規模

 1人(タダノサミシイヒト)

石原莞爾が、軍隊の最小指揮単位はどんどん小さくなっているから、いずれ個人になるだろう、とか言ってたそうですが。

戦闘機なら一人乗りということはあるんですが、それでも普通は2機くらいセットで飛ぶ。
アホ丸出しで都合よすぎのハリウッド映画でさえ、途中で拾った行きずりの一般女性かなんかが同行して、ちょこちょこ役に立ったりする。

一人でなにもかもっていうのは、ほとんど子どもむけのマンガの主人公くらいです。

つまり、非常に発想が幼稚です。責任とか権限とか所属ということが、あんまり頭にないので、ただの殺し屋になってしまう。

 

 2人1組(バーディ)

ツー・マン・セルなどともいう。
これは軍隊規模の単位ではありませんが、軍隊の最小ユニットは何人かと言えば、ユニットはまず2人から始まるとしか言いようがないので。

掩体(タコツボ)に入るにしても、偵察でも特殊工作員でも、1人では損。
警戒、攻撃、補給、衛生、退却、技術的にも精神的にも、2人以上で助け合わないと負担ばかり大きく、実際の人数より少ない効果しか得られない。
RPGだって、そういうものなんでしょう?

蛇にかまれて毒を吸い出す、口や手の届かない所をかまれたらどうすんのかとか。
人殺しですから、どんなにベテランでも精神的におかしくなることもある。そういう時に、重要な判断を一人でやってていいのかとか。

人は(猿でもそうだが)集団で生きていくもので、ましてや軍隊は「隊」というくらいで、連携してこそ価値が出ます。

巨人軍(あれがどうして軍なのかは、「中務」の武術用語を参照)のようにヨソから4番ばかり買ってきて寄せ集めたり、オーナーがトンチンカンだったり、バラバラなものはダメに決まっている。
ひとりひとりは平凡でもいいから、打線も投手リレーも気持ちもつながって、全体でひとつの生き物のように関連しあい、同じ目的と統一された方針で、それぞれの役割をこなすことが重要です。
個性の強すぎる奴がいると、そいつは勲章もらえても、仲間は危険にさらされて大迷惑する。

軍隊は熱い男の友情で固められてます。
ホモの巣窟になりやすかったり、もちろん戦争は人として最低最悪のバカげた行為ですが、少なくとも、自分さえよければいいという人が多い現代に比べたら、戦時中の男たちが立派だったということだけは認めざるをえない。

 

 班(チーム)

これは編制にはない単位で、便宜上、分隊を複数(たいてい2つ)に分けて使う時のひとまとまりです。
どうせ銃なんて数百メートルしか効かないし、補給の問題もあるから、よほど特殊工作でないかぎり、班だけではそう遠くまで単独行動しない。

1班は5人前後。
古代中国でも5人1組でやってたし、今の米軍も普通は5人です。
偵察隊には4人が理想的です。

歩兵戦闘車だと、乗車班3人、下車班6人という分け方をしてます。
移動は全員乗車ですが、戦闘時には下車班は降りて展開することもあるわけです。

なお、これは軍隊での話であり、ジャンルによって用語が違います。
5人くらいの組織を、機動隊では分隊、消防では小隊と呼んでます。
警察や消防は、全員が将校(本物の公務員)であり、命が安くない(殉職しない範囲でしか作戦を立てられない)という事情があるのに対し、軍隊では下士官以下は死ぬのが当然であり、減る分を見越した人数にしてある。

 

 分隊(スクォード)

戦術の最小ユニットです。1個分隊は10人くらい。
米軍では、普通の歩兵だと昔は12人だったのが10人になりました。
普通の歩兵なら、自衛隊では9人、ヨーロッパでは8人なんてこともあるらしい。もっとも、戦時には1〜2名付け足すのかもしれないが。

自衛隊では、隊と呼び、分隊とは言わなくなってきているらしい。

武士でも警察でも探偵でも、役割をふると7人は絶対必要です。
軍隊の場合1〜2人は死ぬから、やはり10人はほしい。

分隊長も含めて10名いれば、分隊長と部下4名でA班、副分隊長と部下4名でB班、これら全部が1個分隊です。

だから分隊長は、分隊全部の指揮と、自分の班の指揮と、さらに小隊長への通信も自分でやります。

昔は、この規模では無線なんか持っていませんでした。
全員がコンピュータを身につけて、通信やGPSをデジタルネットワーク化するというのも各国で研究されてますが、重量やコストの問題で、まだまだ実現しそうもない。
小規模な特殊部隊だったら全員が無線を持つとか、無線兵が2人いるなんてことは、すでにやってます。

戦車とか装甲車は、だいたい1個分隊に1輛です。
戦車に乗ってるのは4人くらいでも、整備や偵察の人がジープやトラックでつきそう。
歩兵戦闘車が9人なのは、車内は狭いし25ミリ砲があるから。

空軍では、飛行分隊、エレメント、ロッテなどと呼び、戦闘機なら2機です。
1機が空中戦をやり、もう1機はその背後や上空を守るという役割分担。

 

 班(セクション)

班というのは微妙な言葉で、「半小隊」などという言葉もあったりするのですが、前述の、分隊を小分けしたうちのひとつをさす以外に、
「役割があるので、3個分隊を2つとか4つに分けて使う」
というような一時的なことも班と呼んでます。突入班とか狙撃班とか別動班とか囮班とか。

現場ではどんどん死んで、頭数が減っていくので、3個分隊が2個分隊と1個班になっちゃったとか。

また、編制にもある正式な単位としての班もあって、
「昔は小隊規模でやっていたが、兵器が発達したので、そんなに人数いらないから減らしたが、火力でいえば小隊なみの働きをする」
とか、
「特殊な専門分野をやる人たちを、兵士何人くらいにつき、このくらいずつ付けておかないと仕事にならないが、この人数は分隊でも小隊でもねえなあ」
とか、
「大がかりな兵器で人手が要るから、最小単位でも20人ひと組だ」
というような、人数や格式で言えば分隊くらいでも責任や戦力は小隊くらいの集まりを班と呼んで、ほとんど常設されてます。
対戦車班とか迫撃砲班とか対空班とか。

分隊は、戦闘としては隊ですが、内務としては班です。

空軍にはケッテという3機の隊があります。
戦闘機で3機編隊というのは、わりと古い編制です。

 

 合班

がっぱん、と読みます。一時的な班の一種。
2つの小隊または区隊が、大部屋3つに分かれて宿泊するような場合、ひと部屋は寄せ集め集団になること、また、そうして出来上がった団体のこと。
これは落ちこぼれやはみ出し者の集まりという意識があって、豪快な野武士風の人たちだそうです。

 

 作戦分遣隊(チーム)

特攻野郎Aチームとかのチームです。
特殊部隊は責任や権限が重く、精鋭でもあり、少人数でも地位や給与が高いことがあります。

米軍のSOFいわゆるグリーンベレーの場合、1ユニットが総勢12名といっても、隊長は大尉、本来なら中隊長クラスの人であり、副長でさえ中尉、あとは全員が超ベテラン下士官のみであり、どのくらいベテランかというと、作戦・通信・兵器・整備・医療のうち2つ以上の技能を持っていて、誰が死んでも代わりを勤める者がいるということであり、半数が死んでもまだ組織の機能が落ちない。

実際の人数の倍以上の戦力になっているのだから、たとえ4〜5名くらいの組織でも、小隊くらいの格式には扱われます。

 

つづき 

 

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