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下側の輪はタレてみっともない
中国の薙刀系の武器は、重心が口金付近にあるため、かなり先を握って回したほうがラクではあります。
しかし、両端に刃がついていれば両端をほとんど平均的に使って攻撃する場合も少なくないでしょうから、さらに輪も両端についているとなると、どちらが上という意識は薄くなる。
そしたら、つねに横にして、天秤棒のように肩にかつぎ、柄の両端に荷物をくくりつけたらいいんじゃないかというと、一人旅ならそうかもしれませんが、『西遊記』ではちょっと事情が違います。
原作では、悟浄の役割は、馬の口取りです。
三蔵法師は馬に乗り、その馬を悟浄が制御しながら歩く。荷物は、八戒がかついでます。
馬といっても、正確には龍です。
三蔵法師の馬を食べてしまった龍が、その馬そっくりに変身して、馬の役目をやった。
帰り道は、馬と八戒は経典を運んだので、私物という意味での手荷物は悟浄がかつぎ、馬は悟空がひきましたが。
ラストでも、悟浄は馬をひいた功、八戒は荷を運んだ功という理由で、恩賞が与えられてます。
立てて持ち歩くのであれば、房や輪が両側につくっていうのは、どうも不思議な感覚だと思うんです。
重心も握力も関係なし
八戒は、劇中、第八十八回で、熊手の重さを聞かれて、『さして重くはない』なんて言って、5048斤と答え、その直後に悟浄も、自分の杖が5048斤だと言ってます。
5048匁じゃありませんよ(笑)
1斤だいたい600グラムですから、5048斤じゃ3トンを超える。
5048っていうのはキリのいい数で、1蔵分のお経が5048巻なんです。
劇中ラストで持ち帰るお経も、旅の日数も、この数でした
(史実ではもう少し日数がかかっている。経典もインダス川を渡る時に少し失ったり)。
『水滸伝』の魯知深の禅杖が62斤、これでも37キロです。
いちいち話が大げさな中国のことだし、悟浄は人間じゃないんで。
史実では、少林寺の僧40人が倭冦退治に参加した時に、各自が30斤の鉄製の棍を持ち、海上強盗を撲殺しまくったことになってます。
現実でさえもこうだから、物語ともなると悟空の如意棒は13500斤、ざっと8トンです。
三日月刃が上らしい
前述の中国の絵本、沙悟浄自体はこんな描写です。
桃太郎が陣羽織を着るかとか、絵本をまじめに考察するのは大人ゲないですが、どのくらい原作を反影しているか、これが判断基準にもなると思います。
なお、キャプションは沙悟浄ではなく沙和尚となってます。
剃髪していない… ■■
『三国志演義』あたりに出てきそうな長髪長鬚、武将風 ■■■■
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禁箍みたいな ■■■■
金輪をかぶっている ■■■■■ ■
前立あり ■■■■ ■
回回回■■ ■
甲は見当たらず 回■回■■■ ■ 赤茶の絮衣? 長〜い袖
下に着込みがあるか不明 □■■■■■■■■■■ 决拾なし、下に篭手があるか不明
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首飾はあるが ◆◆□◎□□□□◎□◆◆◆◆ ◆◆◇
髑髏ではなさそう ◆◆□□□◎□◎□□◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◇◇
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上帯は赤紫 ◆◆◆■◆■■■■■■■■◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆■◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ◆◆◆◆◆◆◆ 白い下着が
回■◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 袖口から出ている
■回回◇◆◆◇◇◇◇□◇◇◇□◇□◇◇ 帯の下に
■ ■ ◇□□◆◆□□□◆◆□□□□ 天衣のような腹巻
■■■■ ■ □□□◆◆◆□□□◆◆□□□□□□
■■■ ■ □□□◆◆□□□□□□◆◆□□□□□□ 抱? 袖なし、萌黄、半襟は白
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■■■ □□□□□□□ □□□□□□□□□□□ 上帯の端らしきものが
■■ ■■■■■■ ■■■■■ 天衣の下から垂れているが
□□□□ 袴は紫 □□□ 北派のような鮹足ではなさそう
襪は白 □□□ 長袴を括緒らしく □□□ 原作では八戒と悟浄は
ダボダボだから □□□ 膝下で提灯になってる □□□ 武器を服の下に携帯してるから
脛巾ではなさそう ■□□□ □□■■ 大帯の下に革帯か?
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運動靴風のカンフーシューズ、紫、反り返りなし、たぶん平底
拝見した図は3枚ありましたが、どれも戦闘中ではないようで、どれも三日月刃側のかなり刃元に近いところを握って、小脇にかかえている。
これは、ごく普通の持ち方です。
これで立てれば、三日月刃が上になる。
この絵本がどれだけこだわって描いているかはともかく、禅杖を立てるとすれば、横幅が広い三日月刃を上にするほうが、邪魔にならずに持てるし、とがっている三日月刃の先端をいためることもなく、置いて飾るにも見ばえがする。
スコップ刃を本当に土掘りに使うとすれば、土で汚れる側を、普段から地面につける側にするのが筋ではあります。
続く→ |