←戻る  スタバのアレはセイレーン? 

 

 鳥でも魚でもなく、ヘビ

あのマークは、2つに分かれたしっぽ(しっぽの先に蛇の頭があったりもする)を手でつかんでいるタイプの人魚で、メルジーネ(メリュジーヌ)といいます。西洋の紋章にもよく使われてます。

メルジーネは、土曜日ごとに足がヘビになる妖精です。人魚というより、よく中国や南米の神話に出て来るような、下半身がヘビの怪物だったらしい。
人間と結婚したが裏切られ、正体を明かして去っていった、ここまではよくある異種婚のパターンですが、夜になると現れて乳を飲ませてくれるという神話になっているので、コーヒー屋のマークにふさわしいっちゃふさわしいのですが。

※後日談 テレビ見てたら、ウンチク番組でスタバのマークが取り上げられてました。創業地シアトルが海に近いことから、海に関係あるものをマークにしたくて、人魚にしたのだそうです。
番組では、「セイレーンという人魚」だと言ってました。アメリカ人はメルジーネを御存知ないらしい。

 普遍的な母神

メルジーネは、ルジニアという場所でのアフロディーテです。ギリシア神話よりも、フランス系、ゲルマンケルト系の影響が強いといいます。

もともとモイラという世界最古の女神があり、いろんな国が輸入したので、ものすごく別名があって、さまざまな変身した姿があって、微妙に使い分けがあります。
海神としてはアフロディーテとかヴィーナスとかステラマリスとか、美と狩りの神としてはヴィーナス、女王としてはウーラニアーとかマリアンヌとか、乙女としてはユノ、結婚神としてはヒュメン、出産神としてはイリテュイア、死神としてはアンドロポノス、運命の女神としてはモイライ、エジプトではイシス、シリアではアフロディテマリ、そのほかアスタルテ、アイマリ、ペラギア、マーヤー、マリー、マリ、マリーナなどなど。
イエス様の母を含め、マリアという名前の女性が多いのも、この神様にあやかったものです。

女性が多産豊穣の象徴として崇拝されていた頃の神様です。三位一体の三姉妹が多く、老婆、母、少女をあらわしてます。

父権男権社会を目指していたキリスト教としては、女神を拝むなんてけしからん、三位一体は父と子と精霊だァなどと言って、古い土着の女神を邪教扱いして、さんざん迫害したんだけど(民間療法や呪術をやっていた産婆を魔女だと言って攻撃したのもそう)、結局は撲滅できなくて、しょうがないから聖母信仰にすりかえて吸収してしまいました。
なんでイエス様の母が崇拝されるんだ、拝むべきはイエス様であって、マリアはただの人間ではないかという考えから、キリスト教でも宗派によってはマリア様は拝まないそうです。

日本では、皇室の祖先が女じゃ格好つかないから、アマテラス様はじつは男だったのだァっていう宗教が明治頃に出たりしました。

 

 セイレーンはゴミあさり

メルジーネは死の女神でもあることから、これをセイレーンとごっちゃにしている人が非常に多い。

セイレーンはサイレンともいうんですが、コジキのことです。飲食店のマークが浮浪者じゃ困るでしょう。
キュネの浅瀬という場所があって、船の操縦が難しく、岩にぶつけたり乗り上げて動けなくなってしまう事故が絶えなかったため、難破船の積み荷や持ち物を拾い集めて、収入源にしていた人たちがセイレーン。

鼻歌を歌いながら死体をあさるなんて、当然、船乗りたちからは忌み嫌われていました。
時代がくだると、船が壊れたから死者の財産を盗むのではなく、船が壊れた原因もセイレーンの歌に判断を狂わされたせいとみなされ、人頭鳥身のバケモノに描かれます。

 鳥と魚

13世紀以降の西洋絵画ではセイレーンを人魚として描くこともなくはないけれど、人頭鳥身に描くのが正しい。

というのも、セイレーンもまた三姉妹、三位一体であり、1人は竪琴を弾き、1人は笛を吹き、1人は歌を歌うということになっており、そのうち2人は半人半魚、残る1人が半人半鳥です。
歌うとすれば、この鳥の人ということになる。手が無いから。

マーメイドもセイレーンの一種だが、狭義のセイレーンは鳥キャラだということです。

コロンボ(いわゆるコロンブス)が、航海中に3匹の人魚を見たが、歌も歌わないし美しくもなかった、ということを言ってます。マナティーでも見たんでしょうか。

 歌は下手

人魚を主人公にした子ども番組があるそうです。人魚が歌うと、敵が耳をふさいで苦しむらしい(笑) ぜひ一度見てみたいですが、もう終了しちゃったんだとか。再放送してくんないかな。
本当にすぐれた歌唱力なら、聴く人に感銘を与え、戦う意欲を失わせ、改心させて、平和的に敵を調伏するんでしょうが、もだえ苦しむっていうのは、少なくとも敵にとっては不快に感じる音楽なんですね。

前述のとおり、人魚はボーカルではなく楽器奏者だから、歌はあんまり得意じゃないんでしょう。
それに、たぶんアニメソングだろうから、少しイタいか暑苦しいかクサい曲だろうし、そんなの酔いしれて歌えば、上手なら上手なほど、なおさら聞くほうは恥ずかしくて苦しんだり、全身がかゆくなるということはある。アニメソングを嫌う人もいるだろうし。

※後日談 IF北子さんから画像いただきました。ぴちぴちピッチという番組であり、普段は足があって人間やってるようです。主人公のほかに仲間が2匹いて、やはり三位一体だそうです。ありがとうございました。 

 ジャイアン現象

余談ですが、あの皇帝ネロは、実際にそういうことやってます。
御存知のとおり悪政の暴君として有名な人です。小心者のくせに自尊心が強く、民衆が自分を崇拝してくれてないんじゃないかってことが不安で、無茶な命令を押し通して権力を誇示し、ますます嫌われるという、秀吉公の晩年みたいになっていた。

しかも、下手なくせに「自分は歌手だ!」と思っていて、西暦64年の春、ナポリでコンサートをやった。
そしたら、歌い始めたとたんに大地震がおきました。民衆は逃げたけれども、ネロは平気な顔でいつまでも歌い続けた。
ネロは、歌ったせいで地震が起きたとは思ったけれど、自分の歌がうまいから神が感動して地震をおこしたのだ、と解釈して、神をたたえる詩まで作って喜んだそうです。

 

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