瑞宝章

オーダーズ・オヴ・ザ・セイクリッド・トレジャー。
外国ではトレジャーズと表記してることもあるけれども、日本政府は昔からトレジャーと訳してます。

宝鏡を、大小各8の赤連珠と、白い千木でかこったデザイン。
伊勢神宮の御神体をモチーフにしたものですが、戦前の人は、三種の神器(鏡、勾玉、宝剣)を象徴していると解釈していたりする。
星章は、四方ではなく八方に放射したデザインで、隙間は青。

日本拳法のエンブレムも、かなりコレ(と、旭日章も)を意識していると思うんですよねえ。

放射する白い線の束がシャープで美しく、精巧で見ばえがするので、見た目だけなら旭日章より人気があるくらいですが、格式では一番低い勲章だった。
平成の改正で、小綬でも白桐の鈕が付くようになった。

綬は、薄〜い水色(ほとんど白)の地に、濃い黄色(ごく初期だけは桃色)の双線。昔のやつは古くて色あせてるだけなのか、まったくの白地に見えるし、最近のやつを見ると、改正されたらしくて、かなり濃い水色の地、ほとんどスウェーデンカラーになっている。
なんにしても清浄な印象がある勲章です。

初めは役人のみ、のちに民間人にも与えられるようになりました。
宝冠章と同時に制定されたので、瑞宝が男物、宝冠が女物という位置付けだったんですが、大正時代からは、女性にも瑞宝章が発行されるようになりました。

小綬は三角折り。
女性に与えられる場合はチョウチョ型でしたが、平成の改正で男女分けをやめて、野郎型に統一した。

別名「秘宝珍宝章」「老害章」「さぼって御苦労様で章」などといい、特に手柄はなくても長年重職を勤めたというくらいに与えられる。
しかし他の章もだいたいそんな感じになってきて、同クラスなら旭日章や宝冠章よりも低いのが瑞宝章ということで運用されていた。
どちらかといえば庶民向けの安物という位置付けでした。初めて発行されたのも6等以下だったし、今でも発行数は一番多い。

改正されて、今では旭日章と同格です。
今まで何等と呼んで区別していたのが、旭日章にならって個別の名前がついた。

満州国名義で出した分は、桂国章といいました。
満州には皇帝がいるんだから日本じゃないし、別の勲章なんですけど、制度が同じだから、旧軍人さんたちの間ではだいたい同じものとみなされているようです。
うちの父は満州国の話題が出ると「満州国って言っても日本だけどな」とよく言います。あんな傀儡王朝は都道府県のひとつ、蝦夷地や琉球王国を開拓するくらいにしか思っていなかったらしい。
英国も、アイルランド用とかインド用とかを別にしてました。

 

 勲八等瑞宝章
ジ・オーダー・オヴ・ザ・セイクリッド・トレジャー、シルバー・メダル。
章は、全体的に銀色、裏は無地まっ平ら銀色。
8等と7等は、千木部分がなく、宝鏡と連珠しかない。
たとえば民間人だけど軍隊に協力して戦死扱いになったというような場合に与
えられた。
どうせくれるなら最下級じ
ゃないやつをということで、戦後はまるっきり発行されなくなり、8等というのは制度上にしか存在しない等級になっていました。
廃止されました。骨董屋で4千円台。

 勲七等瑞宝章
ジ・オーダー・オヴ・ザ・セイクリッド・トレジャー、ゴールド・メダル。
章は、全体的に金色、宝鏡だけ銀色、裏は無地まっ平ら金色。
8等を出さなくなってからは、これが実質的には種類も等級も最低の勲章だった。惜し気がないので、ひところはだいぶ発行されてたようですが、廃止されました。
巡査部長、警部補、消防団副団長、小さい郵便局の主任くらい。
消防団っていうのは、勲章の穴場なんです。俺も実家へ戻れば、自動的に消防団員にならなきゃいけない(高齢者しかいない地区だから)。これが、なんの地位も名誉も実力もない民間人が勲章をもらう可能性の一番高い方法だと思いますねえ。
郵便局員も、昔はもらえたんです。民営化って言われたら、そりゃ抵抗するわな。

 

 

 勲六等瑞宝章(現在は瑞宝単光章。以下同)
ジ・オーダー・オヴ・ザ・セイクリッド・トレジャー、シルバー・レイズ。
このクラスからは、章に七宝が付き、構造が複数パーツ組み合わせになる。
6等の章は、鏡は藍地に銀色、連珠は紅。章の裏は無地まっ平ら銀色。
旧軍の少尉や准尉、警部補、小さい消防署の長、消防団の分団長、看守長など。
8等まであった頃は、たとえばサリンをまかれた駅で救助に奔走して亡くなった駅員さんがコレでした。
うちの城で発行してるのは、このクラスから。

 勲五等瑞宝章(瑞宝双光章)
ジ・オーダー・オヴ・ザ・セイクリッド・トレジャー、ゴールド・アンド・シルバー・レイズ。
章は、中央の円と、内側の光線のふちが、金色。外側の光線のふちは銀色。
旧軍の大尉中尉、自衛隊の少佐中佐クラス、省庁の事務官や技官、警視や警部、県の室長や課長、教育委員長、消防署長、消防団長、小中学校長、小さい郵便局長くらい。
昔は、公務員じゃない人は、このへんまでしかもらえませんでした。時代がくだってくると、銀行とか重工業とか大物の実業家のうち、コネや根回しがあれば、このへんか、さらにもうひとつ上くらいをもらう人も、だんだん増えた。

 骨董屋で5万弱。
画像がきたなくてすみません。右上の丸いのが略綬。

 勲四等瑞宝章(瑞宝小綬章)
ジ・オーダー・オヴ・ザ・セイクリッド・トレジャー、ゴールド・レイズ・ウィズ・ロウゼッタ。
小綬だけど綵花つき。
これ以下、みんな小綬章ですけど、なぜかこれだけが小綬章という名前になった。
章は、中央の円と、光線のふち全部が金色。
旧軍の少佐、自衛隊の大佐クラス、省庁の事務官の首席、税務署長、県の部長や参事、教育長、町村の長か議長、消防の方面本部長、高校長、大きい郵便局長、日弁連や日医の理事、駅長、芸術文化関係など。
このクラスからは、別格に偉くなる。校長でも高校ならば、人事などまで権力が大きいので。
本当は国会議員はこのへんですが、全体的に、高め高めにもらうようになってます。

 勲三等瑞宝章(瑞宝中綬章)
ジ・オーダー・オヴ・ザ・セイクリッド・トレジャー、ゴールド・レイズ・ウィズ・ネック・リボン。
中綬、章は4等と同じ。
旧軍の中佐大佐くらい、自衛隊なら師団長か艦隊司令官くらい。
当選回数が多い国会議員、正副県知事、省庁の局長や外局次長、税関長、侍従長、皇宮警察本部長、県警本部長、消防総監、刑務所長、市区議員、日弁連副会長、病院長、テレビ局オーナーなど。本当は衆参委員長はこのへん。
植芝先生は各界にコネがあったので、死後これが出ました。

 勲二等瑞宝章(瑞宝重光章)
ジ・オーダー・オヴ・ザ・セイクリッド・トレジャー、ゴールド・アンド・シルバー・スター。
これは星章が正章で、中綬(3等と同じもの。こっちが副章)がついてくる。平成の改正までは中綬だけで星章はなかったと言う人もいますが、俺が見たところでは、八角の箱に星章だけが入ってるのが、昔の瑞宝2等です。
旧軍の少将くらい、しかし帝国軍人もここらへんならば、ほかに旭日章も確実にもらっている。自衛隊なら幕僚長くらい。
衆参の委員長クラス、事務次官、省庁の局長や審議官や外局長官、公取委の委員、法制局部長、最高検検事、高裁判事、地家裁所長、私大の学部長か学長、日弁連会長くらい。
写真の星章は骨董屋で約50万。

 勲一等瑞宝章(瑞宝大綬章)
グランド・コードン・オヴ・ジ・オーダー・オヴ・ザ・セイクリッド・トレジャー。
大綬と、星章(副章)。
旧軍の中将以上。
戦前だったら二等だったくらいの人も、戦後は一等をもらうようになっていった。民間人にもだんだん一等がよく出るようになりました。
しかし「功績」と「いちじるしい功績」の違いは、要するに社会的影響や責任の大きさなんですよね。ラジオよりテレビ、雑誌より新聞、繊維より鉄鋼、食品より自動車、小売より商社、証券より銀行という具合に、権力があってお高くとまってる業界ほど、等級の高い勲章をもらうわけです。
大綬をもらうのは、そういう業界の、しかも協会とか連盟とかの長で、政
治家ともコネがあるような、重鎮とか大物だけです。
瑞宝1等は、骨董屋で90万弱くらい。

 

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