正規軍

 軍人、交戦者の資格

軍人の定義は難しいですが、戦闘能力を備えた組織の構成員、とでも言うしかない。
私設軍隊とか傭兵とかゲリラとかパルチザンとか、衛生兵とか法務兵とか炊事兵とか、特殊なのがいっぱいあるからです。

ただし、ハーグ会議の「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約」に定める交戦者の資格というのがある。
民兵や義勇兵や組織的抵抗運動団体構成員が、軍人として扱われる条件です。
1、部下ノ為ニ責任ヲ負ウ者ソノ頭ニ在ルコト
2、遠方ヨリ認識シ得ベキ固著ノ特殊徽章ヲ有スルコト
3、公然兵器ヲ携帯スルコト
4、其ノ動作ニ付戦争ノ法規慣例ヲ遵守スルコト

 

 正規軍

正規軍人で構成されたものが正規軍ですが、これまたハッキリしない。
少なくとも民間でやっていなくて、国家またはそれに準じたものに制式に所属・管理・運営されている戦闘組織というようなことですが、ただし、その国家が国際的に承認されているかどうかはあんまり問われない。
後述する人民軍や解放軍は、建国前でもかまわない。

 

 徴兵、義務兵、強制徴兵

徴兵は、国民の義務として軍隊に入らなければならないもので、義務兵とか強制徴兵ともいう。
国民皆兵と選抜徴兵がある。

かつては納税・教育と並んで「国民の三大義務」とされ、納税のように国家を成り立たせる貢献であり、義務教育のように国民が身に付けておかなければならない「たしなみ」であるという考え方。
紀元前ギリシャの都市国家ポリスの重歩兵ホプリタイとか、大昔からあったことはあったけれども、近代軍隊においては、フランスが、革命とかナポレオンとかで国家総動員法とか愛国心(特に、宿敵であるドイツ人に対する危機感)とかで本格的に始めました。

普通、軍隊勤務は2年とか4年ぐらいが1区切りで、これ以下では、やっと仕事ができるようになってきたとたんにやめちゃうファーストフードのアルバイトみたいなものだから、効率が悪い。
しかし最近は兵役が10か月くらいという国は結構あります。

徴兵は、現在、アジアでやってないのは日本くらいですが、ヨーロッパではほとんど廃止してます。

 

 国民皆兵

国民皆兵は、およそ男子に生まれたからには、なにかあった時に戦える国民であるべきだ、全員一度は軍隊を経験しておけ、というもの。
頭数を大量に確保するためです。

なんなら、普段は少人数でも短期間でもいいけれども、いざという時は一声かければ経験者がいくらでもいるという、人材の貯金みたいなことです。
民兵に似てますが、国の管理でやる。

現役で軍隊に所属していない時でも、災害や事故なんかの時でも、国民ひとりひとりがいっぱしの男なので、普段やってる職業でも日々の生活態度でも、気合入っているから、強い国になる。

 

 選抜徴兵

選抜徴兵は、ある程度は適正を選択するもの。

まず、女、子ども、年寄り、デブ、メガネなどが、普通は免除ですが、負けが込んでくるとしばしば引っぱられる。

戦時中の日本は40代、ドイツは50代まで新兵に取ったようですが、そんなことしなきゃならないってことがすでに負けであり、普通は18〜35歳くらいの男性だけ。

女性兵士は旧ソ連が有名です。戦争未亡人がカタキ討ちの感覚でやっていたり。
徴兵制にしていても女性は任意という国もあります。イスラエルは人口が少ないので女性にも兵役がありますが、それでいて、男でも聖職者は実質的に免除されるそうです。

日本では、近代軍隊ができた最初の頃は、270円払えば免除とか、長男や養子は免除とか、北海道と沖縄は特別扱いとか、徴兵をのがれる抜け道がありました。
今でも一人っ子は免除になる国があります。

スイスでは、スイスのパスポートを持っていない国民は免除だという。ようわからん。

アメリカだと、「米兵資格試験が10点以下」「肉体的、精神的、道徳的に適切な基準に達していない者」「17歳未満、35歳以上」「凶悪犯罪で有罪判決を受けている者」「アメリカの国籍または合法的永住権を取得していない者」「正規に任命された聖職者」「嫡出子と誠実な関係を築いている者」「18歳以下の子ども2名以上を扶養している既婚者」「子どもを扶養している未婚者」「産業界で働く者、公職(連邦、州、地方政府)についている者、科学、医療研究に従事し、その研究が国家の医療、安全、利益の保持に必要とされる者」などが免除でした。

 

 

バカ、軟弱者、キチガ○、よそ者、人として立派すぎて人殺しに育てにくい者(良心的兵役拒否など)、家族をかかえていて未練や里心がある者、死なせるのがもったいない高級な人間などは、猶予されるわけです。

最近は人員削減していく一方なので、人は余ってる。もっと減らしたいくらい。

ブラジルでは、今年は何月生まれの人の中から採用、なんていうやり方をしてます。

そんなに数が必要なければ、徴兵検査の合格者の中から、さらにクジ引きすることもあります。
タイでは、約5人に1人がクジに当たって引っぱられ、陸海空どれになるかもクジ引きだという。

 

 徴兵逃れと奉仕活動

思想(特に宗教)などの理由で、どうしても兵役をしたくない、それこそ死んだほうがマシだァという人は、どうなるかというと、今では、それならそれでいいことになっていて、かわりの労働をやります。
図書館や資料館、病院や養護施設、公園や自然保護区など、国営かそれに近い組織で、公共のために働く。
期間は、徴兵よりもいくらか長め。

軍隊は必要だ、と思っている俺が徴兵制に反対なのは、無理矢理やらせたってムダに死なせるだけで実用性がないからですが、徴兵でなくてもいいから、社会人になるための通過儀礼はあったほうがいいと思います。
着飾って暴れるだけの成人式に使う金と時間とエネルギーがあるんだったら、もうちょっとマシな、たとえば消防か警察か警備会社で一定期間だけ合宿というのを新成人に義務化して、体力や防犯防災…とまでは欲張らないが、服従とか我慢とか責任とか協調とか、なんか身につけさせたらどう?
昔は部活とか寮生活で身についたり、担任の先生が人生まで教えてたんでしょうけど、今どきはそんなのないでしょ。準備運動もなしに社会へ出したら、人生が苦しくて、すぅーぐ人を刺す。国が内部から腐るなんて、戦争よりも滅ぶぞ。

マレーシアでは、徴兵制を復活させました。それは時代に逆行した増員ではなく、「多民族で連邦制なのだから、必要なのは兵力よりも、まず団結心や協調性」という発想の、国民奉仕。
18歳の男子が3か月間、規則正しく共同生活し、やることは公共の清掃だったりするそうです。軍隊に入るわけでもなく、軍事訓練もしないけれど、使い物になる人材が育つ。

 

 志願制、志願兵

志願制、志願兵は、軍隊に入りたい人だけ入るというやつ。

兵器がハイテク化すると、特殊な専門技能を持った少数精鋭になっていく。
反戦主義の人なんか入ってこないので、士気も高い。

海軍は志願制でやらないとなかなか育ちません。
ちょっとばかり船に乗ったくらいでは、戦闘以前に、一人前の船乗りになれないので。

海兵隊も、戦争が好きで腕っぷしの強い人たちが過酷な訓練で鍛え上げられる世界だから、イヤイヤながら徴兵で来たような軟弱者ではちょっとついていけない。

 

 地域外募集

全国各地に軍管区とか連隊本部があるので、本籍や住民票のある、地元の部隊に入るのが普通です。
しかし、大阪に生まれたのに東京の部隊に入るというようなことも、志願兵ならあるし、徴兵でも希望が通ることがある。
学区外の公立高校へ越境進学というような感じ。

人が嫌がる危険な仕事や、軟弱すぎて不名誉な仕事は、希望が通りやすい。

自衛隊でも、義理の親が年寄りで心配だから妻の実家の近くがいいとか、勤務地を決める時に家庭の事情を少しは(あくまでも少し)考慮してくれます。

 

 職業軍人

職業軍人は、職業としてやってる軍人。
徴兵されてやるのではなく、自発的にやる。

しかし、下士官以上でなければ、志願兵でも、すぐに満期になってしまう。
技術や知識ではなく、人手として採用されているだけだからです。
自衛隊だと長くても4〜5年間くらいでやめることになる。

だから、生涯続けるためには、昇進試験を受けてどんどん出世するか、あるいは最初から軍隊の学校に入ることが前提です。
さもなければ、傭兵にでもなって渡り歩くしかない。

 

つづき 

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