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サムライ・ブルー 1

紋章学のコンテンツから、サッカー関連部分を独立させ、少し加筆しました。

俺もサッカーを使った広告の仕事では
Jリーグ発足時からサッカー界の偉い人たちと少しかかわりあるので、
言いたいことは山ほどある!

 

  あの青は、サムライの青じゃない

武士の青は、藍(あい)です。
「武士の勝ち色」とまで言われた、藍染め。

防虫・抗菌・消臭・止血という実質的な理由で、武士は藍を使います。

国際的にも日本を代表する色であり、
幕末から明治にかけて来日した外国人たちは
「ジャパニーズ・ブルー」と名付けた。

デザイナーのローウィも、日本の煙草のパッケージを依頼されて、
ジャパニーズ・ブルーを基調にデザインしました。
それがピースという銘柄。

「日本は四方を海に囲まれた国だから、サッカーも青」
などと説明する人もいますが、
日本の海は、世界有数の深い海溝や、黒潮など海流が通る荒海だから、
黒とまではいかない暗い青、藍色の海。
沖縄ならエメラルドグリーンでもいいかもしれませんが。

 

  オーストラリアこそ、サムライ・ブルー

オーストラリアの選手がときどき着てるような紺、
あれがまさに、武士の青です。

あのくらい黒っぽいと、しまって精悍に見えるばかりか、
実際より小さく遠くに見えるので、
フリーと思わせておいてじつはマークしていたなんてことができる。
体格の小さい民族が、スピードを生かしたサッカーをやるには、
ああいう色が向いている。

日本は、ニセモノのサムライブルーを着ていたら、
真のサムライブルーを着る国にぶつかり、
わずかな時間に3点も入れられて大逆転され、
初戦から惨敗して腰砕けになり、
勝ち点の不足というプレッシャーを引きずったまま、
1勝もできずにノコノコ去ることになった。
われわれ国民も青ざめて、真っ青。

納得できーん!

日本のサッカーが世界のレベルに通用しなかっただけでも悔しいのに、
色までダメとは…。
なぜ、まがいもののサムライブルーを着せられているのか?
これには事情があったんです。

 

  サムライという意味は、後づけ

ヤタガラスと同じで、日本のサッカー界がバカばっかりで、
日本人のくせにサムライの青を知らなかった、というわけではなく、
まず青いユニフォームが先にあって、
そこへサムライという肩書を、後から付けたせいで、
こうなってしまいました。

ナデシコジャパンと同じで、「日本の代表選手」という軽い意味で
サムライと言ったにすぎない。

い〜〜〜〜んです!とか、
ゴール!ゴール!ゴール!ゴール!ゴール!ゴール!…とか、
「ドーハの悲劇」とか「ジョホールバルの歓喜」なんていう言い方とか、

いちいち言うことが暑苦しくて芝居がかっているのがサッカー
であり、
そうやってエンターテイメント性やドラマ性を高めたからこそ、
野球をしのぐほど人気が盛り上がって、我々国民も熱心に応援するわけです。
おかげで、うちもW杯中は仕事にならなかった(笑)

アズーリとか、カナリア軍団とか、時計仕掛けのオレンジとか、赤い悪魔とか、
強剛各国の色にはかっこいいキャッチフレーズがあるため、
日本もなにか肩書が欲しかったせい。

肩書ばかり格好つけて、決勝リーグに進めないのは滑稽だけれど、
アイデンティティや誇りが、選手の気分を高める効果はあるから、
上手に使うんだったら肩書も決して悪くないと思います。

武術ではこういうのを「段位が品格を作る」と言います。
それを名乗るにふさわしい人であろうとするから、
いい意味でプライドが高くなる。

しかし、ユニフォームの色がサムライと名付けられたせいで、
選手自体も「武士らしくふるまうべきだ」という空気になるのは、
ちょっと違うでしょう。

 

  武士のくせにフテ寝?

負けちゃったからといって長時間ひっくり返って寝ていて、
精神性の弱さを天下にさらしていて恥ずかしい。
あんなことだから負けたのだ。

武士は、負けたら黙って淡々と去るのみ。
勝っても負けても、一喜一憂するものではない。

武士は敗れて倒れる時は、前のめりに倒れるもので、
あおむけにひっくり返るなんていうみっともないことは絶対しない。

どんなに疲れていても、試合場を出るまでは気を抜かない。
会場は公共の場だ。

…というような意見がある。特に武術をやる人が言う。

しかし、それは全部、「武士の場合は」だろ?
あるいは武道の試合に求められている姿でしょうが。

倒れている選手を起こして、また4年後がんばろう、
胸をはって帰国しよう、と励ますべき人がみずから寝てどうする、
というような言い方も、ラジオやテレビで見かけるけれど、
中田選手は一番走っていたぞ?
あれだけ硬派な人が寝ころがって起きないんだから、
体力気力の限界まで、実力を出し切ったんだよ。
それでも勝てなかったものは、しょうがないだろ。

正道会館がよくガッツポーズして批判されるのは、まだわかる。
しかし、サッカーならば、
ゴールのたびにクネクネ踊ったって全然かまわないし、
高校野球みたいに負けてメソメソ泣いてもいいはずだ。

素直に感情をさらけ出す、さわやかな感動が、
スポーツのいい所でしょう。
「スポーツ」は、語源的にも、たわむれる、遊ぶものです。
武道と違って、試合を「ゲーム」なんて呼んでる世界なんだから、
遊びでいいじゃないか。

キーパーのせいで負けたとか(あんなに大活躍したのに!?)、
選手交代のタイミングが悪いとか、最近の若い奴は暑さに弱いとか、
しまいには、背が低いからダメだ韓国を見習えとか、
いろいろ言ってる人がいるようですが
サッカー自体のことで言われるならともかく、
君が代が口パクだとか、髪型が外人のマネだとか、
「武士と呼べるかどうか」を要求されてはかわいそうです。
サッカーなんだから。

 

  後日談

中田選手、これで引退、しかも以前から、これを最後と決めていたそうです。
そりゃ、寝転がる気持ちも理解できる。

それをまた、
途中でやめちゃうハンパな気持ちでは勝てるわけがなかったのだ、
勝てないもんだからつまらなくてやめちゃうんだろ、
いい歳して「自分探しの旅」とは幼稚すぎる、

とかなんとか、街頭インタビューで言ってるのをテレビで見かける。
結構若い人でも、熱心そうなサポーターまで言ってやがる。

だ〜か〜らァ〜!!
それはぜーんぶ、「真のサムライがそんなことしたら許されない」ってことだろ?
サムライじゃないんだから、かまわないじゃないか。

男がいったん道を選んだら、この道一筋なん十年とか、
試合で勝てなくてもくじけずに一生続けるとか、
そういう古いこと言うのは、武道とか伝統文化の世界だけで充分だ。
今は、ちょっと気に入らなければすぐ転職したり離婚したり、
やりなおしがきく世の中なんだから、幸せな時代じゃないか。
中田選手がたまたま硬派な人だったせいで、国民がみんな、
彼に期待して甘えすぎていないか?
せっかくほかにも才能ある人なら、サッカー界だけにしばりつけなくても。

 

→サッカーの中にある騎士道文化、チームカラーの決め方、
日本が青になった経緯、その効果について

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