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通称「門前払い」

 

これバラしちゃうと、偉い先生方に叱られそうですが…。

武術とか呪術の世界では、中途半端な気持ちでひやかしに来る奴がものすごく多くて、いちいち相手にするのが面倒だし物理的に無理なので、最初は(少なくとも初回は)、つきはなす慣例になってます。

悪く言えば閉鎖的なんだけれども、武術に限らず、画一的な集団指導でやらずに、少数精鋭で心も育て、師への絶対服従でやらないと、かえって効率が悪い、と考えるのが伝統技術の継承の世界なので。

自分の団体を主宰してるような先生でも、必ずしも、それを職業にしているわけではないんで、そこへ全国から電話や手紙や、いきなり訪問など寄ってたかってくると、サンタクロースじゃないから対応しきれない。

連盟や協会の役員になって業界全体の普及振興をやってらっしゃるような人は別ですが、どちらかといえば、すごい先生ほど、必ず武術と関係ない時間を多く持っておられます。
どっぷりつかっていると、普通の社会から乖離して変人になってしまうからです。いろんな恨みや妬みも受け、責任も拘束時間も面倒なので、達人であることを隠して生活してる人もいる。

 

 門前払いとは

達人がいるということを、オタクの人がどこかで聞きつける。
(なにやらスゴイ人がいるらしい。僕が知らないことをいろいろ知っているようだ。知りたい。知らないままでいるのは不安だ。)
(あまり有名な人ではないらしい。名門は高弟ばかりだから、マイナーな流派だったら、僕が継承者になれるかも。)
ということで、連絡してくる。

「先生! 手から気を飛ばして離れた敵にぶつけて倒す技はどうやるんですかっ?!」

師は、
(ああ、また来たか、この手あいが…)
と、一瞬で判断する。
本当は、道具を使って手から火炎を飛ばす隠し技が上級段階にあるんだけれども、それを言うとしつこくつきまとわれてしまうから、絶対言わない。

「そんな漫画みたいな神技は、私にはできません。健康のために、体育として、若い頃にちょっとかじっただけなので」

オタクは、もしかして謙遜して隠してるんじゃないかと、少しは疑う。
「先生は、ストリートファイトの武勇伝も多いんでしょう?」

 

師は、じつは戦時中や戦後の混乱期に、相当いろんなことがあったのだが、そんなことは絶対に自慢しない。
ものすごく危険な必殺技があるのだが、使えば相手を殺してしまうから(実際、米兵に対して使ったことがある)、形でしか練習できない。乱取というか自由組手は、本当はあるのだが、夜中に上級者だけがこっそり集まってやっていて、表向きは、試合をしない団体ということになっている。入門してる人でさえ、初心者のうちは、このことを聞かされていない。

「怪我するのが怖いので、試合をやったことはありません。心身を鍛えたくて、ただ形を繰り返してただけですから…」

危険だから実戦をしない、ひたすら形を繰り返し続けたというのは、じつはそれだけで実用的な技法と並々ならぬ努力だということが、わかる人にはすぐわかるのだが、オタクにはわかんないので、だんだん勝ち誇った気になってくる。
「僕は県大会でベスト16に入ったことがあります! 骨折して1か月入院しました。ま、名誉の負傷ってヤツですかァ? ガハハ! 最近調子がよくて、誰にも負ける気がしません」

師は、そろそろ笑点の大喜利が始まってしまうから、早く電話を切りてえなあと思っている。
「そうですか、ベスト16ですか、すごいですねえ〜」

オタクは、適当にあしらわれたとは気付かない。
(なんだ、たいしたことないジジイだった、よかった、安心した)
ということで満足して、それっきりになってしまう。
もう、この師を征服しきった、クリアしたと思ってしまう。

で、もうちょっとレベルが低くて派手で宣伝がうまくて、頭の悪い人にもわかりやすい、三流の師につくことになるのだが、その程度の指導者には、その程度の弟子がふさわしいし、そのほうがお互いに求めるものが満たされて、世の中が丸くおさまることになる。

うちのようなサイトでも、俺ごとき未熟者でも、このやり方でやってます。
ですから、何年も毎日のようにカキコミを頂いている方は、その人がどんな御人柄で、どんなジャンルのどの段階にいるかがわかりきっているし、御世話になってるから、今すぐ必要とされている資料は、どの会社から出ているどの本に載っててこんな内容だということくらいはお伝えするし、どうしても入手できないということであれば、引用文や画像をお送りすることはあります。
特に、なにか御教示いただいた場合は、基本的に情報には情報で返すことにしています。たとえコスプレやってる人でも、隠しページにお招きしまくりました。
でも、このコンテンツは普通に手に入る本ばかりですから、俺が持っているくらいのものは、そういう人はもうすでに入手してるものなんで。

 

 

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