平時の日常

 5時30分ごろ
新兵は、起床時間よりも早く起きている場合もあります。それは、起床と同時に、先輩の身の回りの世話をしなければならないので、自分の着替えとトイレは先にすませておくのだという。こんなことができる人は、すぐに出世します。
普通は、起床時間になっても爆睡してて、なかなか起きられない。

 6時
起きる。起床ラッパが鳴ります。旧軍では、「起きろーよ起きろーよ皆起きろー、起きねーと古兵どん(または「班長さん」)にどーやさーれるー(または「しーからーれるー」)」と聞こえるメロディ。
軍隊ではだいたいラッパで行動します。自衛隊はぜんぶ旧軍とは違う曲にしてる。
軍艦内では、総員起こしという放送があります。

夏と冬、雨期乾期、白夜など、国や季節によって数十分くらい変化がある場合もあるけれども(冬は6時半だったり。軍艦内で休日は7時だったり)、とにかく早寝早起きです。

それから洗面、着替え、掃除、整頓、集合、点呼など。自衛隊ではまず点呼して、食事して、それから身支度・清掃になる。
日本では、陸軍では点呼、海軍では巡検と呼んでたようですが、父は陸軍なのに巡検と呼んでいたという。部隊によってしきたりが少し違うのかもしれません。
とにかく週番士官かなにか見回りが来るから、その人に対しておこなう。班長が、第何班、総員何名、現在員何名、事故何名、番号、と言うと、端から全員でイチ!ニ!サン!シ!…と大声のやつぎ早に言って、それからおもむろに班長が、以上何名異常なし、事故1名なにがどうしたためどこへ入院中とか言うと、見回りが、よしと言ってくれる。
基地の宿舎で寝起きしてる人は、刑務所とあんまし変わらない。
「早メシ早グソ芸のうち」ということになってますが、トイレの大は、時間をかける人が多いという。順番とか、どうしているのか謎。

 6時15分ごろ
早ければこのくらい、遅くとも7時には朝食(配食始め)になる。自衛隊では6時半か7時くらいです。
旧日本軍では、御飯と味噌汁だけなんてことがよくあって、せいぜい漬物がついてくるくらい。自衛隊では御飯かパンか選択できる場合もある。
食事の合図のラッパは、正露丸のCMのアレです。「炊〜事兵は、いいとこ取って、残〜飯食わす」などという歌詞が一応ある。
朝食に限らず、軍隊での食事は誰でもあっという間に食べ終えてしまう。5分以上かける人は稀。そのつもりで、食堂の椅子などは人数分を用意してない。

 7時
ラジオ体操みたいなことをする。
これは、自衛隊体操とか、ジェットマン体操(笑)とか、その組織のオリジナルのものがあったりする。
軍隊に限らず、ウォーミングアップしないと、怪我やミスがあるということと、やる気が出ない時(毎日だが)は体を動かせばとりあえず気持ちが目覚めるので。

 8時
国旗を揚げる。
旗にも作法があって、夜中に出しっぱなしにして夜露にぬらすものじゃないから、毎日出しては片付けるわけです。
軍艦の場合、航海中や戦闘中は目印だから、国旗や軍旗は出しっぱなしということもありますが、停泊中は8時に出して日没に片付ける。たいてい艦首が国旗、艦尾が軍旗。
この揚げ降ろしは、どこにいても旗のほうに向かって起立敬礼する…ということになってますが、最近の軍隊では案外、座ったまま無視してる人もいるみたいです。
熱心なところでは、軍楽隊が生演奏して、全員が旗の前に整列して旗を揚げる。
そのあと、自分が所属してる部隊の中隊長から朝礼がある。
朝礼は、長い人と短い人があり、長い人はトコトン長いが、短い人は今日もがんばりましょうくらいしか言わず、実質的な朝礼は下士官クラスからの連絡事項という形になってることもある。

 

 

 8時10分ごろ
それぞれの科目の部隊に行く。
基地は広いし、演習場までの距離もあるから、移動だけで30分くらいかかる。実際はそんなにかからなくても、それだけ見越してある。
トラブルがあれば片付けたり、先輩から叱られたり、なにもなければ実質的に休憩時間になる。
体調が悪い人は、1日寝てていいという診断書を、このころまでに軍医に書いてもらう。たいていは、ツバでもつけとけなどと言われて、休ませてもらえない。
武術と同じで、休むと体がなまって後でよけいにつらいし、体を動かして大汗をかいたほうが、気合や喝が入って、少々の不調は吹き飛んでしまう。また、それが可能なくらいの若い人たちで構成されている。
父の部隊では、仮病で休んだとしても、おかゆと梅干ししか食べさせてもらえず、軟禁されて、給料や出世も不利になるので、面白くないから、誰も仮病は使わなかった、仕事をしながらでもそれなりに手を抜く方法はあるので、現場に出ているほうがいい、とのことです。

 8時40分ごろ
現場についたら、始業前点検と、その部隊の朝礼。
王宮を守る部隊なんかだと、行進して、夜勤の連中との交代式をやったりする。

 8時50分ごろ
実際の業務にかかる。課業といいます。平時だから、トレーニングだけの場合もあるし、地震や台風の片づけとか、仕事らしい仕事の場合もある。消防署みたいなもので、出動がない時でも、なにかやってるわけです。
早くとりかかって早く終わりにしたいという意識があるらしくて、5分か10分くらい早めに始める。
どちらかといえば、重要なことほど午前中のうちにやってしまう。そのほうが、はかどるとされている。

 10時
短い休憩。靴を脱がない程度の軽い休み。
学校の授業もそうですが、人間の集中力は1時間くらいしか続かないとされていて、50分に10分くらいは、煙草かコーヒーか雑談くらいして気分転換したほうが効率がいい。

 11時半
午前の業務は、ひとまず終わり。
基地で昼食ならば基地に戻り、食堂へ行く。
衛兵だと、午後担当の連中と派手な交代式をやり、その様子を観光客に見せびらかしたりする。

 11時45分
昼食は12時ということになっているかもしれないが(自衛隊では本当に12時)、軍隊で言う昼食というのは、実際には12時前には食べ終えてしまうことが多い。
昼食は、おやつみたいな軽いものかもしれないが、一番、変わりばえのするメニューが出る。旧日本軍でも、洋食だったり、デザートがついてきたり。
ただし戦場では、朝と夕はコックが作った料理で、昼は一番食べ飽きている缶詰レーションですませることが多い。このページは平時の話。

 12時
昼休み。軽く仮眠する人が多い。眠らないにしても、ここで横になっておくと、疲れ方が全然違うので。戦時でも靴を脱いで足をもんだりする。
寸暇をおしんで筋トレや勉強をする人もいるが、バカか変人とみなされる。
昼休みの居場所も、縄張というか、暗黙の了解がある。
何か問題があって、呼び出されて叱られる人もいる。

 12時半
海軍などで食堂があまりにも狭い場合、全員がいっせいに食事できないので、2度に分けることがある。遅い人だと、このくらいに食べることもある。

 13時
ふたたび仕事場へ移動。朝よりも、さらに、やる気が出ない。

 

つづき 

 

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