←戻る  ラッキーの緑は生きて帰ってきた

 

 「時の証」

煙草屋に茶色の小さな紙袋が、福袋のように並べてあったので買ってきた。350円。中から出てきたのはなんと、戦場に行ったはずの緑! メンソールじゃないぜ、もっとコクのある、鉄紺みたいな深緑。

俺だって最初に吸ったのはラッキーだったよ。自販機にキャメルがない時はラッキー吸ってるよ。古い映画の中で数々の軍人や刑事や探偵たちが吸っていたあの緑ラッキーに、よもや出会えるとは! 戦争は終わったのだ。

「あなたは今、時をへて甦ったラッキーストライクを手にされています。」
「失われていたはずのレシピを見つけ出したのだ。」
「1916年の味わいを忠実に再現しました。フィルターを付けたこと以外は、すべてが当時のままです。」
なーんて書いてある。

小さいフィルターがついて、全長では両切りサイズ。実際ものすごくいい香りで深い味。
ラッキーはもともと、秋の校庭の空気のような、干してまだあったかい布団のような、なつかしい感じの味だと俺は思うのだが、コレはなおさらそんな気持ちにさせてくれる。

たとえば、これがもし現代の感覚に合わないマズい煙草だったとしても、ワクワクするくらいうれしいじゃないか。この小さな紙袋の中に、まるでタイムマシンで過去からプレゼントされたように、古き良き時代のゆったり流れる時間が入ってるんだから。
これだよコレ。せっかく老舗ならば、こういうことを売りにしなくてどうするよ。

 

きっちり20本ある紙マッチがついてるのもサスガ。
俺はどこのバーでも紙マッチもらって使っとるぞ。着火の音も雰囲気も、うまさのうちだからな。

煙草のほうでここまで演出してくれていたら、こっちだって惰性でおろそかに吸う気にならない。何かしながら吸うのではなく、夜の書斎でひとり静かに、味わうという目的だけで吸いたくなるってもんだ。煙草を吸わない人たちだって、ネチネチ攻撃しなくなるだろうよ。むしろ、吸わない人たちから、煙草はかっこいい、うらやましいと憧れられるような、精神性の高い文化でなければならん。

見たかMC! 絶対作れよな復刻版キャメル!

 

セクシーでナイーヴな奴も帰ってきた

 

 「時の証」第2章

福袋第2弾。福袋なんて和風の言い方は似合わないが、幸せが詰まってるお楽しみ袋が福袋でなくて何?

いきなり出てきたのはアルミのマッチケース。摺紙が少しわかりにくい所にあり、どこでも擦れるアレかと思った。
古い時代の煙草にマッチって、当たり前だがやっぱりいいねえ。現代でも線香はマッチでなければならぬと言われている。一度何かに使ったものにはケガレが入るので、1回1回新しいものでなければならないというのだ。俺はマッチ1本で自分のだけでなく隣りの奴の煙草にまでつけてやったりもするのだが、1本の火を大切にし、1本の煙草を大切に吸えば、うまさ倍増ってもんだ。

今回は、現在のパッケージの原型と、バーレイ葉バージニア葉のブレンドが完成した年だという。味は1916よりうまい気がする。やわらかさの中で少しピリッとしている。

コクのある緑を補色当てするのが男の強さならば、こっちは男の優しさだ。ぱっと見アイボリーホワイト、じつはこまかい薄ジョンブリ、肌色に近いくらい。
アイボリーとは象牙ということで、絵の具で象牙色っていうとネイプルスみたいな薄黄土だが、あれとは違うぞ、本当の象牙ってのは、もっとつややかで、暖かさだけでなく冷たさもある、こういう女性的なくらいの白だ。

 

しかもフィルターに書いてある字がクリムソンなのがまた芸がこまかい。吸い殻まで美しいじゃないか。

コレも1916も、もう普通に自販機にも入っていて日常的に買える。ちょこんと小さく、白と深緑が並んでる姿を想像してみてくださいよ。く〜。赤丸が手招きしている。

完全に負けとるぞMC。キャメル復刻版はまだか!?

 

かっこよさをわかってらっしゃる

 

1916の袋がいつまでも売ってるので、2つめを買ってみたら、こんな重厚なマッチケースが! 愛用させてもらってます。

自販機に入ってる時は、こんな感じ。本体は両切サイズだから、普通サイズの箱に入れて、余ったスペースに小さなマッチが入ってくる。この箱が新聞紙柄で、まるで私立探偵がドラッグストアで買ってきたような雰囲気。

 

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その後、キャメルのソフトパックも出たんですが、JTさんの扱いになってから、なくなりました。キャメル復刻版は、当分出そうもないらしい。ううう。

 

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