感状

将兵個人に与えられる表彰状。
武士の時代からやってることですが、近代軍隊の場合、ちょっと性質が違う。
たいてい司令長官クラスから遺族に出すもので、まあだいたい戦死した日の日付になっていて、1〜2階級昇進がセットになってることが多いです。

旧日本軍の場合、何年何月何日どこどこを『勇猛果敢ニ攻撃』しただけではダメで、『熾烈ナル砲火ヲ冒シ』というような、あんまり勝てそうもない状況で命を惜しまずがんばったことが評価されます。
それで、文章は人によって多少は違いますが、『敵ヲ撃滅シテ震駭セシメタルハ爾後ノ作戦ニ寄与スル所極メテ大ニシテ其ノ武勲顕著ナリト認ム仍テ茲ニ感状ヲ授与ス』というのが決まり文句。
敵をビビらせたことによって、のちのち味方が仕事をしやすくなった、一人の勇気が偉いだけでなく結果的に仲間の命を救ってもらいました、決してムダに死んでいませんと、そのへんを強調する。

つまり、受賞者はもう死んじゃってるから、発行してもしなくても御本人にとってはどうにもなりゃしないわけで。
旦那さんや愛息子を失った御家族のなぐさめだとか、この人の部隊のほかの兵士たちがこれを見習ってこのあと勇敢に戦うよな?勇敢に戦わないわけないよな?という「これ見よがし」だとか、とにかく残された人のためのものなんです、これは。

 

賞詞

自衛隊の感状。5+1等級。副賞(金一封か景品)がつく。2級以上は防衛功労章がついてくる。
警察でも賞詞と呼んでいて、金一封が付きます。

 第5級賞詞
5〜3級は、職務遂行上の活躍、長年の無事故、発明考案・業務改善などでの貢献、訓練・演習の成績優秀などの人たち(この順番に偉い)ということになってますが、実際にもらった人の例を見聞きすると、少し違うらしい。
環境や制度の改革なんてことは、階級の高い人たちだけで、当然、2級以上になるみたいです。
5級は、違反も事故もなく模範的にまじめに長くやってたら、だいたいもらえる。
乗り物は、長いこと事故がないだけで誉められる。民間だって、ちょっとクルマをぶつけちゃったとかは、どうしてもある。何十万人という人間がいたら、どうしても事故は起きる。
特に航空機では、まったく事故がないというのは、それだけで、ものすごく優秀とみなされます。

 第4級賞詞
試験の成績がトップだったとか、個人的な名誉など。
普通は、このへんまでしかもらえない。

 第3級賞詞
その人の活躍のおかげで、部隊全体の名誉にもなり、部隊長の出世にまで貢献したような場合。
部隊対抗のスポーツ試合で個人優勝したとか、マスコミに取り上げられて部隊を有名にしたとか。
3級を持ってるというのは、かなり優秀な人です。叩き上げの場合、ぜひ曹になれとすすめられる。

 

 第2級賞詞
 第1級賞詞
特別賞詞に準じた手柄があった場合。これ以上は、ほとんどの人はもらえない。

 特別賞詞
仲間の命を救ったとか、業務で大手柄があった場合。
ここまでくると、副賞も数万円になる。

 

防衛功労章

 第2級防衛功労章
 第1級防衛功労章
 特別防衛功労章

2級以上の賞詞をもらうと、自動的についてくる。
褒章みたいなものらしいですが、感覚的には金鵄勲章のかわりでしょうか。

 

賞状

部隊や隊に与えられる表彰状。
自衛隊では、これも第5〜1級と特別があり、副賞がつく。
1級と特別には、防衛記念章がついてくる。

 

感謝状

軍隊が出す感謝状。民間にも出す。
旧日本軍の場合、「感謝状 今次大東亞戰争ニ際シ國防資材ノ献納ヲ辱ウシ感謝ニ堪ヘス 茲ニ深厚ナル謝意ヲ表ス 何年何月何日 陸軍大臣誰 印 誰殿」などと書いてあって、紙は植物の罫で、上の中央に陸軍の星が入る(海軍では、錨?)。
旧日本軍は、鉄、銅、銀、金、白金、アルミ、ニッケル、ダイヤモンドなどを「根こそぎ」(という言い方を当時していた)差し出させたけれども、一応は買い取りでした。
金歯まで供出したという。

戦争っていうと死の商人みたいなのがいて、軍事物資の特需、値上がりで、大もうけできるというのに、見返りを求めず寄付してくださるとは、この国と国民の全体の幸せのために本気で貢献しようというのだから、そりゃ紙切れくらい喜んで発行します。
また、民間企業が飛行機(またはその購入費)を寄付することがあり、時期によって少し違いましたが、おおむね陸軍では愛国号、海軍では報国号と名付けてました。

警察では自治体のクビ長、教員だと教育委員会から、長年その地域への貢献をたたえる感謝状というのが出ます。
うちの父は県警ではなく国家警察でしたが、感謝状は自治体からもらってます。

 

つづき 

 

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