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 ‘金産’が鎌だとすれば

サンノクワは、スコップ刃で、先がめくれている。
これをまったく鎌として使うとしたら…。

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         □  もっと柄を         □
         □  寝かせるかもしれないが   □
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ホウキかクマデを使うかのような(逆手だけど)、いやーちがうな、長めの芝でゴルフのパターの素振りをするような具合で(逆手だけど)、草の上のほうだけ引っかいて刈っていく?
つまり、
「草を削る」というニュアンスであれば。

あんまり効率のいいやり方じゃありませんね。
草は、しなって、なでられるだけで、たいして切れなさそう。
刃先が一枚板では「ヌケ」がありませんから、ワイヤーハンガーみたいな形にしたほうが、それこそ針金のほうがよく切れそうです。

これが、地面をひっかいて根こそぎ、かき取るのであれば、あるいは、溝を掘る道具だとしたら、ドブさらいみたいなことなら、まだわかるんですが、それだと投げ下ろして使うって感じではありませんね。

 

 高谷好一氏の説

前述の『水田の考古学』に、こんな記述があります。
原文では「剥」は互いの剥ですが、変換されないので「剥」と書かせてください。
文中の「高谷1986」っていうのは、参考文献リストによれば、
「水田が拓かれるとき」『農饒の大地』日本古代史5 集英社のことらしい。

『鋤は深耕に適した農具で、土の反転や、現在のスコップと同様に土を掘削して他へ移動する機能をもっている. しかし、この鋤や鍬のなかには、刃が薄手で華奢なものや、股にわかれて40〜50cmという長さのものなどがある. 高谷好一は、このような道具ではとても田起こしなどできないと言い、スマトラやボルネオの低湿地で、今日もおこなわれている田ごしらえの風景を想い起こして、この刃の薄い木製農具を、横振りにして打ちおろし、田に生い茂った雑草類を、地表直下で剥いでゆく道具とみている. 弥生時代の湿地稲作では、そのような田ごしらえで充分で、その後に苗を植えていったのだろう、というのである(高谷1986).
 この刃が長くて薄い農具には、一般に別木で用意した鋭角の柄がつくものが多く、とても雑草を剥ぎ取る動作はできない. 泥田へ緑肥を沈み込ませるには都合がよいかも知れない.』

こういうクシ状の鍬先が出土しているというのが図示されてます。
木製なんです、これ。

  ・ 欠損してる部分(原図では推定で補ってある)
 
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  ┗━━30センチ━━┛    ┗━20センチ━┛

  福岡・拾六町ツイジ     大阪・池上 

 

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  ┗━20センチ弱┛    ┗━20センチ弱┛

  福岡・拾六町ツイジ    福岡・四箇 

これらは、おおむね穴が斜めに開けてあるから、ここに柄をつっこんで、クワのように地面に当てたはずなんですが、しかし木製でこんなことでは、土を耕すほど強度がないっていうんですよね、細い部分が折れちゃうから。
地面に刺して、穴を開けるだけ、それでなにかをしみこませるような使い方?

ほかに、カニのハサミみたいな形(この本ではナスビ形と言っている)の農具もあって、この場合は穴を開けて柄をつけるんじゃなくて、クワのような柄を紐でむすんでいて、長いものは股の刃先が60センチもあり、なぜか7世紀に姿を消すから、これは土を耕すのとは違う特別な使い道がなにかあったのだろう、という話が載ってます。

『武器と防具 中国編』の記述、『ショベルに似た歯のついた農具』っていうのが、歯が刃の誤植でなければ、こういうクシ状の道具のことを言ってるのかもしれませんが、これは‘金産’じゃないでしょう。
どっちかっていうと八戒の担当分野だ。

‘金産’で除草するというのは、「クワやスキの刃を、草の根元につっこんで、草の根を切るようにして、浅く地表を削りながら草をかき取る」というものであり、「梳(くしけず)る」っていうことじゃないはず。

 

さてさて、話が横道になってまいりました。
その言い訳みたいなことを次回。

 続く→ 

 

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