でさえ名主クラスは裃をつけたものですが、明治以降は誰でも基本的に平民だから、紋付袴でもいいことになった。女性はローブデモンタントか白襟紋付。
勲1等は大綬だから、燕尾服か軍服、下手すると大礼服、ローブデコルテ、もしかするとマントドクールでなければならない。
女性はワンピースだからいいとして、男性の場合、大綬の正章を外に出さねばならないので、上着は前身頃だけでも丈が短くなければならないということです。

 重量
頚飾をつけるほどの人は他の勲章も最高クラスをもらっているから大綬も1つはつけ、さらに諸外国から贈られたものもだいたい全部つけるから、副章も少なくても4つくらい、中綬も1つくらいあるはずで、小綬は多い人で10個以上、下手すると軍刀もつける。
昔の元帥や提督は、おじいちゃんなのに20キロくらいつけて、まじめくさった顔や、すました顔をしてたわけです。これが人間として哀れで滑稽な姿であるとして、しばしば笑いのネタにされる。
今上陛下も全部はお付けにならないことがほとんどです。

 買い取り
勲章を受けたという肩書だけは発行してくれるが、品物自体は自分で買う制度。
フランス、ガボン、マダガスカル、モンゴルなどがそうです。名誉を販売して国家が儲かる仕組。
品物がもらえる場合でも、それを飾る台とか額とかは、民間で市販されてることもあります。

 返却
戦争に負けて申し訳ないから、今までもらった勲章を返すとか、あんまりバカな人が自分と同じ勲章を受けたので、一緒にされたくないから自分のは返すというようなこと。
ビートルズも、外貨獲得に貢献したとかで大英帝国勲章の最下級をもらいましたが、結局、返しました。なんでも、門前にそうっと置いてきたらしい。ロックの人が体制から勲章もらって喜んで懐柔されちゃってるなんて、てめえのロックを否定してることになる。それで反戦の歌なんか作ってみたり。でもポールはその後、もうちょっと高い勲章をもらってナイトになったらしい。大麻で逮捕されてもナイトになれるっていうのは、人を殺した軍人よりは偉いのかもしれんが。

 還納
これも返却ですが、品物を、用がなくなったので返すこと。
同じ種類の上級をもらったので、以前もらった低いほうは返す。あるいは、叙勲者が死んだので遺族が返す。
義務づけられていることもあります。騎士団章のたぐいや、オランダのオラニエ・ナッソウ勲章など。
日本もかつてそうしてた時期もありましたが、遺族が家宝にしたいし、いちいち面倒だから、死後に還納しなくていいことになりました。

 

 剥奪
犯罪者になったとか不名誉なことがあると、すでにもらっている勲章は取り消されることがあります。そしたら、品物も没収されることがある。
剥奪までいかなくても、拘禁中や裁判中は一時的に資格や特権が停止したりする。
騎士団のメンバーになっていれば、最悪の場合、除籍です。アジトの礼拝堂に飾ってある紋章を取り外される。騎士団の恥になるから、めったにないけれども。
旧日本軍は、捕虜になったら生還しても軍法会議でした。特に日清戦争くらいまでは、やむをえず捕虜になったとしても、いろいろ剥奪されることがあった。
ブレジネフは勲章を乱発し、調子に乗って自分にも発行しまくり、重すぎて転んだことがあったそうですが、叙勲基準を満たしていないのに勝利勲章を所持していたのを、ゴルバチョフが剥奪したことがありました。

 失効、佩用禁止
勲章の価値がなくなったり、誰もつけて歩いちゃいけないことになったりです。
禁止はされなくても、かつての同盟国が敵国になったりすると、その国からもらった勲章はつけにくくなる。
ドイツでは、ナチスの物はもう一切やめましょうということになっており、勲章も鉤十字がついたものはダメで、デザインを差し変えたやつしか使えない。
日本では国旗国歌でさえブーブー言われるから、金鵄勲章なんてもってのほかということになりました。日清日露戦争あたりの従軍章も、法的に廃止や禁止したわけではないらしいけれども、大日本帝国もその憲法や軍隊も消滅しちゃったので、自動的に意味のないガラクタになった。

 売却
骨董、美術工芸品として、勲章が市場に出回ることも多いです。何万もしますけど、たいていのものは売ってる。
俺も勲1等の実物を初めて見たのは質流れのディスカウントストアでした。

 盗難
吉田茂首相の頚飾は盗まれました。
空襲や終戦時の混乱で、行方がわからなくなったり、金庫に入れて警報装置をつけていても電力不足で警報が鳴らなかったなんていうことがある。

 忘却
日本の天皇家が、外国に行くときに、晩餐会なんかではその国からもらった勲章をつけなきゃいけないんですが、持っていくのを忘れたので、借りて、その場をおさめたことがありました。

 廃棄
勲章を持っていると、敗戦したり捕虜になったり革命が起きた時によけい恨まれるので、そうと決まったら徽章類はむしりとって捨てるということがあります。
旧日本軍、文化大革命などがそうだった。

 

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