構造

 綬 リボン
勲章についてる布はだいたい、綬(じゅ)と言います。
中国で官職をあらわす印を身につけるときの組紐の帯を綬と言ってたので、リボンの訳語にした。
江戸幕府で勲章の研究を担当してた人が、そのまま明治政府でも勲章担当になり、当時の用語が現代まで使われているわけです。こういう古めかしいところがまた、いかにも格式だったりするんですが。
綬の大きさは、勲章の価値にだいたい比例する。素材はだいたい絹です。

 小綬 リボン
単にリボンと言ったら、特に小さい申し訳程度のリボン、小綬。
小綬で吊す勲章が小綬章。小綬の裏にはピンがあって、普通は左胸につける(右胸につけることも少なくはない)。ドイツでは軍服のボタンホールにつけるのもありました。
軍隊関係の勲章や、旧ソ連の勲章は、だいたい小綬です。
パタリロ殿下がいつも2つくらいつけていたようだったけれども。ガミラス軍の戦功章もこれだった。

 飾版 バー
しょくはん、と読みます。小綬に通す細い金属板。ない場合もある。
同じ勲章や褒章や記念章を何度ももらう場合、同じものを2つも3つももらうんじゃなくて、2回目からはこの板だけをもらい、すでにもらっているやつに付け足していきます。
これが前提のものは、小綬が時計バンドみたいな構造になっている。
日本では褒章でこういうことします。
外国では従軍章でやることが多く、飾版には戦役や作戦や戦場の名前が入ったりします。
米軍の場合、朝鮮戦争の従軍章というものはなく、国連軍の参加章というのを作って、ここにコリアと書いた飾版をつけている。つまり、国連が武力で紛争を解決するということが今後も何度もあると思って飾版にしたんだけど、国連もバカじゃないから、力でゴリ押しなんてことはあれが最初で最後になってしまったので、米軍の国連軍参加章は、朝鮮戦争従軍章と訳されていることも多いです。

 飾星 クラスター
小綬につく小さな金属バッヂ。これは、ついてない場合のほうが多い。ただの飾りの場合もあるが、これで受賞回数をあらわすこともある。

 中綬 ネック・リボン
中綬は、スポーツのメダルのように首にかけるリボン。
スポーツのメダルよりは少し短かめだったりして、リボンの合わせ目でネクタイの結び目が隠れるくらいのこともあります。軍服の場合、服の下につけて、詰襟から章を外に出すから、中綬はちらっとしか見えなかったりする。
中綬章は、中綬を使って首にぶら下げるか、金属部分だけをノド下や胸につけたり、別に小綬章がついてくることもあるらしい。
また、中綬章でも高級なものは、「中綬とは別に、大綬の副章と同じ星章を、正章としてつける」という形式がある。
ルークとハンソロは、要人救出とデススター破壊なんていう大手柄だったのに、この程度しかもらえなかった。チューバッカは何ももらえなかったらしい。姫様が議員やってて姫様姫様と呼ばれてるようじゃ、あんまり民主的な世界じゃないのかも。

 

 綵花 ロウゼッタ
さいか。造花です。いわゆるロゼッタ。薔薇飾りなどと訳されていることもある。リボンにタックをとって丸く整えたもの。
中級以上の勲章を略式で使う場合、小綬や略小勲章であらわすなら、これがついた綬にして、小綬章ではないことをあらわします。

 頚甲 ゴーヂット
首の部分を守る鎧です。当世具足で言えば上満智羅。
兜と胴鎧の隙間をふさぐわけですが、甲冑がすたれた後も、この首鎧だけは、特に、前面を守るノド輪は、威儀的な飾りとして使われ続け、これが戦功章など軍事的な地位をあらわす記章として使われている場合があります。

 大綬 コードン
サッシュともいう。肩から腰にかけるリボンというか、かなり幅広のたすき帯。そのリボンの先に正章がぶらさがります。
大昔は、肩からかけるだけでなく、同じ帯で、ベルトのように腰を一周する場合もあったらしい。
普通は、右肩から左腰にかけてつけますが、特に高級な勲章はわざと左右逆にして、特別であることをあらわす場合もよくある。
軍服の場合、ベルトや肩章の下を通して固定します。
女性用は幅が少し狭い。特にデンマークやノルウェーのやつは男性用の半分くらいしかない。
女性の狭いなで肩ではおさまりが悪いみたいで、肩のところでブローチで止めたりする。
大綬を使う勲章が大綬章で、ほかに副章として星章がつきます。
選挙候補者は街頭演説のとき、自分の名前を書いた大綬のまがいものをつけてますが、当選していずれ議長か首相になれば、本当の大綬がもらえる。
「一日署長」「一日基地司令」なんていうのも同様で、今は単なるグラビアアイドルかもしれないが、そのうち女優になって、後進国を舞台にした映画なんかに出て、本当の大綬をもらうかもしれない。
ガード(鼓笛隊の、旗でジャグリングする連中)の、リーダーが、大綬のまがいものをつけることがよくあります。赤地に黄色のフチで、ロゴマークなどを入れたものが多い。自衛隊にもある。
ミスコンで優勝すると、ミスなんとかと書いたニセ大綬をつけさせられますが、よせばいいのに水着の上につけていて、冠やローブもつけているが股ぐらはハイレグという、つつしみのない恥知らずな格好で、一生残るマヌケな写真を撮られ、裸の王様ならぬ裸の女王様みたいなことになる。
さらにおバカなのは、「名幹事」「本日の主役」「よっぱらってまーす」「彼氏募集中」「終電で帰る人」などと書いたパーティグッズの大綬もどきで、金や蛍光のケバい色だったりする。
といった具合で、庶民には一生縁がないものです。

 

つづき 

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送