文化勲章

オーダー・オヴ・カルチャー。
これは昭和になってから制定されたもので、文化に貢献した人がもらう。
日本の勲章は普通、春と秋に出るんですけど、これは秋だけ、文化の日に出る。
文化審議会の中に文化功労者選考分科会というのがあって、そこでだいたい決めて、文相から首相へ推薦という形になる。

文化にもいろいろあって、不倫も文化だそうですが、もえもえアニメとかヘヴィメタとか低俗なものは、文化のうちに入らないらしい。クラシック音楽とか日本画とか、お高くとまってる分野の人がもらいます。
しかも、国立大の学長だとか、国際的にも評価が高くてノーベル賞を受けたとか受けそうとか、権威が必要です。
さらに、あんまり反体制的でなくて批判的でない、おとなしい人(国家にとって都合のいい人)でなければならない。
ただ、理系だけは発明発見や研究開発の具体的な実績でもらうので、中年くらいでももらえないこともないというのが、日本の勲章にしては珍しいところ。

デザインは白い橘花の中央に、赤地に白の三巴(勾玉)。
花びらが間のびしていて、勾玉のおさまりが悪く、「美術をわかってない奴がくれる勲章」と言われてます。
当初の政府案では桜だったけれども、紫宸殿に君子南面して桜左近橘右近と古来決まっており、武に対する文、なるべく無くしていく戦争に対して未来に続けていく文化、潔く散るものに対して散らない常緑樹とかなんとか、昭和天皇の御意見で橘に決まった。
鈕は橘の葉と実、綬は紫無地の中綬。

芸術や学術に優劣はつけにくいという理由から、等級がなく、1種類しかありません。
しかし実質的には、この下にヒラの文化功労者や紫綬褒章が位置することになる。
それに宮中では席順を決めなければならないので、一応、瑞宝章の1等、文化勲章、旭日章の2等、というくらいの位置になっていました。現在は3等並くらい。実際はもっと下に扱われることも多い。
最近は、首相経由ではなく陛下の御手から直接頂けるようになりました。だから、見た目は中綬でも、格式としては勲一等の大綬に匹敵するはずなんですが、なんとなく下に見られてます。
席順って重要なんです。昔ヨーロッパで、席順が気に入らなくて、国と国の大使同士が決闘になっちまった例がある。勲章をつける人たちっていうのは、そういうことを一番気にするようなナルシストばっかりなんだから。

これを手渡す時、陛下御自身も文化勲章を身につけていらっしゃるのが、不思議な絵ではあります。日本の文化の伝統や発展は、天皇家ということをぬきに考えられないわけで、誰がもらうかって、そりゃ陛下こそが真っ先にもらうべき人ではありますが。

月面着陸したアポロ11号の乗組員にも贈られてます。
各国がやたら等級の高い勲章を贈ったので、日本も何かあげないわけにいかなくなってしまったけれども、あの3人は王族でもなければ政治家でもなく、それほど身分の高くない軍人であり、日本の制度の前例では低い等級しか出せないので、結局、等級がない勲章がいいだろうと文化勲章にしちゃった。
米軍が冷戦の国威発揚と宇宙の軍事利用を進めることが日本の文化勲章だというなら、原爆おっことしてくれた爆撃機の乗組員にも出しなさいよとか、もしソ連が火星に行ったら同じものを贈るガッツがあるのかよとか、ボロクソに批判されました。

 その他、文化関係

紫綬褒章は、褒章のページに書きます。

 文化功労者
戦後の日本では、勲章には何も特権がつかないということが、憲法14条で定められています。
ところが、法の抜け穴を作って、文化勲章に年金がつくようにした。
文化功労者という終身年金を作って、文化勲章と同時または翌年にはもらえることにしたわけで、現在では、文化勲章をもらう人は原則として文化功労者の中から選ばれてます。
これだけでは、パチンコは賭博ではないというようなミエミエの言い訳だから、文化功労者だけをくれてやる人(文化勲章は出さない人)というのも作り、勲章とは別の制度というタテマエにしてある。

 

 重要無形文化財保持者
通称、人間国宝。じつは国宝じゃなくて重文ですが。
芸術と工芸の、技能の保護を目的にしてます。
これに認定されると、弟子の育成費として毎年200万円もらえて、使い道の報告義務があるそうです。
個人だけではなく、演奏や舞踊のグループに対して構成員何名を認定ということもあり、また、伝統工芸の保存育成団体に対しても与えられる。
文相の名前で出ますが、決めているのは外局の文化財保護委員会。
だいたい芸大教授を長くやっていれば文化勲章になるのに対し、在野で伝統工芸や古典芸能やってて業界一の技術がある人(先輩の大御所がみんな死んで、最長老クラスの重鎮)は人間国宝になる。
俺の仲間内で工芸やってる人たちの間では、若いうちから目標が明確に分かれてます。
高尚な御芸術の世界にいて、使えない食器とか座れない椅子とかワケわかんない作品ばかりで、権威や組織や名誉や出世に執着したり、社交的で媚びて立ち回るのがうまく、業界全体の普及振興に熱心な人は文化勲章。
大衆相手の商業の世界にいて、受けた依頼は注文どおり忠実にこなし、実用的な物をコツコツ作って、生涯一職人、職人一筋何十年、組織に属さないか肩書を嫌うかしてて、技術力で身を立てている人が人間国宝、というような位置付けになってます。
しかし、両方もらう人もいる。

 国民栄誉賞
首相が出す賞のひとつ。品物自体は盾です。ほかに、毎回違う記念品が付く。
人気のなかった福田首相(先代のほう。2代目も人気なかったけど)が、王選手のホームラン記録のブームに乗っかろうとして創設した。
大衆的な分野で、前人未到かそれに近い成績があり、広く好かれている有名人で、アンチが少なく、同じくらい優秀なライバルがあまりいなくて、素行が悪くなく、派手な言動がなく、なるべくすでに死んでくれていて、今後これ以上には活躍しそうもなく、国民に夢と希望を与えた、というような人が受賞してますが、要するに、どういう基準で発行してるんだか全然わからない賞と言われている。
お嬢がもらってミッチーがもらわない、長谷川町子さんがもらってマンガの神様がもらわない、銭形平次がもらって旗本退屈男がもらわない、寅さんがもらって東野黄門がもらわない、山下選手がもらってヤワラちゃんがもらわない、鉄人がもらってミスターがもらわない、ミスターがもらったらなぜか松井さんも同時にもらったが二人の価値は同等なのかね、野茂さんはもらってないし。
手塚治虫さんがもらえないのは共産主義者だから、という意見もあるんですが、それなら山田洋次監督だって文化功労者をもらってる。
右太右衛門さんを誉めると千恵蔵さんにカドが立つというのはわかるが、銭形ならテレビ版の橋蔵さんのほうが国民的じゃないのかとか。
美空ひばりさんは体調不良に耐えぬいて歌い続けたから偉いというのなら、ひばりさん側から長年いやがらせを受けた小林幸子さんは、いじめの精神的苦痛で体調不良になったことがないとでも?
ヤワラちゃんの場合は、あんまり強くて自信満々なので生意気に見られてしまって、じつは国民から好かれていないんじゃないかとか、感動的な柔道メダリストが同時期に多すぎたとか、結婚式での白塗りの顔が笑われたせいだとか、父親が保険金詐欺で服役したり保釈中に賭博で再逮捕されたりっていうのがまずかったとか言われています。でも、めでたく国会議員になったから、これで確実に勲章もらえる。国民栄誉賞をもらえなかったばかりか片手間に政治家やってるようじゃ、もはやヤワラちゃんではない、という意見ももちろんある。
石原都知事は、特攻の母に国民栄誉賞を贈れと主張している。
価値観が多様化して人気が分散し、昔の映画スターみたいな国民的ヒーローは減ってますが、馬場さん、具志堅さん、岡本綾子さん、有森さん、キング・カズ、武豊さん、羽生さん、三平師匠、池波先生、石ノ森先生、零士先生、やなせ先生、いかりやさん、植木等さんなど、立派な有名人は、つねにいくらでもいる。
ファンは、マイナーな分野だろうが好きだからファンやってるんだし、そもそも大衆のヒーローは大衆のものであり、なんでオカミが人気度を認定してくださるのか余計な御世話、権力と結びついたらもう大衆のものじゃねーよ、などと評判が悪い。
ソッポ向いて辞退する人も多いそうです。裕ちゃんの
遺族や、イチロー選手は、断ったという。
野球選手の場合、この賞をもらうと、現役引退後に監督のオファーが来なくなるという(優勝できなかった時に、ものすごく恥になるため。衣笠さんは一生監督ができないのだという)。
この賞に最もふさわしいのは、じつは福田首相自身ではないのか。日本人が人質になったら、地球を滅亡させてでもハイジャック犯の言いなりになって救出してあげますなんて、ものすごい夢と希望を与えておるぞ?

ほかに、日本プロスポーツ大賞とか、内閣総理大臣賞というような名前になってるものとか、首相からもらうものはいろいろある。

 

もどる 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送