←もどる 

 

 挿絵では

前述のとおり、挿絵は、平凡社版も岩波版も同じで、世徳堂本からの転載です。
この挿絵はあんまり信用ならん(八戒の武器がヘン)というのも前述のとおり。

その挿絵を見ると、「四明‘金産’」というのは、おおむね「月牙‘金産’」です。

 

 三日月というより半月に近いくらい  
                      
 □□  刃に、なにかついてる!                
石突がある!
  □○                               
  □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□‖□
  □○                               
 □□  
刃が結構デカい
    (この挿絵にしては)    柄が長いといっても、たいしたことはない

       ┗━━━━━━これを使う悪役の背丈(俺の目測)━━━━━━┛

           せいぜい2メートルでしょう、3メートルもないと思う

           悟浄と悪役は同じくらいの背丈で、悟浄は三蔵より低いくらい
           (ただし、体も武器も巨大化することがあるはず)

刃の部分。

  □□□
   □□□□
   □□□□□   
刃に、丸いものが2つついている
   □□□□□□  (環ではなさそう。なんだかボタンスイッチのような)
    □□□◎□       
    □□□|□□□□□□ 〜
    □□□|□□□□□□ 〜
    □□□◎□
   □□□□□□
   □□□□□
   □□□□
  □□□

 

ところで、同じ挿絵の中で、沙悟浄の武器は、こうなっているんです。

    刃がやたら小さい                   石突はない
 □□                               
  □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
 □□                               
                            遠近法は考慮ずみ

      ┗━━━━━━━━沙悟浄の背丈(俺の目測)━━━━━━━━┛

 

石突が、悟浄の武器にはなくて、「四明‘金産’」にはついている。

石突が鋭いのが「月牙‘金産’」だというのならば、これでは、どう考えても、沙悟浄の武器は「月牙‘金産’」ではありませんね。
「四明‘金産’」のほうが、
「月牙‘金産’」に近い。

このイラストを描いた人は、石突というものを御存知で、なおかつ、‘金産’系統の武器に石突がつくという認識はあるわけだ。
第六十三回でも、敵が使う「月牙‘金産’」の絵に、石突を描いていた。
にもかかわらず、悟浄の武器には、末端になにも描いてない!

 

 このコンテンツは沙悟浄の武器をつきとめるのが目的(俺も忘れていたが)

前述のとおり、第六十三回に出てくる敵が、「月牙‘金産’」を使っていました。

そしてまた、第八十九回でも、敵は「月牙‘金産’」のようなものを…。
この第八十九回って、武器が重要なカギになる回なんです。

ややネタバレで申し訳ないですが、鉄の話のところで御紹介したとおり、第八十八回で悟空たちの武器のレプリカを製作するので、見本にするため武器を預けてしまう。
そのせいで、悟空たちがピンチになっていくのが第八十九回です。

武器の話をやってる時に出てくる敵が、またもや、「月牙‘金産’」に似たものを使っている。

いよいよ、悟浄の武器は「月牙‘金産’」ではないような感じがします。
これで同じ武器だったとしたら、中国人はあんまり脚本のセンスないな。

 

 重明

関係あるかどうか、『武器と防具 中国編』の著者が、別の本に、こんなことを書いておられます。

同じく新紀元社の、同じくTruth In Fantasyシリーズの、同じく篠田耕一氏の『幻想世界の住人たちIII〈中国編〉』(1989年)、その93ページのコラム。
出典も添えられています。
原文では「晴」は円の青ですが、変換できないので、月の青で表記させていただきます。

『 重明の鳥
帝堯が在位70年の時、彼のもとへ献上された鳥は邪悪をはらう力がありました。この鳥を重明の鳥といいます。別名を双晴(そうせい)といい、目の中にひとみが2つあることからこの名前がつけられています(重も双も2という意味で、明も晴もひとみのことです)。姿は鶏に似ており、鳴き声は鳳凰に似ており、羽毛が抜け落ちても羽のない翼で飛びます。この鳥は虎や狼などの猛獣を追い払い、妖しい災害やさまざまな悪の被害を防ぐ能力を持っています。この鳥はきまぐれで1年のうちに数回現れることもあれば、数年のあいだまったく姿を見せないこともあります。そのためにこの鳥が巣を作るようにと人々は争って門や戸を洗ったりはき清めたりしました。またこの鳥がこないときには木や金を使ってこの鳥の像を作って門や戸に置いておくと、魑魅魍魎やさまざまな妖怪も自然に退散してしまうのです。(王嘉『拾遺記』より)』

ニワトリは闇を切り裂き光の訪れを告げる「夜明け」の象徴、目玉は妖しげなものの正体を見抜き視線で射ころす「万物照覧」の象徴、いずれも、たいていの文化では魔よけに結び付けられることです。
目玉が多ければ力も多いという思想も、いくつかの文化に見られる。
玄関先を掃除するのは開運招福の基本であり、迷信は迷信として環境心理学でもかまわないし、いいことではある。
複数の動物の特徴を合わせ持ったフリークス幻獣、特に、ウトウやウミガラスみたいに魚っぽい鳥や、あるいは、鳳凰ではないが鳳凰っぽい鳥は、中国の神話にはいくらでも出てくる。

つまり、ひとつひとつはよくあるパターンですから、「四明‘金産’」という武器に、このへんの思想が影響してる可能性は、かなり大きいと見なければなりません。

 

次回は、武術の側から見た「四明‘金産’」。

 続く→ 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送