糧食

男ばかりで冒険に行って、達成感だァ?、ケッ、そういう環境では、楽しみといったら食事だけだ!、というような名言をはいたのはニコル先生ですが、まったく同感です(笑) これがなかったら、山岳部なんてやってられん。兵隊さんは、なおさらのはずです。

 糧食

軍隊の食事は、糧食といいます。
こまかいことを言えば、糧食は、米でも麦でもピラフでもパエリアでもとにかく「シャリ(ゴハン)」だけをさすとか、パンでもウドンでもいいから主食になるものだけをさすとか、それ以外は食糧だとか、それらすべての総称がまた糧食だとか、それは間違いで全部糧食でよいとか、素材が食糧で調理したのが糧食だとか、素材は糧食品で調理したのが糧食だとか、同じRationでもレーションとレイションと発音する場合では意味が少し違うとか、いろんなことを言う人がいて、時代によって少し違うフシもあって、俺にもよくわかりません。
とりあえず、ここでは糧食と総称しときます。

自衛隊では、レーションの訳語は「糧食」ですが、品物ではなく供給システム全体について言う時は、「給食」と訳されていることがあります。
軍隊では、食料とか食材と言ったら食費や材料費のことをさしている場合が多い。
給食という意味で給与と言うこともよくある。うまい食べ物が支給されるということを、給与がいいと言う。

 

 主食・副食等

国と時代と部隊によって用語はいろいろですが、普通の食事は、主食、副食、調味料、飲料、保健食品などに分類される。

主食は日本人にとっては絶対に米ですが、脚気予防に麦を混ぜたり、煮炊きできない環境ではパンにしたりする。
脚気の原因がわからなかった時代にも、なんとなく麦飯が効くということは知られていたんですが、森鴎外などが反対したために採用が進まず、日清日露では多くの兵士が脚気で苦しんだ。
軍隊で言う麦飯は、白米の3割かそれ以上を麦にしたやつです。
しかし麦を混ぜるとまずいので、規定量を混ぜないで、麦はこっそり捨てていた部隊もありました。

旧日本軍では、研いだ米をザルにあげておいて、湯だけ沸騰させ、そこに米を入れて水加減、という炊き方もありました。

玄米にしたこともあったんですが、誰もが噛まずに丸呑みだから消化吸収されず、力が出なくてすぐにバテてしまうので、白米よりもダメとわかった。

パンは、満州が小麦の大産地だったこともあり、ひところは旧日本軍でもおおいに採用したんですが、うちの父なんかに言わせると、パンでは気力体力が養えない。
俺も浅草の某組長さんに、ちゃんと食事をとっているか、米でなきゃダメだぞ、パンを食ってるようじゃ人は斬れない、と言われました…。

副食はおかず、かつては薬代という名目で支給されていたこともあった。

調味料は、調味品とか調理用品とか言う場合もある。
昔の軍隊では、サッカリン、ドルシン、グルシンなど、人工甘味料を使うことがありました。

酒は飲料に含みません。

かつて保健食品には、牛乳や鶏卵が含まれた。
そのくらい、普段は貧しいもの食べてたということですが。

 

 兵食

下士官以下の食事は、無料で現物支給、「まかない」が基本です。

衣服と食事の面倒を見ることを、軍隊では「給養(フィーディング)」と言い、エサを与える、油をさす、まきをくべる、電気や水を供給する、というニュアンスなんです。
軍隊では人間も単なる道具、消耗品であるから、エサをくれて世話して飼わなければならない。
実際は旧日本軍みたいに餓死者が出まくったりするんですけど、犬猫だって、ちゃんと管理しない飼い主がいるわけで。

昔は食費で渡してたこともあったんですが(日本でも一時期やってた)、食事を減らしてでも金をためようとしたり、物価が上がると安い物ばかり食って栄養がかたよったりして、軍隊にならないということがわかった。

 

 フケ飯

下士官と兵では、食事内容に格差がつくことがあります。
父は特別支給が多くて満腹なので、通常支給の食事は若い部下たちに譲って大変に喜ばれた、これは返し技であり、嫌いな上官に届ける食事にフケをまぶすフケメシという嫌がらせがあった、密告する奴がいてバレると死ぬほど殴られた、とのことです。

 

 士官食

とかく身分差別する軍隊のことだから、将校は当然、食べるものも違います。
食器も、鍋も、調理室も、料理人も、下っぱとは別にする。

下級兵士は、数さえいれば誰でもいいし、かわりはいくらでもいるが、将校は、どうしてもその人が指揮しなければ、まとめることができなかったり、勝つことができなかったりする。

それに、命令を出す側っていうのは、ものを考えるのが主な仕事なので、ある程度は豪華なものを食べて、優雅に、余裕がないといけない。自分たちだけ、ブランデーやウィスキーも飲まなければならない。

また、皇族が軍人をやっているとか、外国の軍人と会食するとか、威厳や格式を格好つけることも必要があってやってる仕事のうちなので。

将校は基本的に食費で渡され、食べたければ自分で買って食べろ、なんなら自分でコックを雇って従軍させろ、というやり方です。
そういうやりくりもまた、組織運営の勉強でもある。

しかし日本では、戦争末期にはもう、兵食と同じ材料で作ったり、ほとんど同じものを食べたりしてました。
食えるだけマシで、多くの部隊が、餓えで死んでいった。

 

つづき 

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