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雑誌『武術』の、もうひとつの月牙‘金産’
話が前後しますが、『武学入門講座』は、‘金産’の話の前に、まず、中国武器の概論をやっている。
「●第九回●T兵器Uについて」です。
ここにも、‘金産’と、月牙‘金産’の、図が載ってます。
「禅杖」とか、「三日月刃とスコップ刃を両端につけた武器」は載ってません。
これもあきらかに中国の本から転載した図で、画風がそんな感じだし、キャプションも簡化字になっている。
こんな具合です。
月牙‘金産’…と書いてあるが、産の生が略された字
■■ 輪、なし ここから先細り
■■ ↓
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■■ ◆
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■■ 房なし なにかついてる。環か? ↑
‘金産’…と書いてあるが、産の生が略された字
輪、一対あり なんか太い玉になってる
□ ◎ ↓ ↓
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口金太め 房なし なにかついてる。環らしい ↑
刃は釣鐘型 ケラ首あり
雑誌『武術』も、月牙‘金産’は月牙‘金産’と認めている
三日月刃だけの武器を「月牙‘金産’」、スコップ刃だけの武器を「‘金産’」と呼んでいる。
これは、俺の持論と同じです。
っていうか、俺の周囲ではみんなそうしてるんですよねえ。
これが、もしかしたら文革以降の、スポーツ化した中国武術界での雰囲気にすぎないのではないのか、本来は正しくないのではないかという可能性も、言い出せばキリがないですけど。
雑誌『武術』も、月牙‘金産’の定義が2種類
ここでも「月牙‘金産’」が混乱してるわけです。
日本一の中武雑誌でさえも。
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第9回で、これ↑が『月牙‘金産’』である、と言った舌の根も乾かぬうちから…
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第15回では、これ↑が『月牙‘金産’』であると言い出す。
そして、この三日月刃が「月牙」、スコップ刃が「‘金産’」だと言っている。
これも俺の持論
「禅杖も、月牙‘金産’の一種」
「石突側が鋭ければいいのなら、スコップ刃でもかまわない」
「総称だ」
という話(このコンテンツの4ページめに書いた話)で、解決できる。
というか、そうとでも考えなければ、ツジツマが合わないと思うんです。
そのほか、この「第9回」の特筆すべき部分
石突末端に、環のようなものがついている
これでは、箒やモップの吊金具みたいですよ。
柄の末端にリングをつけるというのが、もしかして折れ釘にひっかけて、壁に吊るして収納するということだとしたら…。
うまいやり方だとも思えますが、そんな例は見聞きしたことがありません。
普通、道場では立てて置くんです。
長さ20センチくらいの、ミニチュアの長柄武器を、各種ずらっと並べた置物があって、中国物産の店によく売ってます。俺もひとつ持っていて、ちょっと出してくるのが大変なんで、また機会があったら撮影しますが。それもやっぱり、立ててます。
刀や剣だったら、柄の末端にリングをつけて下げることは、中国ではよくあるのですが。
石突側に太刀打がある。
太刀打と言っていいかどうか微妙ですが、日本の槍でいうと千段巻というか、柄を補強してある。
これは、こっち側で攻撃するということを想定してるってことですよね。
敵の武器がガチャガチャ当たるから、補強してあるわけでしょう?
月牙‘金産’は、石突側を積極的に使う、「双頭」という意識が強い、…平凡社版の訳者注の記述にも一致する。
スコップ刃だけの「‘金産’」も、技法としては石突を使うのだし、三日月刃とスコップ刃を両端につけた武器が発明されやすい土壌が、もともとあったことになる。
これは重要なことかもしれません。
次回は、なぜか、お茶の話。
続く→
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