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シンボル、トレードマーク
標(しるし)
名前の話からそれますが、これも密接に関連してるんで、「P」のバックナンバーから全部こっちに移転しときます。
皇室では、なに宮様は何の花とか、お持ち物につける目印が決まってます。
近衛兵が持つ旗も、御紋は同じ菊でも、縁取などで、その行列が皇太子様なのか皇太后様なのか、わかる仕組がありました。
武家でも、礼・用・相・利という原則があって、旗は同じ色でも、そこに書く文字や記号を変えたり、家紋は同じでも、それを描く色や地の色を変えたりして、隊を識別していました。
現代で言えば、家族の歯ブラシやスリッパの色。
俺のときは元服式までに決めるよう父に言われました。
後天的に決める場合の、いろんな問題について御説明します。
名前負け
標は、特徴付け、キャラが立つというやつなので、方向性の統一(アイデンティティ)が必要です。
武術でハヤブサなんか名乗ってる奴に限って、すぐバテていたり、ただ突っ立ってて瞬殺されたりする。
そんな動かない奴のどこがハヤブサなんだよ、速いのは負けることだけか?って。
少なくとも、そのチームでは最も足が速いから韋駄天でメルクリウスで盗塁王というような名付け方でなければならない。
そしたら、やっぱり自分の特徴を、好き嫌いにかかわらず、前面に出すことになる。
そりゃ誰だって、ヒーローやリーダーっぽいのをつけたいですよ!(笑)
でも、自分がホームランバッターなのか送りバントの達人なのか、投手なのか外野なのかは、イヤでも決まってくる。
おのれを知る、ありのままの自分をまず認める、バーチャルのほうへ現実逃避しない、ということです。
架空の自分に名前つけてもしょうがない。
まずは自分が自分を大事にしてやらないと。
ただし、守りに入って可能性を狭くするということとは違うんで、注意してください。後述します。
決まるべくして決まる
字(あざな)のように、名前や所属に関係あるものを使うのが無難なようです。
無関係だったとしても、すでに持ってる特徴と相性がいいか、否定しあわないものがいい。
名前が龍太郎でシンボルマークがガルーダとか、あだ名がマムシで旗がムカデでは、キャラの食い合いだ。
俺はパンダに関してはギャグでやってるんで、武術やオカルトではもうちょっとマシな動物や植物を使ってます。
結局は、名前や、地元に伝わる伝説や特産物、先祖の故事や家紋、師の御名前や芸風など、いろんなしがらみで消去法やっていくと、あんまり選択の余地がありませんでした。
赤、緑、水色、白、銀、市松、格子、鳥居、九曜、七曜、鶴、亀、ネズミ、龍、蛇、鹿、鬼、桑、竹、松、柏、四葉、波、三日月、半月、満月、日の出、勾玉、オパール、ルビーなど、両親や本家や師や先輩がすでに使っていたため、似ないように、しかし少しは関連しているようにという具合が難しかったです。
これらは、例の「なになに座にラッキーなのは何色、不幸をもたらすのは何色」とか、誕生花なども考慮しないわけにもいかない。
必ず、御自分の指導者や親御さんに相談してみてください。
自分ひとりで強くなった気になるなというのは、武術ではとても重要なことです。
中日ドラゴンズがどうしてドラゴンかというと、当時のオーナーの干支が辰だったのだそうです、でも、その人の御名前は杉山虎之助さんといい、すでにタイガースという球団が存在してた。
こういうのが一番難しい。
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戦闘的なのは幼稚
モチーフを何にするかは、武術に対する姿勢があらわれることです。
俺の居合の師は、金具に金剛杵や鏃や合戦風景などをデザインしたものは、みっともないとおっしゃる。
俺もそう思います。
ただでさえ戦闘の道具である武器に、これまた戦闘を意味する図案を飾り付けるのは、屋上屋、しつこい、野暮ということです。
昔、イカ天という音楽番組で、ロックンロール!という歌詞を歌ったバンドに対し、審査員が、ロックと叫ばなければロックを表現できないほど、お前のロックは内容が浅いのか?、というようなツッコミを入れていた。
ここにいる人みんなロックである、みんなそれぞれ自分のロックを表現しに来ている、ということです。
さんまさんのネタに、競馬で馬の名前がウマというのがある。
外からウマ来た!ウマ速い速い!すごい追い上げだァって。
武士(たけし)と名付けて、こりゃ武士っぽくていいなというのは農民出身者の感覚であり、本当の武士はいちいち武士ですと言わなくてもみんな武士なので、武士の仲間内で自分を識別するような名前をつけるんですよね。
旧日本軍の飛行機や軍艦などは、とても殺人の道具とは思えないような風流な名前をつけたものがあります。
獅子だの鬼だのドクロだのシャークマウスだの、マガマガしいオドロオドロしいものをつけるのは、そういうハッタリで飾らないと強く見えないほどの、自分の弱さを宣伝して歩いてるようなもの。トゲトゲの革ジャン着て世露死苦です。
強さは実技のほうで、行動で見せるとして、道具の図案は、花とか、あんまり戦闘的でない鳥とか、意外なくらい柔らかく美しいものをつけていたほうがかっこいい。
そんなものでも、たとえば梅は魁けとか、桜や蝉はいさぎよく散るとか、トンボや山鳥は後ろに下がらないとか、意味の上では勇ましい意味が込められていて、それをあからさまに出していないところがかっこいい。
そういう考え方もあるということは知っておいてください。
名前も、柔術で柳、剣術で水なんてのは、極意に直結してるモノで、昔の達人は美しい武号を使っていた。
夏雪とか潮路とか、これ男が使ったんですよ。
本当にそれでいいのか
自分と一体になるモノなんだから、使う前に、よく調べてからにしてください。
俺の時はインターネットなんてなかったら、古典を片っ端から読んだもんです。
神話や伝説に出てくる想像上の物は、誰もが使っててありふれているばかりでなく、じつはパクリや勘違いが山ほどあって、元になった神話ではみっともないザコだったり、特に外国のものは、知れば知るほど使いにくい。
これとか、これとか、こんなのとか。
よく、銀蠅座のセイントなんてイヤだァ〜という話がありますが、あれはもともとミツバチ座です。
ペガサスとかケンタウロスだって、裏話を知ったら、とても恥ずかしくて名乗れるもんじゃない。
龍は、みっともない動物の最たるものです。
武号の作り方講座を復活させる機会があったら全部詳しく書きなおしますが、北側から入ってる人はとりあえず西洋紋章のコーナーへどうぞ。
架空でなくても、たとえば亀はオチンチンのことであり、中国武術では「奥さんを寝とられたうえに何も言えない、情けない奴」を亀という。
亀仙人だかカメハメ波だか、よく知りませんが、大声で叫ぶものじゃない。
ところが、これが日本の剣術だったら玄武館という名門にもなりうるわけです。
自分がやってるジャンルによる。
そういう業界内のしきたりや雰囲気さえ把握できてないほどの、右も左もわからない初心者のうちから、名前ばかり御大層でもしょうがないということです。
しかるべき段階になれば、仮親や師が気をきかせてつけてくださるから、それを使うにこしたことはないです。
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