戦争

 戦争

厳密には、宣戦布告があり、国家同士が正規軍を動かして戦闘状態に入り、国際法(戦時国際公法)の対象となるもの。

しかし歴史上では、民族・宗教・思想などの党派・結社も、準軍事・非軍事組織も、さまざまに戦闘をやっており、旧日本軍はパールハーバー以前にマレー上陸戦をやっているし、世界各地の紛争はどう見たって戦争であるし、国家がゲリラに武器を供給していたりもするから、宣戦布告とか国家は必ずしも戦争の条件になりません。
大規模または継続的な戦闘ならば、広い意味で何でも戦争と呼ばれてはいます。
だいたい戦死者千人で戦争だと定義している本も見かけます。

クラウゼヴィッツの言葉に、「戦争とは、こちらの意志を実現することを目的として、対立者を屈服させることを意図した暴力行為である」というのがあり、暴力で言うことをきかせようとするという一点において、理不尽な暴力も、暴力をやめさせるための暴力も、暴力という現象に違いはない。

有史以来、人類が起こした戦争の数は、だいたい1万5千件。

 

 戦争放棄

国連は一応、戦争を禁止してます。
設立目的のひとつに平和をうたい、そのための原則として、兵力の使用禁止を挙げている。

というか、国連に入るってことは、戦争を放棄するってことでなければならないし、本来は実際そうなんです。
国連に加盟している以上、戦争はできないし、加盟してない連中が戦争をやってるのを認めるわけにもいかない。

にもかかわらず、戦争を放棄したくらいでは戦争はなくなりません。
生命・財産・権利を守るために、しかたなく防衛しなければならない時はある。

 

 日本の戦争放棄

日本も、戦争全部を放棄してるんじゃなくて、『国際紛争を解決する手段としては』放棄する、としか言ってない。
自衛のためならば、戦争も、武力による威嚇も、武力の行使も、やらないとは憲法に書いてない。

「アメリカとの同盟関係を維持する手段としては」放棄していないんでしょうねえ、やっぱり。

手段としては放棄しても、戦争それ自体は放棄できないものらしい。
戦争のための戦争っていうのもあるんです。軍隊はときどき使っていないと使いものにならないので、使う機会がなかったらヨソの戦争に参加してでも、無理にでも使わないと、持ってても意味がない。

平和憲法に意味があるとすれば、これによって国際社会で尊敬される地位を得て、発言力とか説得力が増すということですが、全然そうなってない。
戦争ばっかしやってる国にイヤミのひとつも言ってやるくらいでなければいけないのに、ナアナアのポチになってるようじゃ。

 

 宣戦布告

開戦の一方的通告。
これだけでも(まだ行動を起こしていなくても)侵略ですが、これをやらずにいきなり攻めても、もちろん侵略ということになる。

だから最近は、宣戦布告ってしなくなりました。
実際は戦争やってるんだけど、戦争ではないということになっている。

じつは敵国だけでなく、国交のある国すべて(事情がわかりきってる国以外)に、連絡義務がある。
冷し中華みたいに、「戦争、始めました」「命、安売り中」という看板を出さねばならない。
なぜなら、留学や観光や労働などで現地に滞在してる自国民がいたり、出資とか預貯金とか不動産があったりして、他人事ではないからです。

 

 憎悪唱道、宣撫

憎悪唱道は、戦争宣伝、敵の悪口を言いふらすことです。国際規約で禁止されている。
でも、これだけ情報化社会になってしまうと、聖戦とか、悪の枢軸とか、ちょっと言ったことでも全世界が聞いてますよね。
アメリカ映画だって、いつもいつも米軍が無敵でかっこよすぎる。

宣撫というのはコンソリデイション・プロパガンダ、地盤固めというやつで、占領地の民衆に対する宣伝。
真意を伝え、展望を説明し、不安をとりのぞいたり、あるいは脅迫や洗脳や買収だったりもします。
これをやらないと、民衆が不服従だったり暴れたりする。

 

 絶対戦争、制限戦争、将棋戦争、制裁戦争

絶対戦争は、敵を政治的または軍事的に無力にする戦争。国を滅ぼすことが目的です。

制限戦争は、利益や権利の奪取や防衛、政治的譲歩を引き出すためなど、限定された目的や地域でおこなう戦争。
三十年戦争でドイツがめちゃくちゃになったので、いくら戦争でも歯止めをかけましょうということになったもの。
これだけでも充分に大規模で悲惨なのに、どこが制限・限定かというと、この程度の目的は、絶対戦争なら全部自動的に手に入ることだから。

将棋戦争は、身代金を目的にした制限戦争。
敵国は金ヅルだから滅ぼしたらまずいし、殺さずに、できるだけ多くの、身分の高い捕虜を取る。
将棋戦争という言葉自体は近代にイタリアがやって以降ですが、古くは十字軍とイスラム軍が似たようなことをやっていて、『ドンキホーテ』も作者の経験を生かして捕虜の身上話がえんえん語られる部分がある。

制裁戦争は、自国民が殺されたり、利益を横取りされたりして、仕返しのためにやる戦争。
相手国が非を認めない、謝罪や賠償をしない、あるいは、とにかくムカついた、けしからん、経済制裁など他の制裁だけでは足りぬ、ということで報復攻撃する。

 

つづき 

 

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