内月牙・外月牙っていうのは、何なんだ? 岩波版『西遊記』の注を、もう一度。 つまり、‘金産’は鎌だとおっしゃっていて、‘金産’の刃の種類には、内月牙と外月牙という2タイプあるというふうに述べておられます。 しかし俺には、内月牙・外月牙というのが、こういう名前の独立した武器なのか、なにかの武器の一部分だけをさすのか、よくわからないんです。 水彩画を描いている時は、丸の10号とか、平の1インチとか、そういう言い方で察しはつく。普通は筆で描いているであろうことは、わかりきってる世界だからです。 中学生が英語教育やってる時に、This is a pen.と言ったらペンはペンであり、道具を一般的に言ってるわけです。 このへんが、『三才図会』のニュアンスがちょっとわからないんです。 今の時点でひとまず整理してみます。
1 名前が、「月牙‘金産’」ではないし、「‘金産’」でもない この図の名前は、「内月牙」「外月牙」です。
2 石突がないし、あったとしても尖っていない もし内月牙・外月牙が、独立した武器ではなく「月牙‘金産’」の種類であれば、「月牙‘金産’」の石突は尖っていなければならないという話と合わない。 「月牙‘金産’」には尖った石突が必要という話は、平凡社版『西遊記』の注で読んだ話であり、そうなっていない図もある(武術側の資料にもある)から、まだ疑問も残りますが、少なくとも『西遊記』の劇中においては必要です。
3 ‘金産’のたぐいが、「なになに月牙」と呼ばれている例を見たことがない 俺が見聞きした限りでは、「月牙‘金産’」は、石突があろうとなかろうと、いつでも「月牙‘金産’」と呼ばれてます。 三日月刃とスコップ刃が両方ついている武器は、「禅杖」「月牙‘金産’」「‘金産’」などと、いろいろに呼ばれているんですが、やはり武器の名前として「なになに月牙」と呼んでいる例は見ない。
4 月牙は、他の武器にもついている 三日月形の刃は、方天戟、護手鈎、子母鴛鴦鉞など、さまざまな武器についており、その場合もすべて、この三日月刃の部分は「月牙」と呼ばれてます、俺が知る限りでは。 たとえば、子母鴛鴦鉞っていうのはコレです。日月弧形剣ともいう。 この武器の技法ひとつひとつは、「なになに月式」という名前です。 日本の例では、大草流という鎖鎌の流派で、鉞鎌と書いてクサリガマと読む慣例になっている。
5 武器の名前ではなさそう 岩波版『西遊記』も、刃の向きによって内月牙と外月牙がある、とおっしゃってるだけなので、武器の種類を言ってるのだから、そういう名前の武器があるわけではないらしい。 肥後とか天正とか、鵜の首とか菖蒲とか、部分の違いはあっても、武器の名前が何かと言えば、全部「日本刀」ですね。 しかし、内月牙・外月牙は、「月牙‘金産’」だとも思えない(理由は、このあとの11)。
まだまだ続きます。 |
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