←戻る  キセルの話

 

 キセル乗車すんな

江戸時代初期のおふれを読むと、ほっかむりと煙草は固く禁ず、などと書いてあって、なかなか笑えます。健康や防火や、食える作物を優先しろというような理由ではなくて、煙草吸うヤツはろくなのがいないから、という治安上の取り締まりなんです。
キセルは刃物や鉄砲を仕込んだものや、十手のような鈎がついたやつ、全部金属でできた撲殺用もあります。

普通は入口と出口だけ金属で、中間を竹でつないである。「途中はカネを使っていない」という意味で、電車などの不正乗車をさす言葉にもなってるわけです。回数券で入って定期で出るなどの手口です。

地方の不良学生はたいてい、定期を忘れた日はフェンスを乗り越えるとか、定期が切れていても文字が隠れるような持ち方で提示するとか、後乗りバスで財布を忘れたと言って金を払わず降りてそのままとか、いろいろバカをやるわけです。
しかし高校の時、影武者の寅吉とどこかへ出かけた帰りに、俺が親切のつもりで、これをこうすれば何円ごまかせる、などと言ったところ、たかが百数十円でビクビクしたくないから、と言われてしまいました。
こいつの理屈だと、たくさんの金が儲かるなら危ない橋も渡るぜということだから、グレているのはお互い様だったんですが(笑)
でも、その言い方が、お前がやる分には否定しないが、俺には俺の信念と誇りがあり、それは譲らん、というようなニュアンスで、しかも柔らかい口調で言われたことが、余計にじわじわボディブローみたいに効いたので、俺は少なくともそれ以降、運賃でも税金でも年金でも受信料でも、払うべきものはちゃんと払う人になりました。

便利な割引制度とか金券ショップとかあるんだから、合法的に節約する方法はいくらでもある。頭を使う方向を間違えてはダメですね。
21世紀にもなって、まだ煙草のんでるってことが、すでにムダ使いと言われれば、まあそうですが。

 

 煙草のほうも全部金属製

最近あまり使ってませんが、俺が持ってるのはアンテナみたいに伸び縮みするやつ。縮めると指くらいの長さになる。ハンズで売ってます。
でも、これを持ち歩くと、何かヤバい麻薬をあぶるのに使ってるのかと誤解されそう。いくら俺でも、麻薬だけは手を出したことがありません。合法ドラッグも試したことがない。

それに、俺はキセルを持ち歩きません。外出先で手間のかかることしたくないのと、煙草入れを帯に差すのは町人のやることであり、武士は印篭や横笛を差すことはあっても、煙草入れなんてぶら下げるのはみっともないからです。
ただし、武士は別の理由で火打石は持ち歩きます。この話は薙刀のページに書きました。

キセルに使う刻み煙草は「小粋」というのが市販されていて、大きめの煙草屋ならあります。観光地なら、小さなキセルと並んで自販機に入っていたりもします。
髪の毛のように細く刻んである葉がチリチリ燃える音もまた、うまさのうちです。普通はふんわり丸めて詰めるんですが、手もよごれるし火皿が小さいので、俺はわざと粉にして切手用のピンセットで詰めてます。
両切を3分の1くらいに切って、キセルに差して吸う人もいるけど、貧乏臭いですよね。

キセルだと、ちょっと一口、少しだけ吸える。
吸い殻が火皿にこびりつくので、まず1回吸って、2回めは燃えてる途中でポンと叩いて捨てると、かたまりで取れてきれいになります。
でも、中にたまるヤニは、こよりでチマチマやるのが面倒だから、ときどき分解して丸洗いしてます。
そんな理由もあって全部金属のやつにしてるんですが、キセルは煙が冷えるからうまいのであって、中間部分まで金属というのは、かなり長くないと意味がない。

 

 キセルはポルトガル語

カボチャはカンボジアがなまった言葉ですよね。
キセルの竹でできた中間部分をラオというんですが、ラオス産の竹を使ったことから、ラオスがなまった言葉だという。
煙管と書いてキセルと読むのも、いかにも外来語なわけです。

キセルはカンボジア伝来だとか、カンボジア語のクシェル(管という意味)がなまってキセルになったとか、今まで信じられてきましたが、じつはそうじゃないらしい。
むしろ、日本からカンボジアへキセルを輸出していたことが、古文書から判明しています。
そもそも日本に喫煙を伝えたのは、カンボジア人ではない。ヨーロッパ人だ。

煙草が伝来した安土桃山時代は南蛮趣味だから、コンペイトウ、テンプラ、カルメラ、パン、カルタ、ビロード、ボタン、カッパ、トタン、チャルメラ、ビードロ、シャボンなんてポルトガル語も入ってきている。

当時のポルトガルやスペインでは、葉巻やスナッフ(嗅ぎ煙草)が主流だったらしいんですが、それにしては当時の日本で描かれた絵では、ヨーロッパ人はたいてい手にキセルを持った姿になっている。
しかも、描かれているキセルは、先がL字型とU字型があり、前者はポルトガル領ブラジル、後者はスペイン領フロリダの先住民が使っていたパイプであり、ポルトガル人やスペイン人は日本に来るより前に、この種類のキセルを作ってアメリカ大陸の原住民に売り付けていたことが判明してます。

南蛮人が、植物としてのタバコだけ伝えたが、用法(道具、管)は伝えなかったなんて、ありえない。
たしかに、日本に持ち込まれた当初は、外用薬(軟膏)だったり、観賞用植物として栽培されてたようだけど、南蛮人がパイプを手にしてるじゃないの。

 

フランシスコ・ザビエルもそうだったけれど、宣教師は、まず煙草を吸ってみせて人々を驚かせ、関心を引いてからキリスト教の話をしたといいます。
それは何だ?と日本人がたずね、キ・ソルベル(吸うもの)、と答えたのがキセルの語源らしいんです。

それはそうと、肺ガン薬の商品名に「ドセタキセル」っていうのがあるらしくて、NHKのニュースでアナウンサーが言うのを聞くと、ドセタ・キセルと発音してました。

 

 ね!

ホントにねー(笑) 

でもコレって地下鉄の入口に貼ってあるポスターで、本来は「ここから先は禁煙区域です」という表示なのだ。
それがなぜか、「普段から禁煙しなさいよ」にすり替えてある。もう一生やめちゃったほうがいいわよ、とプライヴェートにまで入り込んでくる。余計なお世話だぜ〜(笑)
この図も、喫煙習慣を捨ててるというより、吸いがらを道ばたに捨ててるみたいじゃんか。

この画像、西之丸のバカ画像のコーナーに出しておいたんですが、煙草の話だからこっちへ移転しました。

 

 本当に檻の中

東京駅の待ち合わせスポット、SLの駆動輪が展示してある場所だが、このガラス張りの中が喫煙所で、こりゃあ、まるっきり上野動物園のパンダ舎ではないか。見せもんじゃねーぞコノヤロー(笑)。しかし分煙、共存ということではコレしかないのだ。

 

 火山まで禁煙かい

新幹線、最近は小うるさい「キップを拝見します」が来なくなって、のんびり乗っていられるようになったと思ったら、とうとう全面禁煙になっちまった。アホか! 地方は、地球に優しくない石炭燃焼の蒸気機関車を、観光客寄せに走らせたりするんだろ。平日昼間の、ビジネスマンの移動時間だけでも、1両くらい喫煙席作りなさいよ。1両分くらい、普通にいるぞ喫煙者が。客のニーズを無視するのか? 金を払ってる御客様に対して強制か? 健康のためだァ? 健康のためなら強制していいのか? 健康のために、20代の男はデッキに立ってスクワットしてろバカモン。

最近は女性専用車とか、座席をなくして車椅子の人のためのスペースを作ったり、うまく共存してるんだろ? ニコチン依存症だけを迫害するのかよ。
他人に迷惑がかかるから? だから、だから喫煙者だけ分けりゃいいじゃないの。ついでに、ドタバタ走り回ってる幼稚園くらいのガキ、あれを静かにさせられない親は乗るな! 自分の子に「おじさんたちに叱られるから静かにしなさい」とか言ってんじゃねーよ、叱るのはてめえの仕事だろうが。あと、携帯電話! 煙草より体に悪いぞ。ペースメーカー入れてる人は、俺の知人にもいる。
そもそも、『あーさまはこーとにかあっかーざんー』じゃなかったのかよ。あさま号に喫煙席って名物になると思うけどなー。

じつは死火山とか休火山って言葉はすでに死語で、火山がもう噴火しないなんてことは決めつけられないのだ。ずっと活動してなかった山が、急に噴火した例がある。いまに喫煙の社会的地位が復活して(…しないしない。笑)、喫煙席が再設置されるから見てろ。

後日談。
煙草が吸い放題の旅客機が英国で就航されそうです。オーナーがドイツの金持ちで、ヘビースモーカーらしい。ざまあみやがれ! どんどんやれ! トコトンやれ!

久しぶりに新幹線に乗ったら、ホームにガラス張りのほったて小屋が増設されてました。喫煙室!(笑)
車内にも、トイレみたいな一画を設けてあって喫煙できる車両があるんだとか。いやあ、さすがJRさんだっ。

その後日談。
ほとんどの駅の構内で、全面禁煙になってきました。うちの田舎のほうでは、まだ、ホームの端に喫煙スペースがあるけれど。
旧国鉄の莫大な負債を、喫煙者みんなで助けてやったのに、こんな仕打ちをされて、あーあ。

 

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